【米中徹底解説】習主席が台湾独立に反対する趣旨の発言 トランプ大統領が応じたか「支持しない」と「反対」の言葉の重みとは
アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が開かれ、台湾問題をめぐり習主席が「独立に反対する」趣旨の発言をしたと報じられた。会談後、トランプ大統領は台湾問題に関する記者からの問いかけに答えなかった。ナゼなのか、「みんなのギモン」で徹底解説する。
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日本時間の午後2時すぎ、トランプ大統領は習主席とともに世界遺産の「天壇公園」を訪れた。
トランプ大統領
「素晴らしい、素晴らしい場所だ。中国は美しい」
天壇は、中国の明や清の皇帝たちが祭祀や豊作の祈願を行った場所で、中国側の歓待ぶりが表れているのではないかとも言われている。このあと人民大会堂で国賓を迎える晩さん会が開かれる予定だ。
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■習主席「台湾問題は米中関係で最も重要」

アメリカの大統領が中国を訪問するのは9年ぶりである。午前に行われた首脳会談の中で、習主席が「米中関係における最も重要な問題だ」と強調したのが「台湾問題」だ。台湾問題の中で、日本政府も非常に注目しているのが、トランプ大統領が「台湾の独立」について、これまでの立場を変えるのかどうかという点なのだ。
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中国は「一つの中国」を原則としており、当然「台湾独立には反対」の立場である。一方、アメリカのこれまでの立場は台湾の独立について、あいまいな表現にとどめてきた。バイデン前大統領は「台湾独立を支持しない」という表現は使ったが、明確に「独立反対」と言った歴代の大統領は1人もいない。
だからこそ、今回中国はトランプ大統領から「台湾独立反対」のような、これまでの立場と異なる「中国寄りの発言」を引き出すことを狙っているとみられる。
■専門家「“反対”は台湾への強いメッセージになる」

アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授によると、「支持しない」と「反対」ではニュアンスにかなり違いがあるという。「支持しない」は、もし台湾が独立するとなっても、それを支持しないだけで止めることはない。一方で、「反対」となれば、独立に向けた動きがあれば、それを止めるような台湾への強いメッセージになるだろうという。
これまで、アメリカは台湾に武器を売却するなど軍事的な支援で関係を強めてきた。もし「独立反対」とこれまでの立場を変更した場合、アメリカからの武器がストップする可能性もあって、台湾の軍事力が低下し、立場が危うくなってしまう。
■専門家「日本はアメリカから“はしごを外される”形に」

この問題は、日本にとっても他人事ではないという指摘がある。中国と台湾の関係が悪くなれば最悪の場合、武力衝突に発展して日本が巻き込まれてしまうことにもなりかねない。武力衝突にまでならなくても、台湾には半導体大手の「TSMC」があり、それが中国に取り込まれてしまうなどすれば、日本にも子会社があるため、経済的に大きな影響が出ることも心配されるという。
さらに小谷教授は、アメリカが反対したら「日本はどうする?」と中国にも台湾にも聞かれることになると指摘。日本はこれまでアメリカと一緒に台湾が力ずくで中国の一部にならないようにしてきたが、そのアメリカから完全に「はしごを外される」形になり、日本だけが中国と対立するような形になりかねないおそれもある。
■日本政府内では「現状維持」を理想のシナリオとみる声

首脳会談が始まる前、日本政府内には「これまで数々の予想を覆してきたトランプさんなので何とも言えない」という声もあった。しかし、事前にベッセント財務長官などアメリカ側に日本の考えを伝えたため、「腰抜かすようなことはない。アメリカが対中政策を大きく変えるような話にはならない」と楽観的な声が多く聞かれていた。
日本にとっては、トランプ大統領が波風を立てるような発言をせずに米中関係が「現状維持」のまま安定的に終わることが理想のシナリオとみられる。
■習主席「台湾問題を処理できなければ両国は衝突」と発言か
実際に行われた米中首脳会談では、習主席から「台湾問題を適切に処理できなければ両国は衝突し米中関係を危険な状態に追い込むことになる」などと、「台湾独立」に反対する趣旨の発言があったと報じられている。
これに対して、トランプ大統領は首脳会談のあと、天壇公園を訪れた際に、記者から「大統領!台湾問題について話しましたか?」と声をかけられたが、何も答えずにその場をあとにした。
いまのところ、アメリカ側が台湾問題にどう触れたか情報は入ってきていない。トランプ大統領は、15日まで北京に滞在し、その間台湾問題に関する発言をするかどうか、注目されている。
(2026年5月14日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
