イスラエル国旗=ロイター

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 【エルサレム=福島利之】米国とイランの戦闘終結に向けた協議の合意に対し、イスラエルでは与野党を問わず不満を募らせている。

 合意でイランの核開発やミサイル製造の中止が先送りされ、自国に対する脅威は消えていないと受け止めているためだ。イスラエルが合意のかく乱要因となる可能性は残っている。

 ベンヤミン・ネタニヤフ政権を支える極右政党党首のイタマル・ベングビール国家治安相は15日、「我々はトランプ米大統領の合意には縛られない。この合意は我々の安全を保証しない」との声明を出した。さらに、イスラエルは合意の当事者でなく「合意に従う義務はない」と主張した。

 与党の幹部だけでなく、野党も合意への不満を示している。ベヤハド(共に)党のヤイル・ラピド前首相は「イスラエルの安全保障政策の衝撃的な失敗だ」と批判した。

 イランとの戦闘は2月、ネタニヤフ首相がトランプ氏を巻き込む形で始まり、最高指導者アリ・ハメネイ師ら政権中枢を次々と殺害した。イスラエルは、イランの核施設やミサイル施設の破壊のほか、中東各地の反イスラエル勢力への支援の停止を目指した。

 しかし、イランの反撃は続き、イスラエルが見据えていた体制崩壊は実現しなかった。戦闘が行き詰まるにつれ、世界経済への影響を懸念する米国とイスラエルの思惑の違いがあらわになり、イスラエルは交渉で蚊帳の外に置かれた。

 交渉が大詰めを迎える中で、イスラエル軍は14日、レバノンの首都ベイルート南郊の親イラン勢力ヒズボラの司令部を空爆した。「合意の阻止」(有力紙ハアレツ)を狙った動きだが、トランプ氏の怒りを招いただけだった。右派有力紙マアリブ(15日付)は「イスラエルは今、トランプ氏を戦争に引き込んだ代償を払っている」と論じた。

 ネタニヤフ氏は15日午後の時点で沈黙を保っているが、地元メディアによれば、イスラエル軍は合意発表後もレバノン南部での戦闘を続けている。カッツ国防相は15日、「イスラエル軍はレバノン(南部)の治安地域に駐留を続ける」との声明を出した。戦闘が激化してイランの反発を招く火種となる可能性は依然残っている。