【累計1080万部】W不倫を描いた『あなたがしてくれなくても』の後日譚。本編で一番幸せになってほしいと思っていたあのキャラはどうなった?【書評】

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2025年に完結した『あなたがしてくれなくても』(ハルノ晴/双葉社)。“夫婦の関係が久しい”という共通の悩みを持つ男女が惹かれ合う模様をそれぞれの配偶者など様々な視点で描いた物語は、2017年の連載当初から大きな反響を呼びました。2023年にはテレビドラマ化もされ、累計1080万部(紙+電子)を売り上げた本作。その登場人物の後日譚を描いた『あなたがしてくれなくても Another story』が5月14日(木)に出版されました。
楓はファッション誌の編集者として昼夜もなく働くバリキャリ女子。多忙から新名との時間が取れず、時にイライラを夫にぶつけてしまうことも。その結果、新名とすれ違い、離婚に至ります。離婚後も仕事は順調。しばらくは恋愛を遠ざけようと思っていたところに、カメラマン・新田からアプローチを受けます。

新田とは結婚前、新人時代から一緒に仕事をしていた仲。お互いのこともわかっているし、仕事への理解もある。「面倒な感情をぶつけることもぶつけられることもない」「お互いを高め合える」という新田の言葉に、楓の返事は……。
本編を読み終えた時、個人的に一番これから幸せになってほしいと思っていたのが楓です。楓が新名にかけた言葉や仕打ちは確かに反省すべきものでしたが、仕事の疲れや焦りから親しい人に良くない態度を取ってしまう……というのは誰しも多少思い当たるもの。その経験を糧にもう一度幸せになってほしい!と思っていましたが、今回の後日譚は楓にとっての「幸せとは何なのか?」、そして「新名がどんな存在だったのか」がすごくよくわかる物語。楓にとって新名との結婚生活は嫌なもの、忘れたいものではないことがわかり、本編ファンとして嬉しい気持ちにもなりました。
みちの同僚・華はみちにとってよき相談相手。華の方がかなり年下ですが、「今から進む道は誰かを深く傷つけるって事を自覚して下さい」など、みちにとって手厳しい言葉もズバズバ。華の言葉は読者の心も打ちました。そんな華は「25歳までに結婚する」ことを目標にして絶賛婚活中。本作でも婚活パーティーに行くため、仕事を頑張って終わらせます。しかしパーティーにめぼしい人は現れず。25歳を目前に、婚活疲れが現れ始めていることを自覚します。そんな中、華はみちによく似た人物を会場内で発見。その引っ込み思案な様子にやきもきし……。

華は本作の中でもかなり好感度の高いキャラクター。いつもみちの話を真剣に聞いて、叱咤激励をしてくれました。「結婚すること」にわかりやすく重きを置いている人物だけに、華編の結末は本作の中でも一番意外なもの。そして華が好きな人はきっと嬉しくなる内容です。
一方、本編でみちをぞんざいに扱っていた陽一、そんな陽一と関係を持った三島はそこまで好感度の高くないキャラクターかもしれません。しかしふたりの後日譚には過ちを犯してしまった側だからこその読みごたえが。特に陽一は過去の自分と向き合い、考え方にも変化が見られます。筆者は陽一にあまり良い印象がありませんでしたが、この話からは「人はいつからでも変われる」というメッセージを感じ、本作を読んで良かったなと思いました。
それぞれが成長し、前を向く姿に「自分も前を向こう」と思える一冊。本編を振り返りつつ、ぜひ手に取ってみてください!
文=原智香
