【特集】「欠席がどんどん減っている」 毎週月曜日の小学校で「おにぎりの時間」 地域住民が握り子どもの笑顔が咲く【長野】
長野市の松ヶ丘小学校。子どもたちよりも早く教室にやって来た男性。
「おはようございます」
なぜか、手には炊飯器。始まったのは、そう、「おにぎり」作りです。
握っているのは、学校運営に参加している地域の住民=コミュニティスクールのメンバーたちです。使われているコメは、主に「こども食堂用」に無償で提供された国の備蓄米です。
この「朝のおにぎり作り」きっかけは、1年半前の、ある会話でした。
「校長先生から、朝ご飯食べていない子が結構いるんですよっていう話が出たんですよ。感覚として若干1、2名くらいいるのかなと思ったんだけど、10人くらいいそうなんですよっていうことで」
国の調査では、朝ご飯を「あまり食べない」または「まったく食べない」という子どもの割合は、小学生で6.3%、中学生では8.6%で、ここ数年増加傾向にあります。
毎週月曜日、朝の活動が始まるまでの約25分間がおにぎりの時間です。手渡されるおにぎりには、必ずひと言、言葉が添えられます。
「今日のハンカチは?」
「持っています」
「 これがいいかな。大きい?小さい? 」
「小さいの?これがいいかな、これが一番かわいい。はい、どうぞ」
おなかの空き具合に合わせて大きさもいろいろ。アレルギーに配慮して、誰でも食べられる塩むすびです。中にはおかわりする子も。
「 おかわりちょうだい!」
「じゃあ小さい方がいいかな」
山の斜面に建つ小学校。約500メートルの上り坂が続きます。朝ごはんを食べてきても小腹が空いてしまうという子もいるようです。
この日は、校庭で遊べない雨の日だったこともあって、全校児童の3割近くにあたる40人ほどがやってきました。朝の教室に、笑顔があふれます。
児童は
「めっちゃうまい。とてもおいしいのでお礼言いたい」
「(朝ごはん食べても、学校来るとおなか空いちゃう?)うん、空いちゃう」
「あんまり空かないけど、なんかおいしいから」
「寒いときとか、体あったまるね。ありがたいと思う。特別感がある」
用意された炊飯器2つ分、約70個のおにぎりはすべてなくなりました。
コミュニティ・スクールのメンバー
「子どもからいっぱいエネルギーもらっているからね、若返って嬉しいです」
1年以上続くこの取り組みは、学校にも変化をもたらしています。
松ヶ丘小学校 西澤直樹校長
「月曜日、一番足が重くなる日なんですけど、おかげさまで、みんな楽しく学校に来れているなと思っている。去年1年間の様子を見るだけでも、月曜日の欠席がどんどん減っているのは確かです」
地域の人たちと言葉を交わしながら味わう、温かいおにぎり。子どもたちの1週間の始まりを支えています。
コミュニティ・スクールのメンバー 松本裕文さん
「子どもたちに楽しく学校に来てほしい。小学校時代楽しかったなっていうふうになってくれると嬉しいなっていうのがあります」
■■
松ヶ丘小学校の取り組みに刺激を受けた女性もいます。長野市の美谷島ルーインさん。
台湾出身の美谷島さんは2017年、結婚を機に信州へやってきました。
家の外で朝食を食べるのが一般的だという台湾。「誰かと一緒に食べる朝ごはん」を広めたいと、今月から「朝の子ども食堂」を始めたばかりです。
美谷島ルーインさん
「(どんなことを思って握ってる?)みんな笑顔で、おいしいって食べている感じ」
この日は、塩むすびに加えタケノコ汁も用意しました。
地域の子どもはもちろん、食堂の前を通る通学途中の高校生などにも立ち寄ってほしいと話します。
美谷島ルーインさん
「最初は子どものために、でも大人の支援も入らないと。やはり子どもと大人の交流が大事かな。地区のために、じいちゃんばあちゃんと子どもの交流を、若い子育て中のママたちも支援して、誰でもこの店に入りやすいように」
朝ごはんと一緒に届けられる温かい気持ち。地域に、新たな朝の居場所が広がっています。
