「スプリットの球速を上げたい」――悩める佐々木朗希がコーチ陣を呼び止めたブルペンの裏側 魔球が大幅に進化した“理由”

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カブス戦のマウンドで相手打線を翻弄した佐々木(C)Getty Images

 現地時間4月25日、ドジャースの佐々木朗希は、本拠地でのカブス戦に先発登板。6回途中(99球)を投げ、被安打7、四死球2、4失点。試合後にデーブ・ロバーツ監督が「間違いなくこれまででベストだ」と絶賛するマウンドとなった。

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 無論、結果だけを見れば、お世辞にも「支配的だった」とは言い難い。2回に鈴木誠也に98マイル(約157.7キロ)の速球を打たれたのも含めた1試合3被弾は自己ワースト。4シームを狙われて力負けを喫した感は否めなかった。

 それでも「スタッツシートだけでは語れない良さがあった」とべた褒めする指揮官が「非常に気に入った」とクローズアップしたのは、空振りの取り方だ。

 とりわけ冴えわたったのは、真っすぐ以上の割合(99球のうちの43%)で投じたスプリットだ。今季の個人平均より5.8マイル(約9.3キロ)も速い、平均90.8マイル(約146.1キロ)を計測。さらに変化量も、これまでの回転数の約2倍に増加した結果、ナックルのようにゆったり、大きく沈んで落ちるよりも、ストレートに近い軌道で小さく曲がるボールへと変わっていた。

 大幅に改良された背景にあるのは、進化を求める本人の強い意志だった。米メディア『The Athletic』のケイティ・ウー記者によれば、4回途中での降板を余儀なくされた前回登板後に初めて行ったブルペンセッション前に佐々木は、「アイデアを思いついた」という。

「ササキはピッチングコーチのマーク・プライアーと投手コーチ補佐を務めるコナー・マクギネスに近づき、『スプリットの球速を上げたい』と伝えた。そこでマクギネスは握り方を微調整し、本人も思い切ってボールを放るようになった」

 プライアーコーチ曰く「最初はひどいもんだった」という“改良版スプリット”だが、「遅く変化していたボールと比べて、はるかに競争力が高まっていることがすぐに分かった」と首脳陣は納得。さらに綿密なセッションを図っていく中で、実質的に全く異なる球種とへと変貌を遂げた。

 元々ロッテ時代から自信のあった一球に磨きをかけ、短期間でメジャー水準へと押し上げた。おそらくこれまでの内容に危機感を覚えていたであろう若武者の成長には、専用捕手を務めるダルトン・ラッシングも舌を巻く。

「ロウキはうまくやってくれたと思う。スプリッターで84〜86マイルを狙うよりも、シーズンを通して球速を上げた方がうまくいくと思う。あの球種をコントロールするのは難しいからね。今日はゾーン付近に来ていた。しかも、カウントの早い段階でゾーン内に落ちていた。それだけでも過去とは違うよ。今後は、2ストライクからのスプリットをもう少しだけ確実に投げられるように調整したい」

 その成長スピードは、周囲に想定されたよりも遅いのかもしれない。それでも暗中模索を続けながら、確実に課題を克服している。「プロとしても消化したイニング数が少ない発展途上の選手」と佐々木を評するロバーツ監督は、本人の変化をポジティブに語っている。

「ロウキの成長という観点から言えば、ここまでの結果もチームに悪影響を与えることは一切ないし、我々は前向きに捉えている。だから、今日の登板は本当に良かった」

 まだまだレギュラーシーズンは始まったばかり。ここから令和の怪物がどこまで飛躍するか、そしてドジャースがどう向き合い続けるかを興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]