順当な顔ぶれが出揃った。来年1月開幕のアジアカップに出場する日本代表のメンバーだ。

 ワールドカップやアジアカップのメンバーで、選考基準となるのは年齢とポジションのバランスであり、スペシャリストとマルチロールの融合だろう。その時点で結果を残せる陣容を整えつつ、数年後のチームも見据えておく必要がある。

 そう考えると、森保一監督が選んだ23人は妥当なものだと言える。世代交代を意識しながら4年後のW杯を狙える経験者を要所に配置する顔触れは、イビチャ・オシムが率いた07年大会に近いだろうか。

 DFはCBでの起用を想定する選手として、槙野智章(31歳、年齢はすべて発表時点)、吉田麻也(30歳)、三浦弦太(23歳)、冨安健洋(20歳)の4人が招集された。槙野と吉田はロシアW杯のメンバーで、吉田は3度目のアジアカップとなる。東京五輪世代の冨安も、所属クラブでの出場実績とテストマッチのパフォーマンスから判断すれば異論はない。

 サイドバックは左が長友佑都(32歳)と佐々木翔(29歳)、右が酒井宏樹(28歳)と室屋成(24歳)だ。長友の復帰は心強い。

 ボランチは青山敏弘(32歳)、柴崎岳(26歳)、遠藤航(25歳)、守田英正(23歳)の4人が選ばれた。コンディションが万全なら守田ではなく三竿健斗(22歳)が選ばれたかもしれないが、守田はサイドバックにも対応する。遠藤も最終ラインで、柴崎は2列目でもプレーできる。複数ポジションをこなせる選手がいることで、チームとしての柔軟性が高まり、試合中のシステム変更もスムーズになる。

 2列目は三銃士とも呼ばれる中島翔哉(24歳)、南野拓実(23歳)、堂安律(20歳)の3人に加え、ロシアW杯メンバーの原口元気(27歳)、森保監督指揮下で2得点をあげている伊東純也(25歳)が名を連ねた。三銃士がスタメンで、原口と伊東がジョーカーという序列だろう。

 FW登録は3人だ。大迫勇也(28歳)、浅野拓磨(24歳)、北川航也(22歳)である。

 大迫がケガなくフル稼働できれば、何ら問題はない。ただ、ブレーメンでプレーする彼が何らかのアクシデントに見舞われると、森保監督は戦略の練り直しを迫られるかもしれない。2列目の3人が持ち味を発揮しているのも、最前線で大迫が攻撃の起点を務めているからだ。

 もちろん、森保監督は様々な前提に立ってこの23人を選んだのだろう。そう考えると、大迫を温存できるようなシチュエーションが訪れたときに、どのようなオプションを採用するのかは興味深い。浅野の招集は、16年のリオ五輪アジア歳首位予選を思い起こさせる。

 今回の選考を、「サプライズがない」とする見方もある。香川真司や岡崎慎司の復帰、シント=トロイデンでブレイク中の鎌田大地が招集されなかったなどの理由からだろう。

 しかし、森保監督のここまでチーム作りは、周囲を納得させるものだ。中島、南野、堂安による2列目をいち早く成立させ、守田、冨安、北川らにも経験を積ませている。安全第一のチーム操縦ではない。

 あとは、チームがどのような戦いを見せるか。日本らしさ、日本人らしさをしっかりと表現できれば、上位進出への道は開けてくるはずだ。それがまた、メンバー選考の正当性を証明することにもなる。