加藤小夏、クールなイメージを覆すオープンな哲学 “今を楽しく生きる”マインドの源泉とは
MBS/TBSドラマイズム枠で放送されているドラマ『失恋カルタ』。梅澤美波(乃木坂46)、西垣匠と共にトリプル主演を務め、恋愛を冷めた目で見ている野田彩世役を加藤小夏が演じている。ホラーゲーム『SILENT HILL f』の主人公のモデルとしても世界的に話題となり、YouTubeのゲーム実況も人気を博している彼女に、どん底を経験して辿り着いた現在の死生観や恋愛観について語ってもらった。
参考:加藤小夏、『SILENT HILL f』から実力派俳優へ ゲーム実況がもたらした素顔とのギャップ
ーー撮影を終えてしばらく経つそうですが、振り返っていかがですか?
加藤小夏(以下、加藤): 撮影は本当に楽しかったです! (西垣)匠くんも(梅澤)美波も1999年生まれの同い年ということもあり、「私たち幼なじみだっけ?」というノリでずっと一緒にいたので。撮影が終わって急に会えなくなったから、今は幻を失ったような焦燥感が漂っています(笑)。美波とはプライベートでもご飯に行ったりしますけど、やっぱり劇中の「彩世の実家」で3人で過ごしたこたつの時間は、特別に貴重な場所でしたね。
ーー梅澤美波さんも、加藤さんの明るさのおかげで現場が打ち解けられたとおっしゃっていました。
加藤:嬉しいですね! でも私、ずっとこんな感じなんですよ(笑)。今回はトリプル主演ですし、現場は楽しいに越したことはないと思って、自分をさらけ出すというか、「私はオープンですよ」という空気を作るようにしていました。自分がどう見られても、それで作品が良くなるならいいじゃん、というマインドです。
ーーそのオープンな考え方はデビュー当時から変わらずですか?
加藤:昔はもっとネガティブだったんです。 でも、3年くらい前……23歳のときに、自分の中でどん底まで落ち込んでしまったことがあって。それ以降ですね、「今を楽しく生きなきゃ」と思うようになったのは。一度落ちるところまで落ちたから、あとは上がるしかない。 “今”という瞬間をすごく意識するようになりました。
ーーその時期を乗り越えたことが、YouTubeのゲーム実況など今の活動の幅にも繋がっていそうですね。
加藤:ゲーム実況がここまで話題になるとは、正直全く想像していませんでした。自分では「ダメかも、終わったな」くらいに思っていたので(笑)。YouTubeで多くの方に楽しんでもらえたことで、ファンの方との距離も近くなりましたし、クールに見られがちだったイメージも払拭できました。
ーー「クールに見られがち」というのはまさにそうで。自分もそのような印象を抱いていましたが、実際にお会いして印象が180度変わりました。
加藤:よく言われるんですよ。顔なんですかね?(笑)でも、女優の仕事もゲーム実況も、“人を楽しませる”ことに変わりはないじゃないですか。作品を観て「良かった!」と思っていただけるのも、ゲーム実況を見て「元気出た!」と思ってもらえるのも、根本は変わらないと思うんです。多くの方に楽しんでいただけると、私自身もここまでやってきてよかったなと思えるので。
ーー『失恋カルタ』で演じられている彩世も実際の加藤さんとは少し違うタイプのような気がしますが、実際はいかがですか?
加藤:それが少し似ているところがあって。彩世も私も、人と話すときに「変な受け取られ方しないかな」とか「相手を傷つけないかな」とかをずっと考えているんですよね。どの言葉を選ぶかをすごく考えてしまうというか。千波(梅澤美波)と光(西垣匠)と3人でいるときも、2人の気持ちを考えながら誰も傷つけないように気を遣って発言するんですけど、自分でも正解がわかっていないから、ずっとモヤモヤしている感じがある。そんな複雑な内面をずっと抱えている状態を意識していました。
ーー演じていて、特に印象に残っているシーンはありますか?
加藤:第8話です。彩世の思いが溢れ出す重要なシーンがあるのですが、それまでほとんどお芝居について具体的に話し合ったことがなかった井樫(彩)監督から、「加藤さんは、目をこう動かしたらこういうふうに見える、というのが上手にできちゃう。でも、今は下手くそになってほしい。下手くそでいい」って言われたんです。
ーー「下手くそでいい」というリクエストに応えるのはなかなか難しいですよね。
加藤:意識してしまうと本当に難しくて。実際、すごく不安な顔になったと思います。でも監督が「大丈夫、できるよ」と言ってくれて。力量やテクニックを全部捨てて、ただそこにある感情だけを信じて演じました。自分の中で新しい扉が開いたような、不思議な感覚でした。リアルがだだ漏れになっていると思うので、ぜひ注目してほしいです。
ーー加藤さんご自身の「恋愛観」についても聞かせてください。恋に真っ直ぐぶつかっていく千波と、恋愛を冷めた目で見ている彩世、どちらのタイプが近いですか?
加藤:どちらに近いかはなかなか難しいですね……私は相手によって結構変わる、カメレオンタイプかもしれません。いろんなことに敏感なので、「この人だったらこう過ごすのがベストだろうな」っていうのが直感でわかるんです。でも、たまに野生児みたいな自分が出ちゃう相手もいて、『猟奇的な彼女』の主人公みたいと言われたこともあります(笑)。
ーーそういう役は似合いそうですけど(笑)。結婚願望はあったりしますか?
加藤:結婚願望かはわからないですけど、「この人だけを幸せにしたい」みたいな気持ちはあるタイプなので、それが継続したら結婚するんじゃないかと思います。
ーー勝手なイメージで恐縮ですが、急に結婚を発表してパッと引退したりしそうですよね。
加藤:初めて言われました(笑)。めちゃくちゃ面白いですね! でも、このお仕事が大好きなので、それはないと思います。このお仕事って、“縁”でずっと続いていくじゃないですか。
ーー確かにそうですね。
加藤:この作品で出会った美波や匠くん、スタッフの方々も含めて、またぜひ一緒に仕事がしたいですし、一度つながった縁は途切らせたくない。このインタビューもそうで、今回のご縁でまたぜひインタビューもしていただきたいですし……していただけますよね?
ーーもちろんです! ぜひまた他の作品でも取材させてください。ちなみに、直近で何かやってみたいことや目標はありますか?
加藤:とにかく、より多くの人の心を動かしたいです。そのためには、過去にも出演させていただいたことのある大河ドラマ、あとは朝ドラなど、たくさんの人に届く作品に出て、無双したい(笑)。役柄でいえば、猟奇的なキャラクターとか……実はアンソニー・ホプキンスさんが大好きで、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターみたいな役にも憧れます。最近は、自分が知らない世界をもっと知りたいという欲がすごく強くなっているので、お仕事でも海外に行けるチャンスに巡り会えたら嬉しいです。
(取材・文=宮川翔)
