日本サッカー協会(JFA)は21日、都内で記者会見を行い、6月に大阪で行われる国際親善試合・南アフリカ女子代表戦に臨む日本女子代表(なでしこジャパン)メンバーを発表した。今月14日に就任が発表された狩野倫久新監督と、佐々木則夫女子ナショナルチームダイレクターが登壇し、質疑応答を行った。

●佐々木則夫女子ナショナルチームダイレクター

「いよいよ新監督の狩野監督が6月に初陣を迎える。そのメンバーということで注目をしていただき、ぜひ大阪に足を運んでいただきたい。監督の初采配を含めて、また新たななでしこジャパンのワールドカップに向けてのスタートにもなるので、ぜひご協力をいただきながら、多くの方に注目していただけることを願っている」

●狩野倫久監督

「大阪で今回開催される国際親善試合、本当にご尽力いただいた関係者の皆さまに感謝を申し上げます。遠くアフリカから来ていただける南アフリカのチーム、選手、スタッフ、関係者の皆さまに心より敬意と感謝を申し上げます。今回、われわれにとって初陣となり、ブランニュースタート、門出になる。われわれにとって就任会見と同様、世界一奪還に向けた非常に重要な初戦になる。そこに向けて、また新たなスタッフも加わり、新たに躍動したチームを作るべく、この1試合に、トータルしたら2試合あるが、初戦に向けてチーム一丸となって勝利に向けて全力で取り組んでいきたい」

─4月のアメリカ遠征で出た課題や収穫を踏まえて、どのような活動にしたいか。

狩野監督

「特に代行で指揮官を務めさせていただいたアメリカでの3試合は、もちろん私も関わってきたので、そこでの気づきや課題、成果は、今後のなでしこジャパンに生かしていく必要もある。ポイントで継続していくことは取り組んでいきたい。でもわれわれとしては、W杯から逆算したなかで、まず立ち上げとなる初戦に向けて、躍動感のある姿を見せられるように、またコンセプトをしっかりとチーム一丸となって共有したなかで、選手個々にアイデアを出してもらい、自分の良さを出してもらえるような、そういった活動になるように考えている」

─DF竹重杏歌理(フェイエノールト)とMF伊東珠梨(ノジマステラ神奈川相模原)が初招集となった。

狩野監督

「竹重選手に関してはヨーロッパ、オランダでプレーしていて、高身長でなおかつフィットネスレベルが高い。左右差なくロングフィードが蹴れる。対人の強さもあるしDFとしての能力も高い。そういった部分をより今回のアフリカ勢の相手に対して、しっかりとしたDF力を求めてチャレンジしてほしい。伊東選手は中盤でのディフェンシブなボランチでのプレーヤー。そこからまた攻撃参加に行くところは、WEリーグでのノジマステラ相模原でも多く見せている。しっかりとした守備から躍動感のあるプレーは彼女の持ち味。それと同時に育成年代でもCBでプレーした経験がある。そういったところからのロングフィードも魅力。長短合わせたパスとしっかりとしたDF能力、そういったところをピッチで表現してほしい」

─狩野監督が代表選手に求める要素は何か。

狩野監督

「代表選手に求めていくものとしては、やはり特徴があること。ストロングポイントがあって試合に出て活躍しているが、それが平均的ではなくて、図抜けたものがあるということがひとつ。それはオン・ザ・ピッチのプレー面もそうだし、オフ・ザ・ピッチでの選手のキャラクターも関係してくるかもしれない。代表活動でいうと、期間が短かったり、回数の制限があるが、そのなかでもしっかりと自分を表現できるところ。またはピッチで合わせていくコンセプトから、自分の良さやキャラクターでコンセプトを越えていけるような選手が、W杯や大きな大会で必要になってくるとは思っている。個人の特長、ストロングポイントを重視しながら、それをいかにチーム力と合わせていくかというのはわれわれの仕事。選手にはそういうところに期待している」

