感情的な行動が減少!?子ども自身が「気持ちをコントロール」できるようになる生活習慣【子ども脳疲労】
脳が回復すると感情的な行動が減る
「こころの脳」が安定のカギ
子どもは突然怒り出したり、思い通りにならないとすぐに強い言葉を口にしたりします。先ほどまで普通にしていたのに、急に泣き出し、ものに当たりはじめるのはよく見られるケースです。親御さんのなかには「どうしてこんなに感情的なのだろう」と戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
こうした反応は、性格の問題というよりも、脳の疲れと深く関係しています。疲れがたまっている状態では、感情を受け止めて調整する力が弱まります。イライラや不満を感じたとき、それをいったん受け止めてから行動を選ぶには、脳の働きが必要です。とくに書籍54ページで紹介した「こころの脳」は、衝動を抑えたり、状況を判断したりする役割を担っています。この部分が疲れていると、気持ちにブレーキをかけられず、感情がそのまま行動として表に出やすくなるのです。
一方で、「こころの脳」が安定して働いているときは、同じ出来事に対しても反応の仕方が変わります。腹が立つことがあっても、すぐにぶつけるのではなく、ほんの少し考える間が生まれます。その間があることで、「今は我慢しよう」「別のやり方を試してみよう」といった選択が可能になるのです。感情そのものがなくなるわけではありませんが、それをそのまま外にぶつけることが減っていきます。突発的な衝動が抑えられ、全体として落ち着いた状態が保たれやすくなります。
注意の前に回復する時間を確保
子どもの感情が強く出ているとき、親としては「ちゃんとしなさい」「落ち着きなさい」と言いたくなりますが、落ち着くための力そのものが不足している状態では、いくら指摘したところで十分に届きません。注意や叱責を重ねるほど、かえって緊張が高まり、さらに感情が荒れやすくなる可能性もあります。まず必要なのは、「こころの脳」が働けるだけの余力を取り戻すこと。そのためには、睡眠や生活リズムを整え、回復の時間を確保することが大切です。
感情がそのまま行動に出にくくなるということは、自分で行動を選択する余地が広がるということでもあります。怒りや不満を感じても、それをどう表現するかを選べるようになり、そこに自律の芽が育っていきます。落ち着きや判断力は、親の指導だけでのみ身につくものではないのです。
このように、感情の爆発を抑え込むことを目標にするのではなく、まずは疲れを抜くことに目を向けましょう。「こころの脳」が安定して働ける状態を整えることで、子どもは少しずつ自分で気持ちをコントロールできるようになります。その積み重ねが、安定した行動へとつながっていきます。
落ち着きは脳疲労の有無で変わる
脳が疲れていると感情がそのまま行動に出やすくなります。一方で、回復すると落ち着きが生まれ、自分で行動を選べる余裕が戻ります。
【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子
【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。
