アメリカのAI国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」、日本が初の国際パートナーとして参画…11分野で共同研究
【ワシントン=中根圭一】日米両政府は4日、人工知能(AI)を活用して科学的発見や技術革新を加速させる米国の国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」に、日本が初の国際パートナーとして参画すると正式発表した。
自律型実験室システムの開発や先端材料など11分野でAIを利用して共同研究を進める。日本の研究力の底上げにつなげ、日米が連携して中国に対抗する。
柿田恭良・文部科学審議官と松尾剛彦・経済産業審議官が4日、米ワシントンのエネルギー省で日本の参画に関する意向表明書に署名した。米側は、プロジェクトの実務責任者を務めるダリオ・ギル科学担当次官が署名した。
共同研究の核となる11分野はほかに、量子情報科学、核融合、バイオ、素粒子物理学など。それぞれで日米共同研究チームを結成する。日本の理化学研究所の「富岳」など、日米それぞれが誇る世界最高水準のスーパーコンピューターの利用が可能となる。膨大な科学データとAIを結び付け、新たな仮説を提示したり、実験や計算の作業効率を大幅に高めたりし、画期的な成果を追求する。
自律型実験室システムの開発では、理研や物質・材料研究機構、東京大が米エネルギー省傘下の国立研究所と連携し、AIとロボットを活用して科学実験の自動化に挑む。両国が蓄積してきたデータも共有するが、取り扱いについては研究チームごとに利用計画を定めて管理する。
日米は今後5年間で10億ドル(約1600億円)、このうち日本から5億ドル(約800億円)を拠出する。
プロジェクトは2025年11月に始まったトランプ米大統領肝いりの国家事業。原爆開発の「マンハッタン計画」や人類初の月面着陸を成し遂げた「アポロ計画」に並ぶ位置付けで、研究開発の生産性を今後10年で倍増させる目標を掲げる。ギル氏は署名後の記者会見で「日本は我々が最も信頼できる同盟国の一つだ。日米関係や科学技術分野の協力を強化するために全力を尽くしたい」と述べた。
木原官房長官は5日午前の記者会見で「量子や核融合など様々な先端科学技術分野での協力が拡大、強化される」と意義を説明。AIを活用した科学研究については「日米連携を含む国際連携や各種施策を一体的に推進していく」と語った。
