意外と知らない、これから「首都高速道路」が変貌していくという話
日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?
注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。
(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)
日本橋の景観が変わる
首都高速道路で近年話題になっているのが、日本橋付近の地下化工事です。
日本橋川と日本橋の上空を通る首都高速道路は1963年に開通しました。当時すでに建物が密集していた東京都心部においては、急速に高速道路整備を進めるため、川や道路などの公用地の上空を使用して建設が進められていました。その結果、日本橋の上を高速道路がまたぐことになったのです。
しかしながらこの構造物も60年が経ち、損傷が顕在化し始め、抜本的な対策が必要となってきました。一方、このエリアは歴史上・景観上、重要な立地のため、これまでにも日本橋周辺のあり方について議論が続けられてきました。
このような経緯から、2014年にこの区間も含めた首都高の大規模更新計画が策定されるとともに、2016年には日本橋周辺のまちづくりに関する取り組みが、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加されました。
このことをきっかけに、日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化に向けた検討がおこなわれ、2019年に神田橋JCT-江戸橋JCT間を地下ルートで整備することが決定しました。今後は、2035年頃に地下化工事が完成し、2040年頃に高架橋の撤去工事が完了する予定です。
撤去が完了すれば、歴史ある日本橋の上空を覆う構造物がなくなり、日本橋の景観が新しくなります。その結果、日本橋川周辺の景観や環境の改善が図られ、新しい日本橋の「まち」へ生まれ変わり、地域の魅力が増すことが期待されます。
再劣化と再補修を繰り返す“もぐらたたき”
国や都道府県で管理する直轄国道、一般国道、都道府県道では、一般に高速道路ほど交通量、大型車混入量、凍結防止剤散布量が多くないため、そこまで劣化が進行していません。しかし、国道や都道府県道では、高速道路に適用されている大規模更新事業のような予算上の仕組みがないため、通常の維持修繕費でメンテナンスを続けている現状にあります。
その結果、再劣化と再補修を繰り返す、いわゆる“もぐらたたき”が続いている路線も見受けられ、大きな課題となっています。今後こうした問題を改善するための予算を生み出す方法について、民間資本によるメンテナンスの事業化なども視野に入れた抜本的な対策を検討する必要があるように思います。
さらに市区町村、特に人口が3万人を下回るような小規模自治体では、道路や橋梁のストックは多い一方で、予算不足やメンテナンスに携わる人材不足が相まって、今後大きな問題を引き起こす可能性があります。こうした自治体ではどんな取り組みが求められるのでしょうか。予算をかけずに簡易なメンテナンスによって延命化を図る具体的な方法については第5章で詳しく説明します。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
