経済危機下のギリシャで、スタートアップが急増中

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ギリシャでスタートアップ企業が急増している。EUがギリシャのイノヴェイティヴな企業を金融面で支援して、ブームに貢献しているおかげだ。地域経済を立ち直らせることができるだろうか。

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「スタートアップの国、ギリシャ」なんて、想像もしていないのではないだろうか。

かの国の財政的な足踏みはよく知られているところで、最近のIMF(国際通貨基金)、ECB(ヨーロッパ中央銀行)、欧州委員会のトロイカによる援助プログラムの延長要請がその事実を裏付けている。しかし一方で、ギリシャの若いイノヴェイティヴな企業は、年を追うにつれてより安定したリズムで成長を続けている。データは、1997年から起業文化を世界に広めている同名のNGOの地域スピンオフ「Endeavor Greece」によるものだ。

2010年に、“女神アテネのお膝元”で設立されたスタートアップはわずか16社だったが、2013年末には144を数えるまでになった。同時期に、投資額も増加した。2010年にギリシャのスタートアップが集めた資金は50万ユーロだったが、2013年には4,200万ユーロとなっている。この国にとっては、記録的な数字だ。

この功績をもたらしたのが誰かというと、パラドックスのように思えるが、ギリシャのスタートアップの増加にはEUが深く関わっている。EU、より厳密にいうと、ブリュッセルがヨーロッパ投資基金とヨーロッパ投資銀行の協力で立ち上げた仕組み「ジェレミー・プログラム」で、彼らが中小規模の企業が貸付けを受けるのを援助している。

ジェレミー・プログラムのリソースは、国内では4つの大規模な投資ファンド(Elilonos、Odessey、Open Fund、PJ Tech Catalyst)を通して届けられるが、この地域のエコシステムに莫大なインパクトを与えた。2013年には、スタートアップが獲得したシード投資の3分の2以上となっている。

投資の半分はテクノロジー部門に向けられている。そして現在、29の企業が、8の専門のアクセラレーターのプロフェッショナルな支援にも助けられながら、バイオテクノロジー分野で活動している。

それに続くのは、金融サービスの分野だ。さらにメディア、農業(食品)、環境、教育、エンターテインメント。最後にヘルスケアとエネルギー部門、そしてeコマースだ。

スタートアップの数の指数関数的な増加は、インキュベーター、起業アクセラレーター、コワーキング・スペースを牽引している。すでに昨秋、経済誌『Business Insider』のイギリス版は、この国を襲っている経済危機にもかかわらず、ギリシャのテクノロジー産業の成長を予期していた。

こうした数字には勇気づけられるが、ギリシャのスタートアップの前に開けているのが“黄金の未来”であるかというと、必ずしもそうではない。「Hellenic Startup Association」によると、起業したスタートアップのうち、平均すると最初の数年の活動を生き延びたものは5分の1程度だという。

課題となるのは、何よりも貸付け(EUのデータは、中小企業への貸付けにおいてギリシャをヨーロッパで最下位に置いている)、そして、アイデアの質の乏しさだ。EUのイノヴェイティヴな企業のためのプログラム、「Horizon 2020」のファーストステージを通過した361のヨーロッパ企業のうち、ギリシャ企業は2つだけだ。セカンドステージを勝ち抜いたスタートアップはなかった。

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