もちろん、決して無理やり女性の髪を切っているわけではない。また、女性から要望があれば、カツラを無料で提供することもあるという。髪が一定の長さに伸びるまで彼女たちはカツラをかぶり、ヘアカット前後で何も変わりない日常生活を送るというわけだ。

サイトのPVは約10,000/日、売上は1日平均1,000元程度(約1万2,400円)。実際に動画を購入する人の多くは海外ユーザーで、中でも日本のユーザーは全体の28%を占めるほど、突出して割合が高い。これに米国(12%)、ドイツ(9%)、インド(5%)と続いている。

中国の国内では、広東省や上海、江蘇省のユーザーが比較的多いとのことだが、これは大都市のほうが比較的ネット環境が発達していることも影響しているだろう。ただ、一般的に中国人ユーザーは興味本位でサイトを覗くだけなので、ターゲットはあくまで海外ユーザー。そのため「芳飛剪髪網」は、中国語版以外に日本語版と英語版も用意している。


◎内陸の街・武漢にこだわり

数ある中国の都市の中から、潘さんが武漢の地でサイトを運営しているのは、コストとモデルの供給量によるところが大きいという。武漢は急速な発展を続けている都市だが、沿岸部の北京や上海、広州といった大都市に比べれば物価が低い。また、大学生や専門学校に通う学生が市人口の約10%(約100万人)にも達する学園都市という点が、若いモデルを常に探す必要がある潘さんの思惑とピッタリだったわけだ。


◎モデルに応募する理由

取材当日、カットに訪れた女性の一人に話を聞くことができた。20代前半の彼女は、大学で経済を学んでいるとのこと。モデルに応募した理由は「お小遣いが欲しかったから」と単純明快で、「怖いとは思わなかった?」との質問には、「このサイトは政府の許可証がきちんと出ていたから大丈夫だと思った」と話してくれた。彼女はスキンヘッドや坊主頭にするわけではなかったので、その分、敷居が低かったのだろう。なお、彼女と一緒にやって来た女性の友人は、撮影後、彼女に影響されたのか「自分もカットして欲しい」と潘さんに懇願していた。


◎今後どうする?

現時点で中国の国内に「芳飛剪髪網」と同様のサイトは少なく、競合と呼べる相手はあまりいない。そのため今後も続けていけばさらなる発展が見込める可能性はあるが、潘さんはいま、運営を継続するかどうか悩んでいる。

潘さんは交際中の恋人と年内に結婚する計画を立てているそうで、そのタイミングでサイトごと売却する案が持ち上がっているからだ。もともと長い間運営する予定ではなかったということもあるようだが、やはりこうしたサイトならではのリスクも、いろいろと抱えているのだろう。

ちなみに、潘さんの現在の手取りは月5,000元(約6万2,000円)程度あり、同年代の中国人と比べても決して悪い収入ではなく、単純に金額だけで言えば、潘さんが以前携わっていたどんな仕事よりも収入は多いという。引き続き「芳飛剪髪網」を運営していくのか、それとも貯金したお金で別の仕事を始めるのか、2011年は潘さんにとって大きな節目の年となりそうだ。