防衛装備・技術協力の推進に関する共同声明に署名した小泉防衛相(左)とテオドロ国防相(5日、マニラで)=樋口貴仁撮影

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 【マニラ=樋口貴仁】小泉防衛相は5日、フィリピンを訪問し、首都マニラでギルベルト・テオドロ国防相と会談した。

 海上自衛隊の中古護衛艦の輸出に向けた作業部会を設置し、具体的な協議に入ることで合意した。地域の平和と安定に向け、海洋安全保障分野での協力を拡大する。会談後に発表した共同声明では、中国を名指しし、日本周辺や南シナ海での威圧的な活動への「深刻な懸念」を明記した。

 中古護衛艦の輸出が実現すれば、日本政府が4月21日に防衛装備移転3原則と運用指針を改定後、初のケースとなる見込みだ。装備品の輸出品目を救難・輸送・警戒・監視・掃海に限る「5類型」を撤廃し、殺傷能力がある護衛艦の輸出が原則可能となった。

 小泉氏は会談で、「国際情勢が複雑化、緊迫化する中、日本とフィリピンの連携は一層重要になっている」と強調した。テオドロ氏は「我々はこの地域における平和と安定を守る責任を共有している」と述べ、日本の「5類型」撤廃への支持と期待を表明した。両氏は防衛装備・技術協力の推進に関する共同声明に署名した。

 輸出に向けた協議に入る中古護衛艦は、就役から30年を超える「あぶくま型」で、順次退役が予定されている。小泉氏は会談後、記者団に「移転時期や隻数を含め、早期に具体的な結論を得るべく、議論を精力的に実施していく」と説明した。政府は不用になった殺傷能力のある中古装備品を無償や安価でも供与できるよう、来年の通常国会での自衛隊法改正を目指しており、比国側が導入しやすい環境を整えたい考えだ。

 会談では、中国が海洋進出を続ける東・南シナ海について「力による一方的な現状変更の試みに強く反対する」ことも確認した。海洋安保分野での協力を統合的・包括的に拡大・深化させていくことでも一致した。日比の2国間に加え、米国やオーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)など多国間での連携強化も申し合わせた。

 小泉氏と5日に会談したフェルディナンド・マルコス大統領も、日本の「5類型」撤廃を歓迎した。