「人類初」の領域へ。スピードスケート小平奈緒のタイムが凄いことに!
2月9日から開幕する平昌オリンピックの日本代表の中で、最も金メダルに近いのはスピードスケートの小平奈緒(相沢病院)だろう。その小平が、7日の午後6時から試走も兼ねて行なわれたタイムトライアルの500mで、周囲を驚愕させる結果を出した。

韓国・平昌の地に入ってからも好調な小平奈緒
2012年に女子で最初の36秒台に突入した于静や、世界歴代3位の36秒56を持ちソチ五輪でも4位になった張虹ら、中国勢も出てきたこのタイムトライアル。7組あった女子500mでは6組が終わった時点でカロリナ・エルバノワ(チェコ)の37秒93がトップタイムだった。
ところが、最終組で郷亜里砂(イヨテツク)と滑った小平が出したタイムは37秒05。昨年、この会場で行なわれた世界距離別選手権の優勝タイム37秒13を大きく上回るだけではなく、小平が今季のW杯第2戦のノルウェー大会2日目に出した37秒07という低地世界最高記録さえ上回るものだった。誰もが驚くとともに、「ここでこんなタイムを出す?」と呆れるような記録である。
それでも小平は「あまり自分の中では、すごいタイムではないんですけど……」と苦笑。「まだまだ修正するところも多いですし、このリンクで、今の体の状態で練習通りのスピードが出た」と冷静に分析する。
「もちろん号砲がなったら全力なので、そこはしっかり集中していきました。でもあとから振り返ってみると、かなり冷静にいろいろ考えていたなと思います。後半400mの26秒72のラップタイムも、このリンクは他の低地のリンクよりけっこう滑るような感じがするので、妥当なタイムが出たのかなと」
こう話すように、アウトレーンスタートの小平の滑りは落ち着いていた。3歩目までは当然のように力強い動きだったが、4歩目からは、速く滑ろうと目一杯力を使うほかの選手たちの動きとは違い、スケートを滑らせる柔らかな動きになった。そして100mを10秒33で通過すると、その後は乱れることなく加速をして小さな第2カーブもスムーズに抜け、ゴール前ではそれまで以上にテンポを上げる滑りに変えて、そのままゴールをした。
「今日は同走が郷さんということもあり、ちょっと日本人の雰囲気というのを体で感じながら、かなり落ち着いていたかなと。ただ、動きにキレが足りなかったのは、またしっかりと体を休めれば戻ってくるんじゃないかなと思います。レースを終えて力が余っているというのはないですけど、1月にしっかりと日本でチームメイトと練習ができたので、それが今の自分の体に染みついている」と余裕を残した滑りを振り返る。
小平はこのあと12日の1500mに出場し、その後は14日の1000m、16日には500mに出場する。
「1500mは全力でいくというより、500mに向けて上げていければいいかな。1500mはレース経験が少ないので、よくても悪くてもいい経験になるし、いいモチベーションにつながると思う」
今季、世界記録保持者にもなった1000mへの意識はどうかと聞かれると「そこへ向けてピークを作るというよりも、帯でピークを持っていきたい」と答えた。その言葉からは1000mも勝つ気満々なのが伝わってくる。
この日、自身が出した「37秒05がすごい記録とは思わなかった」という理由も「練習で出ているラップタイムを計算すれば、妥当というか自分の実力以上のものが出ているタイムではない。それは裏を返せば、今の疲れの中で実力通りの滑りができているのかなと思います」と説明する。
力強くそう話す小平には、女子選手で史上初となる”低地での36秒台”という大きな野望がうっすらと見えているようだった。
また、今季の急成長でメダル候補に浮上した郷は、「タイムトライアルはやってきましたが、レースからは離れていたので、今の状態で100%の力を出してどのくらい出るかというのを今日はやってみた」という状態だった。
最初の100mは低地自己最高の37秒40より0秒10遅い10秒51だったが、後半の400mは27秒10とまずまずのラップタイムでまとめ、全体2番目の37秒61を出している。
最初の100mは、小平と同走ながらも力みのない滑りをしていたが、「最終コーナーから直線にかけては、アウトスタートの奈緒さんがすごく来ていたので多少焦った部分もあった。最後の直線では、足が抜けてしまう感じで滑りのタイミングが少し氷と馴染んでいないように感じた」と完璧な滑りではなかった。
しかし、本番で目標にするのは、低地自己ベストの37秒40を大きく上回る37秒台頭だとはっきりと口にする。目標は表彰台と明確になっている。
この日、ライバルの李相花(韓国)は出場していなかったが、日本勢にとっては、あっさり低地ベストを出した小平とともに、郷もまた、平昌五輪のメダル候補としての力を見せつけるタイムトライアルになった。
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