連敗を止めた柏。試合後にはサポーターと喜びをともにした。写真:永島裕基

写真拡大

[J1百年構想リーグEAST第16節]柏 1−0 川崎/5月10日/三協フロンテア柏スタジアム

 6連敗中と苦しむ柏にとっても予想外の出来事だったようだ。

 0−1で競り負けた浦和戦から中3日、ホームに川崎を迎えたゲーム。昨季就任した長谷部茂利監督の下でも4バックを貫いてきた川崎が、ミラーゲームを挑むかのように3−4−2−1で臨んできたのだ。柏のリカルド・ロドリゲス監督も振り返る。

「試合のメンバーが発表されて、11人のメンバーを見た時に(川崎が)3バックの可能性があるのではないかというのは予想しました。ただ(互いに)中3日での試合なので、この短期間でシステムを変えるのはどうなのかと疑っていたところがあります。長谷部監督とは、今まで彼が水戸や福岡を指揮している時にも何度も戦ってきていますが、今、川崎を指揮している時にも多く戦ってきて、一度も3バックで試合をすることがなかったので、この3日間、準備を進める際には基本4バックだと予想していました。ただメンバーを見た時にはその可能性があるのではないかということで、試合前にも選手たちには伝えました」

 意外な川崎の出方に戸惑った面もあったのかもしれない。さらに連敗中の影響もあったのだろう。前半の柏はいつも通り、アグレッシブにボールを動かすサッカーを展開するも、パスミスも見られ、どこかリズムが上がり切らない印象だった。逆に川崎にセットプレーなどからチャンスを作られるシーンもあった。
 それでも後半は柏の真骨頂を見せつける。

 55分にはCF垣田裕暉に代え、細谷真大、シャドーの汰木康也に代え、 瀬川祐輔を投入し、瀬川が「真大と俺が入ったら矢印がでかなくなる」と語ったように、前線によりエネルギーを注入する。

 さらに70分には3バック右の原田亘に代え、馬場晴也、ボランチの小西雄大に代え、原川力をピッチに送り出し、攻勢を強める。

「相手の足が止まっていた、ボールウォッチャーになっていた」と馬場が話したように、3−4−2−1に不慣れな川崎は、時間を経るごとに頭も身体も、疲労が溜まっていた。 

 もっともそれを差し引いても後半の柏のサッカーは機能性に優れ、美しかった。

 相手の状況を見ながら、いわゆる5レーンにポジションを取った選手たちがボールを引き出し、周囲もその動きを見逃さない。さらに3バックの右を途中から務めた馬場が幅を取って、相手の守備陣形を間延びさせるなど、崩すための手法は多岐に渡った。

 実際73分に相手ペナルティエリアの右、いわゆるポケットを取った馬場のクロスを、ファーで細谷が押し込んだ決勝弾の場面以外にも、ゴールを決まってもおかしくないシーンは数多くあった。

 しかし、フィニッシュの質に課題を持っている点が、やはり百年構想リーグの低迷につながっているのだろう。

 それでも悩めるストライカー、細谷に百年構想リーグでの2点目が生まれたことは、今後にとって希望になりそうだ。

 百年構想リーグも残りは地域リーグラウンドの2試合とプレーオフラウンドの2試合だ。古巣の川崎戦でチャンスに絡み続けた瀬川も「僕は全勝だと思っています。チームとして現実的な目標として無敗でいきたいと立てましたが、今日のような勇気を持ってサッカーをできれば全勝できると思いますし、全勝することが来季につながると感じます」と決意表明する。

 まだ課題は多い。それでもやはり柏のサッカーは美しい。相手に分析され、壁にもぶつかったが、ポジティブに考えれば、それは夏からの新シーズンへ良い糧になるかもしれない。何より、Jリーグが盛り上がる意味でも、そしてACLエリートに挑戦するチームとしても、今のサッカーで結果を残せることをぜひ証明してもらいたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開!