─W杯から逆算ということで、どういう段階を踏んで一年間を過ごしたいか。

狩野監督

「逆算して最後の活動がW杯の壮行試合だと考えると、そこで皆さまにしっかりとお披露目して、最終形に持っていけるようにしていく必要がある。(そこまで)回数を数えるとトータル7回ある。特に、次のアジア競技大会(9月)。そこは国内の選手になるかと思うが、考え方としては今回の南アフリカとの試合における大阪でのキャンプと、アジア競技大会を1回と捉えている。なぜならば23名と23名、46名の選手に対して、しっかりとわれわれのコンセプトや選手を見極めたい。もちろんそこに入っていない選手もターゲットになっているが、それを1回と捉える。あとは残りの5回。6回目は壮行試合。そういった意味合いで期分けして作り上げていく。戦術的な柔軟性やオプションを増やしていくこと、それはもちろん対戦国も変わってくるわけで、しっかりと自分らの中でプランを立ててやっていく」

─国内組の伊東はアジア大会にも呼べそうだが、今回の海外組に組み込んだ理由は何か。

狩野監督

「伊東選手はもちろん両方エントリーできる可能性がある。でも、彼女が持っているポテンシャル、大きなところでいうとフィットネスレベル、特に中盤での守備、そういったものをアフリカの選手に対して発揮できるかを含めてチャレンジしてほしいという意図がある。もちろんアジア競技大会も重要だが、アジアでの戦いになるので。国際経験という意味で竹重選手や伊東選手といった新しい選手にチャレンジしてほしいという思いがあってエントリーした」

─キャプテンは誰に任せるか。

狩野監督

「キャプテンの捉え方として、キャプテンとほかの選手で何が違うのか、やることが違うのかというと、キャプテンだから特別に何かをやるということではない。われわれとして一年間でまず新しい選手・スタッフとスタートしていく中で、グループとしても誰がキャプテンになり得る人材か見極めることも必要。現時点で選手には何も伝えていないし、はっきり明言することは避けたい。そういった選手も含めて出てきてもらえることが、今後チームの力になることはたしかだと思っている」

─対戦する南アフリカの印象はあるか。

狩野監督

「南アフリカの特長は、アフリカのなかでもポジショナル。システマチックとは言わないが、しっかり組織されたイメージがある。アフリカ系の選手の特長であるスピード、パワー、一瞬の伸び、リーチの長さ、そういった部分においては、普段ヨーロッパやアメリカでプレーしている選手も多いが、(代表)チームとなったときは感覚的に違うものであったりと感じると思う。W杯を考えたら、グループには必ずヨーロッパ、南米、アフリカも入ってくる。そういった部分でそこを体感したり、経験することは非常に重要になる」

─今回のメンバーは新任の内田篤人コーチ、近賀ゆかりコーチ、佐野智之GKコーチと話して決めたのか。

狩野監督

「コーチングスタッフが決まった時期もあるが、メンバーを選考するなかで誰をピックアップするかという情報も含めて確認してシェアしている。今までのスタッフが多く情報提供しているが、新たなスタッフも含めて共有していることはたしか」

─キャプテンについて、過去のキャプテンは関係なく改めて横並びで見ていくということか。

狩野監督

「私の表現が曖昧だったかもしれない。キャプテンに何かを求めるわけではないという表現ではなくて、キャプテンである資質、リーダーシップであったり、前で引っ張っていく要素は非常に重要だと思っている。かといって、キャプテンだけがそれをするわけではないという意味で伝えさせていただいた。今そういった選手たちが、色んな部分で出てきてほしいということはたしか。経験、年齢的なこと、色んなことがプレーヤーの経験値になって、それがいいプレーにつながっていくことはたしかだが、我々が見ないといけないことは、この一年のなかで年齢や経験だけでなくフラットに見て、新たな門出でいい選手がピッチで表現していくことはたしかなので。招集した選手以外にもチャンスがあるということで、出てきてほしいという意味も込めて、そういう伝え方をした」

