衝撃5発。なぜオランダはスウェーデンを圧倒できたのか。構造のミスマッチを狙い撃ち。指揮官の采配も的確だった【現地発】
しかし、オランダはスタメンに抜擢されたFWブライアン・ブロビー(サンダーランド)が立て続けにゴールを決めて、2−0で前半を終えると、後半にはコディ・ガクポ(リバプール)の2得点で4−0に。
スウェーデンのグレアム・ポッター監督は、欧州プレーオフの2試合で4得点と大車輪の活躍を見せたヴィクトル・ヨケレス(アーセナル)と、怪我から復帰してきたアレクサンデル・イサク(リバプール)という強力2トップを最大限に活かすべく、4−3−3のオランダに3−5−2(自陣の守備は5−3−2)をぶつける。
だが、中盤の底から起点となるフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)が空きやすくなり、ベンジャミン・ニグレン(セルティック)が前に出て距離を詰めれば、左ウイングから中に流れるガクポと前線に張るブロビー、彼らの合間にポジションを取るティジャニ・ラインデルス(マンチェスター・C)にも時間とスペースを与えてしまった。
象徴的だったのが、オランダの先制シーンだ。左センターバックのフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)からパスを受けたGKバルト・フェルブルッヘン(ブライトン)のロングフィードをブロビーが受けて、イサク・ヒエン(アタランタ)を背負いながら左手前のラインデルスに落とす。
その流れに連動したガクポが左側から追い越して、ワイドパスを引き出した。ガクポの動きにブロビーと右サイドのドニエル・マレン(ローマ)が連動し、グラウンダーのクロスにブロビーが合わせる形でゴールネットを揺らした。
ガクポは「様々なポジションに選手が顔を出し、動きも多かった。その結果、スウェーデンの守備陣はマークするのが難しくなり、私たちはボックス内でフリーになることができた」と振り返る。
オランダの動きがスウェーデンの対応を難しくしたことは確かだが、構造的なミスマッチが、基本的にはボールを持つ側になるオランダにとって有利に働いた側面はあるだろう。
2点目もスウェーデンの守備のズレをオランダがうまく利用し、左サイドを起点に中央、右へと展開。外側のデンゼル・ドゥムフリース(インテル)をフリーにしたことで、シュート性のクロスからブロビーの2点目に繋がった。
2点のビハインドを負ったポッター監督は、4−3−3にシステムチェンジして、前からのプレスと前線からの圧力を強めようとしたが、オランダがスウェーデンの攻め手を裏返すように、ガクポが2点を決めて、後半の早い時間帯でオランダが試合の大勢を決した。
「日本は非常に規律が取れていました。私たちにもチャンスはありましたが、今日のような決定的なチャンスではありませんでした」とガクポ。
前線の攻撃力を売りにするスウェーデンがオランダに対して、相手の良さを消すよりも自分たちの強みを出すプラン自体は悪くない。しかし、そこには相応のリスクがあり、この試合に関してはオランダがスウェーデンの強みの裏にある隙を逃さず突く結果となった。
また、この日は日本戦で多くの批判を浴びたロナルド・クーマン監督の采配も的確だった。堅実な指揮官らしく、あくまで攻守のバランスは重視したが、ブロビーの抜擢に加えて、後半のスタートから右サイドにサマービルを投入してスウェーデンの左からの攻撃を牽制するなど、試合運びにマッチした采配が目に付いた。
欧州対決を制し、首位通過に前進したオランダが、悲願の優勝に向けてどう進んでいくのか。日本の順位にも大きく関わるチュニジア戦も引き続き注目したい。
取材・文●河治良幸
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