井上監督

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 第1回【“強力先発陣が奮闘”でも中日ドラゴンズが勝てない理由…“優勝争いのダークホース”予想も出鼻をくじかれた“開幕戦の悪夢”】からの続き──。中日が歴史的な不振に苦しんでいる。5月11日現在、中日は最下位で勝率は3割7分1厘。だが、勝率3割台のチームというからには、どれだけひどいデータなのかと思って調べてみると肩すかしを食らわされる。(全2回の第2回)

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 確かに防御率や失策はリーグワーストとはいえ、得点や失点、打率などは最低最悪というわけではない。

 野球解説者の広澤克実氏は「解説者は“減点方式”で予想します。そうすると中日の戦力は決して悪くないのです」と言う。

井上監督

「そのためネット上では井上一樹監督の采配に問題があるのではという投稿が多いそうですが、私も基本的には同感です。ただ、具体的な采配というより、井上監督のリーダーシップに問題があると考えています。それを象徴するのが井上監督に笑顔が多いことです。普通、野球の監督は常に最悪の事態を想定して準備します。真剣に考えれば考えるほど笑顔は消え、どちらかといえば怖い表情になります。これが普通なのです」

 快進撃を続けるヤクルトの池山隆寛監督は笑顔で指揮を執ることで注目を集めている。広澤氏は「池山監督と井上監督は表裏一体、コインの裏表でしょう」と言う。

「池山監督のリーダーシップは今のヤクルトにマッチしたのか、チームは好調を維持しています。しかし池山監督のような“笑顔のリーダーシップ”にはリスクがあり、それが最悪の形で具現化したのが井上中日だと言えます。名将と呼ばれた星野仙一監督は怖い監督として知られていますが、実は勝っている試合の時のほうがより怖かったと多くの選手が口を揃えます。私も阪神時代に星野監督の元でプレーしましたが、まさにその通りです。大敗している時は苦笑して終わりです。何も言いません。勝負の怖さを知っている名監督は、むしろ勝っている時にこそ神経を張り巡らせるのです」

勝っている時に怖い監督

 広澤氏は「“勝って兜の緒を締めよ”など、勝ちに慢心する怖さを伝える諺は、それこそ山のようにあります」と言う。

「開幕戦で中日は終盤に4点差をひっくり返されました。完璧な勝ち試合を取りこぼすショックは非常に大きいのです。多くの監督はその怖さをよく知っています。だからこそ厳しい表情を自然に浮かべてしまうのです。ところが私が見た限り、井上監督はキャンプでも試合中のベンチでも常に笑顔です。率直に言って、井上監督は野球の怖さが骨身に染みていないのではないでしょうか。確かに巨人の阿部慎之助監督のようなキャラクターも今の時代に合っているか疑問ではあります。本当にプロ野球の監督ほど難しい職業はないわけですが、とはいえ、井上監督のリーダーシップが中日低迷の原因だと批判されても仕方ないとは言えるでしょう」

 若手中心のチームにも問題があるという。逆境に直面すると、どうしても若手は浮き足立ってしまう。立て直しは容易ではない。

「こういう時に必要なのが経験豊富なベテランです。別に試合に出ていなくてもいいのです。試合中のベンチで若手のスタメンに声をかける、もしくはチーム全体に活を入れる、鼓舞する、それだけで若手選手が精神的に立ち直ることは珍しくありません。井上監督のリーダーシップだけでなく、ベンチの雰囲気も見直す必要があるのではないでしょうか」(同・広澤氏)

 第1回【“強力先発陣が奮闘”でも中日ドラゴンズが勝てない理由…“優勝争いのダークホース”予想も出鼻をくじかれた“開幕戦の悪夢”】では、矢野燿大監督が率いていた2022年の阪神がビジター11連敗という屈辱を味わったことと、今の中日が抱える共通点について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部