─初のフル代表となる竹重と伊東だが、世代別代表などで見てきたところからの成長をどう感じているか。

狩野監督

「私自身、その2人と関わったことはある。竹重選手はU-17やそのあとも色々スポットで携わってきた。伊東選手もアンダー世代の代表ではなく、もうひとつ下の年代のナショナルトレセンだったりU15で。私たちはその年代をずっと視察しているので、そのカテゴリーだけじゃなくて、そのときの成長も見てきたなかで、竹重選手もINACから海外に行った。伊東選手もノジマステラでプレーしていて、ほかの選手も同様に見て、その成長を実感したなかで今回招集させていただいた」

─佐々木氏はダイレクターとして初の活動。どのようにバックアップしたいか。狩野監督への期待はどうか。

佐々木ダイレクター

「より現場に寄って仕事をさせていただく。現場が活動しやすいような環境をさらに繊細に見ていき、協会とディスカッションしながら、より勝利に導けるような役職に変わった。狩野監督については、いまコメントを聞いてもわかるように、日本の女子の選手を熟知している。世界の動向を見た中で、どういう戦い方をしたらいいのか、パワーとスピード、戦術も高まる世界のサッカーと戦うなかでは、非常に大変な状況だと思う。より繊細に日本女子の選手たちに目配り気配りをして、戦術を浸透させ、チームへの忠誠心、スタイルを構築できるなかで、世界一を執るには一番適している人材。もちろん海外とか、ほかの日本の指導者も検討したが、狩野監督に託したということになる」

─DF遠藤優(ウエスト・ハム)とMF籾木結花(エバートン)はひさびさの招集となった。

狩野監督

「遠藤選手はディフェンス力、対人の強さ、そういったところがある。対戦国に対してしっかりとしたディフェンスを期待したい。そういった部分が取り組みとして見られていて、だからこそ今回親善試合で出してほしい。籾木選手はしっかりとした技術力、左足での違いを出せる技術力のところと、それを司るポジショニングや戦術理解度も彼女の良さ。そういったところも海外のリーグでも出していて、招集に値すると思って選んだ。今回のゲームでもいいパフォーマンスを期待している」

─内田氏ら新任が出たなかで、コーチングスタッフの役割分担は決まったか。

狩野監督

「コーチングスタッフでミーティングをしている最中で、細かなところはまず選手に発表したいという思いがある。そこはコーチングスタッフでミーティングを重ねて、また来週もあるが、役割分担をしたなかで、明確にそれぞれの強みをスタッフも生かしてほしいという思いがある。そのタスクも含めて、実行してもらえるように役割分担をしたい」

─W杯まで限られた活動になるが、今回確認したいテーマは何か。

狩野監督

「先ほどの回数でいうと6回。まずは初戦に向かうなかで、特に1回目のキャンプにおいて、われわれの目指すところ、目標とするところ、世界一奪還を再確認するなかで、躍動感のあるフットボールとはどういうことか、追求することは何なのかを、しっかりと自分たちが確認したなかでピッチで表現できるようにすることが、まず第一だと思っている。それがあって次のステップに進める。われわれはチャレンジャーということで、フレッシュな気持ちで、選手もスタッフも思い切って初戦に挑めるように準備をしたい」

─“躍動感のあるフットボール”とは具体的にどういうイメージか。

狩野監督

「もちろん現代フットボールにおいてシームレスになっているので、攻守の切り替えにおいて、日本人の特長であるクイックネス、アジリティ能力が高いことを含めたら、世界一を目指していく必要はある。それと同時に走ること。その2つは大きなキーワードになる。もちろん長い距離をスプリントすることも大事だが、短い距離を瞬間的に上げていくところでは、われわれの強みを生かしていけるし伸ばしていける。その強さをもって局面で戦っていける。そういった意味で、切り替えで世界を取っていく。そこから前方に飛び出し、アクションをしていくことは、非常に重要な要素になる」

(取材・文 石川祐介)