野球部からの転身で見事大金星! 合気道日本一の大学生・松原徹さんインタビュー
2015年10月25日に開催された「第46回全日本学生合気道競技大会」において、関西学院大学 商学部3年生の松原徹さんが乱取り個人の部で見事優勝を果たしました。この成果は同大学創部以来の大金星とのこと。今回は、日本一となった松原さんを取材しました。
■合気道を始めたのは大学生になってから!

――見事日本一の栄冠を手にされたわけですが、合気道はいつ始めましたか?
松原さん 大学に入ってからですね。
――えっ! では大学入学してから2年半年ほどで日本一になったのですね。合気道を始めたきっかけは?
松原さん 高校までは野球部に入っていたんですが、なかなかベンチ入りもできず、試合にも出られないという感じでした。
――高校はどちらでしたか?
松原さん 関西学院高等部です。
――野球の強豪校ですね! レギュラーを取るのも容易なことではないのでは?
松原さん そうですね(笑)。もうとんでもなくうまいやつとか、そんなのばっかりで。一生懸命努力したのですがいい成果を出すことができませんでした。関西学院大学へ進学したのですが、本学の野球部もすごい選手ばっかりですからね。
大学に入ったら何か自分で満足のいく結果が出せる部活動をやりたいと思っていました。それまで両親にもずいぶん迷惑を掛けましたし、自分がこれから行う部活動で結果を出して両親に恩返ししたいという思いもありました。「3年間で日本一になりたい」という気持ちが強かったですね。
――なるほど。野球から合気道ですと、ずいぶん違っているように思いますが。
松原さん いろいろな部活動を見たんですが、合気道を見学した際に先輩から合気道について詳しく聞けまして……。武道もいいな、と思って入部しました。野球は団体競技、合気道は個人競技、その違いは確かにあります。一人で何もかもできるという良い面もありますが、逆に孤独という言い方もできますし。自分で頑張らないと上に行けないというのはけっこう大変なことです。
――大学で初めて合気道に触れられたわけですが、当初はいかがでしたか?
松原さん 最初は分からないことだらけで、先輩たちに教わりながら始めました。でも、今まで知らなかった、全く新しいことでしたから面白かったですね(笑)。
――練習は厳しいものですか?
松原さん そうですね。みんなそれぞれ努力しています。試合前になると本当に激しい練習を長時間にわたって行います。
――どのくらいの時間練習するのですか?
松原さん 人それぞれ違うのですが、朝型の人と夜型の人がいまして。朝型の人は6時から始めていますし……。私は夜型なのですが、授業が終わってから午後11時までとか、毎日5-6時間は練習に費やします。
■優勝した大会では肩を負傷していた! 決勝戦の相手は世界大会2位の猛者
――それにしても2年半年ほどで日本一というのはすごいです。「第46回全日本学生合気道競技大会」ではどんなコンディションでしたか?
松原さん 実は、試合の2週間ほど前に肩を痛めまして……。医者からは止められたのですが「この試合だけは絶対に出場しないといけない」と思い、出ました。それだけこの試合に対する思いは強かったです。
――相手は強豪ばかりだったのでは?
松原さん はい。決勝で当たった天理大学の津谷朋宏さんは世界大会で2位になったこともある強い人です。決勝前には、先輩から「たぶん勝てないと思うけど、思い切っていけ」というアドバイスがあったほどです(笑)。自分でもよく勝てたと思います。


また、準決勝で当たった選手は身長が190cmという大きな人で。合気道では「体重制」といったクラス分けがないものですから、明らかに自分よりも体格が勝った人とも戦うことになります。相手の力を利用するのが合気道ですから、それでも勝利を収めることができるわけです。
――なるほど。優勝したときはどんな気持ちでしたか?
松原さん もちろんうれしかったですけれども、「本当に自分?」という感じもあって現実感がなかったですね。一週間ぐらいたってからやっと実感が湧いた、そんな感じです(笑)。
■合気道の魅力とは!?
――合気道の魅力とはどんな点ですか? また難しい点は?
松原さん 合気道は「相手の力を利用すること」で技をかけます。相手の力を利用して投げ、自分の力はあまり使いません。これが魅力ですし、また難しい点です。力のある人はつい腕力で投げようとします。でも、それでは駄目なのです。
また、相手を打突することが目的ではなく、あくまでも相手を封じるための技であること、これも合気道の魅力ではないでしょうか。
――確かに他の武道とその点が違いますね。実践は難しいですか?
松原さん はい(笑)。例えば試合の場面では、もちろん熱くなっているのですが、それでも心は落ち着いていないといけません。平常心を保ちながらも燃えている、これはけっこう難しい心境です。また、先ほど申し上げたとおり、相手の力を利用することを実践するのはなかなか難しいのです。
――肩を痛められたということですが、次の試合の予定などはあるのでしょうか?
松原さん 現在は治療に専念していますが、もうじき練習を始められると思います。今度の6月にある関西大会に出場して、それをもって私は引退ということになります。個人戦で勝つのはもちろんですが、後輩たちに優勝を味わってほしいと思いますので、そのためにも努力したいと思います。
――後輩の皆さんの調子はいかがですか?
松原さん この冬をかけて練習に励み、成長してきていますので、本学の合気道部の後輩たちの実力も上がり、層が厚くなってきたと感じています。ぜひ良い結果を残せるように残った試合までの時間を一生懸命努力したいと思います。
――ありがとうございました。ぜひ良い結果となるよう祈念しております。
関西学院大学の創部以来の素晴らしい結果を残した松原さんですが、その意志はまた後輩の皆さんが継いでいくことになるでしょう。大学の部活動の伝統、力というのは、このように先輩から後輩、そのまた後輩へとリレーされていくのですね。
写真提供:松原徹さん
(高橋モータース@dcp)
