菅義偉元首相(時事通信フォト)

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 現役自衛官が「君が代」を斉唱したことで大炎上を招いた4月12日の自民党大会。制服を着用した現役自衛官による党大会での「君が代」斉唱は、「政治的行為」を禁じた自衛隊法に抵触する恐れがあるだけでなく、今後の憲法改正議論にも悪影響が及ぶとして、野党から批判が噴出している。

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 そんな中、ある"大物"が自民党大会という公の場に久しぶりに姿をみせ、話題を呼んでいる。第99代内閣総理大臣菅義偉氏である。

 永田町関係者はこう話す。

「安倍晋三政権で官房長官として辣腕をふるい、その後は総理総裁を務めた菅氏ですが、2021年に首相を辞任して以降は健康不安がささやかれるようになり、今年2月の衆院選を前に、政界を引退しました。

 同衆院選では、長年菅氏の秘書を務めてきた新田章文(しょうぶん)氏が後継として神奈川2区から出馬し、初当選を果たしています。

 後継を落選させるわけにはいかないので、この選挙戦では菅氏も新田氏支援のために奔走したようですが、選挙後は菅氏に表立った動きはみられませんでした。だからこそ、党大会で菅氏の姿を確認できた自民党関係者は『元気そうだった』と安堵していましたよ」

 昨年には周囲から「話しても反応がない」などと不安の声が聞かれる中、政界を引退した菅氏だったが、その影響力は健在のようだ。出身が菅氏と同じ秋田県の御法川信英衆院議員は、党大会で菅氏と会話したときの様子を4月13日に自身のSNSにアップし、「短い時間でしたが、菅先生と秋田の近況などについてお話することができました」と投稿。

 連立パートナーの日本維新の会からは吉村洋文代表と藤田文武共同代表が自民党大会に出席したが、両氏もまた、自民と維新の関係強化に注力した菅氏のもとに駆け寄り、言葉を交わした様子を吉村氏のYouTubeチャンネルで4月12日に公開している。

 全国紙政治部記者はこう話す。

「菅氏は衆院選後、3月に都内で開かれた企業のパーティーにも出席していました。ゲストとして招かれたようで、武田良太元総務相や加藤勝信元官房長官といった菅氏に近い人物の姿もありました。

 積極的に表に出ていく気はないようですが、以前から親交のある人とは関係を続けているようで、後ろ盾としてのネームバリューはまだまだ大きいようです」

 高市早苗政権は依然として高い内閣支持率を維持しているものの、足もとでは武田氏が政策グループを発足させたり、石井準一参院幹事長が参院の党内グループを設立したりするなど、"派閥の復活"とも受け取れる動きが目立ってきている。

 菅氏は国会議員になった当初こそ派閥に属していたが、派閥を抜けてからは「無派閥」を貫き、派閥政治とは距離を置いてきた。一方で、菅氏のもとには「菅グループ」と呼ばれた無派閥議員グループ「ガネーシャの会」があり、坂井学・前国家公安委員長らを中心に、先の衆院選の新人議員を取り込んで20人規模で今も存続しているという。

 もっとも、ガネーシャの会に武田氏のような政局的な動きを仕掛ける人物は見当たらず、「グループとしての方向性は定まっていない」(関係者)という。

 国内外でさまざまな火種を抱えながらも高市氏は党大会で「(憲法改正の)時は来た」と悲願だった改憲に意欲を示したが、菅氏は高市氏の政権運営と自民党内の政局的な動きを、今どう見ているのだろうか。