未来は過去にアリ? 麗しきリバイバル・モデル 10選(1) 33ストラダーレにカウンタック リモコン操作だったSMトリビュート
過去に未来を求めたリバイバル・モデル
最近のモデルは安全性や空力特性が追求され、サイズが拡大するのと同時に、必然的にフォルムが収束する方向にある。新しいスタイリングを創出するデザイナーたちが、もっと自由だった時代のクラシックへ、アイデアを求めたとしても不思議ではない。
【画像】クラプトンの特注フェラーリからM1まで 麗しきリバイバル・モデル そのオリジナルも 全160枚
ミニ・クーパーやフィアット500、アルピーヌA110などは、そんな傾向を如実に体現したモデルだろう。だが、オリジナルの素晴らしさを知っている人は、歓迎しないかもしれない。往年の方が美的水準は高かった、とお感じの人は少なくないと思う。

DS SMトリビュート(2024年)
ピニンファリーナやベルトーネ、イタルデザイン、ザガートといった名門は、今でも息を呑む造形美を創出してきた。そんな黄金期に、経緯を示すことは当然ともいえる。
そこで今回は、過去に未来を求めたリバイバル・モデルの中で、筆者へ強い印象を残した10台を選出してみた。読者が復活を望むクラシックは、きっと他にもあるだろう。
アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(2023年)
新たなフラッグシップモデルとして、アルファ・ロメオが2023年に発表したのが33ストラダーレ。「回顧ではなく感動」を求めた、デザイナーのアレハンドロ・メソネロ・ロマノス氏とセザール・バロー氏は、1960年代のオリジナルが持つ美形を尊重した。
コーチビルダー、カロッツエリア・トゥーリング・スーパーレッジェーラ社が製造したのは、僅か33台。3.0L V6ツインターボで620psの後輪駆動か、トリプルモーターで750psの四輪駆動を選択できたが、最高速度はどちらも321km/hに届いている。

アルファ・ロメオ 33ストラダーレ(2023年)
パーソナライズも可能だったが、最終的にはアルファ・ロメオの承認が必要だった。お値段は、仕様次第で250万ポンドに達したといわれるが、瞬く間に完売したそうだ。
マニアな小ネタ:これには、開発が中止されたスーパーカーの技術が流用されている。カーボン製モノコックの下半分を、マセラティMC20と共有するのはそのためだ。
ランボルギーニ・カウンタック LPI 800-4(2021年)
1971年に発表された、カウンタック LP500 プロトタイプの50周年を祝うべく、2021年に発表されたのがカウンタック LPI 800-4。開発コードにちなんで、販売は112台に限られたが、技術水準は量産モデルと肩を並べた。
「過去に触発され、未来へ向けて生み出される」という主張どおり、キャビン部分はカーボン製モノコックで、6.5L V12エンジンはハイブリッド化。814psの大パワーは前後4本のタイヤへ伝えられ、0-100km/h加速2.8秒、最高速度354km/hが主張された。

ランボルギーニ・カウンタック LPI 800-4(2021年)
ベースは、同時期のアヴェンタドールの進化版となる、シアンFKP37。スタイリングを担当したのはミチャ・ボルケルト氏で、「コピーやレトロデザインではなく、オリジナルのオマージュとして、独自性あるデザインの創出を目指しました」としている。
マニアな小ネタ:特別な顧客へ届けるべく、オリジナルのLP500のワンオフ・レプリカも製作されている。
DS SMトリビュート(2024年)
2014年にシトロエンから独立し、高級ブランドとして再出発したフランスのDS。その10周年を祝うモデルを生み出すに当たり、インスピレーションを求めたのはシトロエンSMだった。相応しい選択だったと筆者は思う。
2024年に発表されたSMトリビュートは、フロントノーズにガラスパネルを備え、リアタイヤはスパッツが覆い、シルエットはまさに1970年代のSM。他方、インテリアは徹底的にモダンで、ステアリングホイールは四角く、タッチモニターが正面に並んだ。

DS SMトリビュート(2024年)
同時に、楕円形のメーターなどオリジナルの雰囲気も共存。デザイナーのティエリー・メトロ氏は「SMの再現ではなく、再解釈をしたのです」と主張している。
マニアな小ネタ:あくまでも試作的な提案で、パワートレインは未完成。発表された会場では、リモコンで操作されていた。
イソ・リヴォルタ GTZ(2021年)
ソニーのレーシングレーム、グランツーリスモで2017年に姿を表したのが、リヴォルタ GTZ。ジョルジェット・ジウジアーロ氏が1960年代に手掛けたイソ/ビッザリーニ・グリフォ A3ストラダーレを、コーチビルダー、ザガート社が仮想的に蘇らせたのだ。
それを機にイソ・ブランドは復活し、現実的なモデルは2021年に登場。デザインを手掛けたのは原田紀彦氏で、ネオクラシカルなアプローチで生み出したと主張されている。

イソ・リヴォルタ GTZ(2021年)
技術的なベースとなったのは、シボレー・コルベット C7。カーボン製ボディが、6.2L V8スーパーチャージャーエンジンを包んだ。最高出力は669psで、315km/hの最高速度と、0-100km/h加速3.7秒が主張され、19台が提供されている。
マニアな小ネタ:イタリアのイソ社を創業したレンツォ・リヴォルタ氏の孫娘、マレッラ・リヴォルタ氏は、ザガート社の創業者、ウーゴ・ザガート氏の孫と結婚している。
アレス・パンサー・プロゲット・ウノ(2017年)
2014年に創業し、スーパーカーを受注で生産するアレス・モデナ社。レジェンズ・リボーン・プロジェクトとして最初に取り組まれたのが、「1970年代の伝説、デ・トマソ・パンテーラを包括的に再造像する」ことだった。
ベース車両はランボルギーニ・ウラカンで、5.2L V10エンジンは659psまで上昇。スタイリングはミハイ・パナイテスク氏が手掛けている。2017年に発表され、価格は61万5000ユーロと超高額だったが、21台の生産数はすぐに埋まったという。

アレス・パンサー・プロゲット・ウノ(2017年)
「伝統的な職人技術と、最先端の技術や製造技術の融合」とエレス社は主張。2023年には、進化版のパンサー・エボも発表されている。
マニアな小ネタ:リトラクタブル・ヘッドライトが採用されているが、これは公道用モデルとしては2004年以来。安全性を理由に、大手メーカーによる採用は難しい。
この続きは、麗しきリバイバル・モデル(2)にて。
