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ブリッツェン・ベンツ:21.5L

1909年、クリスティアン・ラウテンシュラガー氏(1877-1954)は6台のブリッツェン・ベンツを製作した。前年のフランス・グランプリで優勝したものと基本的に同じエンジンを使用しつつ、排気量を15.1Lから21.5Lに拡大している。

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ブリッツェン・ベンツは一時期、地球上で最速のクルマとして君臨し、陸上速度記録をはじめ、いくつかの非公式なタイトルも保持していた。主に直線での高速走行を目的に設計されたが、サーキットレースでもその実力を証明した。


ブリッツェン・ベンツ:21.5L

サンビーム1000hp:22.4L x 2

このサンビームは「ミステリー」、あるいは「スラグ」という呼称で知られている。同社製のマタベレ航空機用エンジンが2基搭載されており、排気量はそれぞれ22.4L。

総出力は、車名が示唆するほどではなく900ps近くだったとされているが、重要な点は、1927年2月にヘンリー・セグレイブ氏(1896-1930)の運転により陸上速度記録を更新したことだ。往復平均時速は203.79マイル(327.97km/h)で、従来の記録を30マイル(48km/h)近く上回った。


サンビーム1000hp:22.4L x 2

ゴールデン・アロー:23.9L

こちらのゴールデン・アローも陸上速度記録車で、23.9Lのネイピア・ライオン・エンジンを搭載している。このエンジンは単独で、少なくとも2台のサンビーム・マタベルに匹敵する出力を生み出す。

このエンジンとボディの空力設計により、ゴールデン・アロー(またしてもヘンリー・セグレイブ氏が運転)は、1929年3月に陸上速度記録を時速231.446マイル(372.476km/h)へと引き上げた。


ゴールデン・アロー:23.9L

バブス:27L

ルイ・ズボロフスキー伯爵は1920年代に、航空機用エンジンを搭載したレーシングカーを数台製作した。その多くは『チキ・バン・バン(Chitty-Bang-Bang)』という名称が付けられている。シリーズの4台目は『ハイアム・スペシャル』と呼ばれ、当時最大となる27.0LのV12リバティエンジンを搭載している。

1924年にズボロフスキー伯爵がメルセデスでのレース中に事故死した後、このマシンはJ・G・パリー・トーマス氏によって買い取られた。トーマス氏は改良を加え、『バブス』と改名して、1926年に陸上速度記録を時速170マイル(273km/h)に更新した。彼は翌年の別の記録挑戦中に亡くなった。1928年、レイ・キーチ氏は3基のリバティエンジンを搭載した『ホワイト・トリプレックス』で時速207.552マイル(304.023km/h)を記録した。同氏もまた、スピードへの情熱が災いし、1929年に命を落とした。


バブス:27L

フィアットS76:28.3L

ブリッツェン・ベンツの成功を受け、フィアットは1910年に「トリノの野獣」の異名を持つ強大なS76を2台製作した。そのエンジンは4気筒で、各シリンダーの排気量が7.1L近くに達する。かつては飛行船用エンジンから流用されたと言われていたものの、現在ではこの車両のために特別に設計されたものとされている。

S76は陸上速度記録を樹立できるほどの速さを誇ったが、1時間以内に往復走行を完了することはできなかった。2台とも行方不明と思われていたが、英国の愛好家ダンカン・ピタウェイ氏が、一方のシャシーともう一方のエンジンを用いてレプリカを製作し、レースに出場した。


フィアットS76:28.3L

ブルーバード:37.0L

サー・マルコム・キャンベル氏(1885-1948)が運用したブルーバードの最終モデルは、航空レース用に設計され、高速艇にも搭載されたことのあるスーパーチャージャー付き37.0Lのロールス・ロイスRエンジンを採用している。

最高出力2300psのこのエンジンを駆使し、キャンベル氏は1933年2月に時速272.46マイル(438.48km/h)、1935年3月に時速276.816マイル(445.49km/h)、そしてその5か月後にはついに時速301.129マイル(484.62km/h)という記録を打ち立てた。時速300マイルの壁を初めて破ったマシンだ。


ブルーバード:37.0L

パッカード・ベントレー(メイビス):41.8L

クリス・ウィリアムズ氏が所有する24.0Lのネイピア・ベントレーは、ヴィンテージカーイベントで大人気だが、オーナー本人はどうやら過激さが足りないと感じていたようだ。2010年、彼はさらに衝撃的な『メイビス』を完成させた。

1930年製ベントレー8リッターのシャシーをベースにしており、第二次世界大戦中に魚雷艇で使用されたパッカード4M-2500 V12エンジン(航空機用エンジンの船舶版)を搭載している。排気量41.8Lで、1500psを発生するとされている。


パッカード・ベントレー(メイビス):41.8L

ブルータス:46.9L

航空機用エンジンを搭載したクルマの中で、ブルータスほど圧倒的な存在はない。第一次世界大戦前のアメリカン・ラフランス製シャシーをベースに、46.9LのBMW VIエンジンを搭載している。

1920年代に設計されたこのエンジンは、BMWにとって初のV12エンジンであり、圧縮比を選択でき、出力は600psを超えるものから用意されていた。多くの航空機に搭載されたほか、1931年に時速143マイル(230km/h)を記録した実験的なプロペラ駆動の鉄道車両にも搭載された。


ブルータス:46.9L

キャタピラー797F:106L

キャタピラー797Fに搭載された106L 20気筒のC175-20ディーゼルエンジンは、約4000psを発生し、さらに2277kg-m(約2万2300Nm)というこの世のものとは思えないトルクを発生する。これは現行の鉱山用トラック(ホウルトラック)の中で最大級のものだ。同分野のエンジンは通常、電気モーターの発電機として機能することが多いが、キャタピラー797Fのエンジンは7速オートマティック・トランスミッションを介して後輪を駆動する。

ディーゼル・エレクトリック式のベラーズ75710(ベラルーシ製)は、797Fよりも物理的に大きく、積載量も大きい。しかし、こちらは2基のエンジンを搭載しており、1基あたりの排気量は65Lと、キャタピラーの単一ユニットよりもはるかに小さい。


キャタピラー797F:106L

MAN B&W 11G95ME-C9.5:2万6977L

最後に例外を1つ紹介して締めくくりとしたい。

これまでに挙げた全エンジンの総排気量は476.6Lだが、海運業界の基準で言えば、フィアット500のボンネットに収まる程度の大きさと言える。世界最大のエンジンとしては、2万5300Lのバルチラ・スルザーRTA96-C(フィンランド製)の名が挙げられることもあるが、実際には、MAN B&W 11G95ME-C9.5の方が大きい。


MAN B&W 11G95ME-C9.5:2万6977L

フォルクスワーゲン傘下のドイツ企業MANによると、この巨大な2ストロークエンジンの排気量は2万6977Lで、最高出力10万3000psを発生するという。搭載されているのは、スイス・イタリア合弁の巨大コンテナ船『MSC Jade』だ。2016年に建造されたJadeは、1万9224個のコンテナを積載でき、巡航速度は18ノット(約33km/h)とされる。

全長約400mを誇る同船は、世界最大級のコンテナ船の1つであり(最長の船よりわずか2m短いだけ)、米海軍の最新鋭ジェラルド・フォード級空母よりも18%長い。

写真ライセンス:https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.en