【ラグビー】打倒、帝京大。「変身」した早稲田が伝統の早明戦で逆転勝利
前へ出る。いや刺さる。低く突き刺さる。辻高志監督の言葉に早稲田の成長がみえた。
「下に刺さるタックルをやってくれました。全員で下に行こうと言っていたんです。下に行ってつながれたらどうするのだ。もうひとり、下に行けばいいじゃないか、って」
伝統のラグビー早明戦。晴天下の国立競技場。苦境の早稲田がひたむきなディフェンスで通算50勝(35敗2分け)をたぐりよせた。勝負は1点を追う後半ロスタイムだ。
明治陣での相手ボールのスクラム。早稲田がぐいとワンプッシュする。相手の右サイド攻撃からラックができる。早稲田FWはここでも低く突っ込み、ぐいぐいと押し込んだ。とくにロック芦谷勇帆が忠実に足をかく。
明治、ボールをキープできず、今度は左サイドにプロップ小野慎介が持ち出した。直前、ラックが押されたものだから、交代出場のSH田川明洋がつい、早稲田のタックラーを邪魔するかのようにラックにゆっくり寄っていった。レフリーの笛が鳴る。
「オブストラクション」
これでペナルティにするかという気もしたが、早稲田の全員で前に出る意識が相手の反則を誘発した。すなわち、集中力の差。
このPGを、WTB原田季郎が左足で蹴り込んだ。18−16。逆転に次ぐ逆転の競り合いについにケリをつけた。
「運がよかったと思います」
早稲田の山下昂大主将はそう、つぶやいた。
「とにかく前に出る。最後の場面、ボールを停滞させたくなかったので、プレッシャーをかけ続けた。球を出してくれれば、タックルできるチャンスがあると思ったのです」
12月4日の日曜日。スタンドには2万9千人が押しかけた。寂しい数字ながら、両チームが優勝の可能性を失った状況では健闘というべきか。
とくに今シーズン、これまでの早稲田の不振は深刻だった。筑波大に完敗し、帝京大にも惜敗した。個人技頼みの雑なラグビーで、そのまま迷走するかと思われた。だが、そこは早稲田。
辻監督は帝京大戦後の1週間、思い切って選手だけに練習を任せ、意識改革を促した。夜、SHとSOのハーフ団だけを監督室に呼び、映像を見せながらゲームマネジメントを勉強させた。
SH西橋勇人が言う。
「プレイ選択の引き出しが増えました。監督に教えてもらったのもあるし、自分で考えたものもあります」
1年生SOの小倉順平はこうだ。
「具体的には言えません。でもチャンスでどうするか。ミスをなくし、どう(トライを)とり切るかを考えるようになりました」
そんな努力の結果だろう、早慶戦では圧勝し、この日の早明戦でも、早稲田らしいスピーディーな攻撃が随所にあった。PKからの速攻でWTB原田が45m独走トライを奪い、ラインアウトのクイックスローからの連続攻撃でフランカー金正奎がトライを重ねた。
ただし、である。まだ判断ミスも連係ミスも多かった。例えば、後半の中盤。SO小倉からFB井口剛志へのパスが乱れ、大チャンスをつぶした。直後の小倉のハイパントも精度が低く、相手に楽にフェアーキャッチを許した。
小倉が苦笑する。
「ゲームメイクは全然ダメでした。国立は秩父宮と違い、声援が地響きみたいになるんです。緊張で頭がボーっとなっていました」
兎にも角にも、早稲田が帝京大の大学選手権3連覇阻止の一番手に躍り出た。強力FWを倒すのは、この日の速い仕掛けとスピードである。
早稲田はこれで対抗戦2位となり、大学選手権では帝京大と反対ブロックに入ることになる。辻監督が言葉に力を込める。
「短期間でここまで成長した選手を誇りに思う。精度アップして大学選手権に臨む。やりますよ」
「これぞ早明戦」という熱戦を制した“変身”した早稲田。さらなるレベルアップで「打倒!帝京大」をもくろむ。
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「下に刺さるタックルをやってくれました。全員で下に行こうと言っていたんです。下に行ってつながれたらどうするのだ。もうひとり、下に行けばいいじゃないか、って」
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明治、ボールをキープできず、今度は左サイドにプロップ小野慎介が持ち出した。直前、ラックが押されたものだから、交代出場のSH田川明洋がつい、早稲田のタックラーを邪魔するかのようにラックにゆっくり寄っていった。レフリーの笛が鳴る。
「オブストラクション」
これでペナルティにするかという気もしたが、早稲田の全員で前に出る意識が相手の反則を誘発した。すなわち、集中力の差。
このPGを、WTB原田季郎が左足で蹴り込んだ。18−16。逆転に次ぐ逆転の競り合いについにケリをつけた。
「運がよかったと思います」
早稲田の山下昂大主将はそう、つぶやいた。
「とにかく前に出る。最後の場面、ボールを停滞させたくなかったので、プレッシャーをかけ続けた。球を出してくれれば、タックルできるチャンスがあると思ったのです」
12月4日の日曜日。スタンドには2万9千人が押しかけた。寂しい数字ながら、両チームが優勝の可能性を失った状況では健闘というべきか。
とくに今シーズン、これまでの早稲田の不振は深刻だった。筑波大に完敗し、帝京大にも惜敗した。個人技頼みの雑なラグビーで、そのまま迷走するかと思われた。だが、そこは早稲田。
辻監督は帝京大戦後の1週間、思い切って選手だけに練習を任せ、意識改革を促した。夜、SHとSOのハーフ団だけを監督室に呼び、映像を見せながらゲームマネジメントを勉強させた。
SH西橋勇人が言う。
「プレイ選択の引き出しが増えました。監督に教えてもらったのもあるし、自分で考えたものもあります」
1年生SOの小倉順平はこうだ。
「具体的には言えません。でもチャンスでどうするか。ミスをなくし、どう(トライを)とり切るかを考えるようになりました」
そんな努力の結果だろう、早慶戦では圧勝し、この日の早明戦でも、早稲田らしいスピーディーな攻撃が随所にあった。PKからの速攻でWTB原田が45m独走トライを奪い、ラインアウトのクイックスローからの連続攻撃でフランカー金正奎がトライを重ねた。
ただし、である。まだ判断ミスも連係ミスも多かった。例えば、後半の中盤。SO小倉からFB井口剛志へのパスが乱れ、大チャンスをつぶした。直後の小倉のハイパントも精度が低く、相手に楽にフェアーキャッチを許した。
小倉が苦笑する。
「ゲームメイクは全然ダメでした。国立は秩父宮と違い、声援が地響きみたいになるんです。緊張で頭がボーっとなっていました」
兎にも角にも、早稲田が帝京大の大学選手権3連覇阻止の一番手に躍り出た。強力FWを倒すのは、この日の速い仕掛けとスピードである。
早稲田はこれで対抗戦2位となり、大学選手権では帝京大と反対ブロックに入ることになる。辻監督が言葉に力を込める。
「短期間でここまで成長した選手を誇りに思う。精度アップして大学選手権に臨む。やりますよ」
「これぞ早明戦」という熱戦を制した“変身”した早稲田。さらなるレベルアップで「打倒!帝京大」をもくろむ。
