“隣家の空き家”に「ハチの巣」が! わが家が業者に「5万円」で駆除してもらいましたが“所有者に請求できる”って本当ですか? 費用請求の根拠と「トラブルの実態」を確認
費用請求の法的な根拠
民法第717条には「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」とあります。
空き家の所有者には建物を適切に管理する義務があり、管理を怠ったことで蜂の巣が作られ、近隣住民に危険が及んだ場合には、所有者は過失を問われる可能性があるのです。
また、民法第697条においても、義務のない他人のために良かれと思って行った行為は「事務管理」とみなされ、かかった費用を請求できる仕組みがあります。
ただし、法律上請求できることと、実際にすんなり支払ってもらえるかは別の問題です。
勝手に敷地に入って駆除するリスクとトラブルの実態
「所有者が対応しないなら、自分たちで業者を手配して後から請求しよう」と考える人もいるかもしれません。しかし、所有者の許可なく隣地へ立ち入る行為は、危険を排除する目的であっても、不法侵入と主張されるなどのトラブルに発展するリスクがあります。
また、駆除業者が作業中に敷地内の物を破損した場合、逆に損害賠償を求められる可能性も否定できません。さらに、所有者が「依頼していない以上、費用は支払わない」と主張するケースも考えられます。
その場合、5万円を回収するために裁判などの法的手続きを行う必要がありますが、時間や労力を考えるとかなりの負担です。近隣トラブルは一度こじれると長期化しやすく、日常生活にも大きなストレスを与えます。
だからこそ、個人で直接対応する前に、自治体など公的機関へ相談することが重要です。
トラブルを防ぐ手順の第一歩は自治体への相談
隣家の蜂の巣を見つけたら、自分で動く前に自治体へ相談しましょう。多くの自治体では、空家等対策の推進に関する特別措置法や独自の条例に基づき、空き家の適正管理を指導する窓口を設けています。
自治体から所有者に対して、「蜂の巣があり近隣から苦情が出ているため、早急に駆除してください」と指導や勧告を行ってもらうのが最も安全な対処法です。公的な機関が間に入ることで、感情的なもつれを防ぐことができます。
また、自治体によっては、所有者が不明で子どもが蜂に刺されたなど緊急性が極めて高い場合、自治体が代わりに駆除する「緊急代執行」を行うケースもあります。そのため、まずは相談することが重要です。
自費で駆除せざるを得ない場合の証拠保全と手順
役所に相談しても所有者と連絡がつかず、身の危険を感じて自費で駆除せざるを得ない事態になった場合でも、後日、所有者に費用を請求する可能性があるなら、証拠をしっかりと残しておくことが重要です。
「写真や動画」だけでなく、「自治体にいつ、誰が相談したか」の記録も、後日「緊急性が高かった」と主張する際の強力な証拠になります。そして、駆除業者が発行する見積書と請求書、領収書の3点は必ず保管しておきましょう。
その後、自治体などを通じて所有者の連絡先が判明した際に、緊急避難的に対応した事実とともに費用の負担を求めます。
ただし、相手が支払いに応じない場合、少額訴訟などの法的手続きを進めることになりますが、かなりの負担になる可能性があります。だからこそ、最終手段として自腹を切る前に、粘り強く自治体に対応を求めることが重要になります。
まずは自治体に相談し、自腹駆除は最終手段にしよう
民法第717条に基づけば、管理を怠った空き家の所有者に対して近隣の住民は蜂の巣の駆除費用5万円を請求できる余地があります。しかし、所有者の許可なく敷地に入って駆除を強行すれば、住居侵入罪などの近隣トラブルに発展するリスクが伴うため、避けるべきです。
家族と平穏な暮らしを守るためには、直接請求する前に自治体の窓口へ相談し、公的機関から所有者へ管理の改善を指導してもらう手順を踏むのが最も良い方法です。被害が発生する前に1日でも早く駆除してほしい気持ちは理解できますが、まずは自治体へ相談して対処を促してもらいましょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

