20代半数が「静かな退職」…一体なぜ?ひろゆき「自分の努力が報われない社会にどんどんなっている」

1990年代半ばから2000年代初頭にかけて就職活動を行った世代を指す「就職氷河期世代」。バブル崩壊後の厳しい雇用環境の中で非正規労働を余儀なくされた者も多い。この世代が50代を迎え、政府による新たな支援策が打ち出される中、「ABEMA Prime」では、現代の20代の約半数が「やりがいを求めず、決められた仕事を淡々とこなす」という「静かな退職」状態にある現状が提示された。かつての氷河期世代が切望した「正社員」という座がありながら、なぜ今の若者は冷めた視線を送るのか。日本の労働市場が抱える構造的な歪みと、仕事へのやりがいを巡って議論が行われた。
【映像】面接会で長蛇の列を作る「就職氷河期世代」の学生たち(当時の様子)
■氷河期世代の教訓と「努力が報われない」社会

20代の若者が「静かな退職」を選ぶ背景に、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「自分がすごく努力をして会社に貢献したとしても、突然その会社がなくなるかもしれないし、世話したつもりの上司や部下がいなくなることもある。自分の努力が報われない社会に、どんどんなっている気がする。それならば努力しないで利だけ取っている方がいいと、ゲーム理論的なところに落ち着いている気がする」と指摘する。
これに対し、ビジネスライターの黒坂岳央氏は「静かな退職」そのものは、以前から起きていたものだとし「昔からいたと思う。以前『Windows 2000』という当時のOSにかけた言葉があり、『窓際で年収2000万円をもらっているおじさん』という意味だった」と紹介した。
さらに若い世代に向けては努力を放棄することへのリスクも強調した。「今の20代が『静かな退職』をするということは、10年後、20年後に『仕事ができないおじさん』になるだけだし、そこで詰む。企業がリスクを取ってくれている若いうちに、経験・実績・スキルをつけた方がいいと思う」。
若者が「最低限の仕事」に留まる背景には、皮肉にも日本特有の強固な「正社員保護」というセーフティネットが存在する。竹中平蔵氏は、この法的・構造的な縛りが労働市場を硬直化させていると説く。
「なぜ正社員がすごく守られているのか。それは1979年の東京高裁の判例が出ているから。だから、それを変えていかないと、今度経済がまた一気に悪くなったら、就職氷河期世代のような同じ問題が生じる」。
近畿大学 情報学研究所 所長 夏野剛氏も、この「昭和の仕組み」がもたらす歪みを指摘する。「本来であれば非正規の方が安定しないので、給料が高いはず。ところが、正規の方が安定していて給料が高い世界を作ってしまった。企業からすると正規で1回雇った人を解雇できないので、そうすると入り口(新入社員)を減らすしかない。国の仕組みや労働法制、労働組合、経営のやり方がテクノロジー進化についていけず、就職氷河期世代が割を食った」と述べた。
■消失した「承認」と仕事のやりがい

単なる報酬だけでなく「自分の仕事が誰かに認められる」という感覚の欠如も、静かな退職を加速させている。
ひろゆき氏は「(飲食店も)今はチェーン店ばかりだから、どこで食べても一緒だし、『自分が頑張ってもお客さんを喜ばせる』に繋がらないんですよね。そうなると「適当でいいや」になる。むしろ個人事業主の人は働くことが好きな人がいる。自分の店を持った料理人もそうだ。自分の生きがい・やりがいを感じるということで、儲からないけど仕事が楽しいということが減っている」と語る。
逆に充実感を得られる例として「そんなに難しい話でもない。たとえばトイレ掃除のおばさんで、とにかくきれいに掃除が好きな人がいる。それがすごくきれいだと、表彰されたりもする。会社の中の歯車だったとしても、自分はこの仕事がすごく得意で『みんながトイレをきれいに使ってくれるのは私のおかげ』と思えるだけでも幸せだと思う。自分のやっていることが評価されることが減っていることの方がむしろ問題だ」。
個人はいかに生きるべきか。竹中氏は、組織の「地図」に従うのではなく、個人の「羅針盤(コンパス)」を持つべきだと提言した。
「アメリカに『Compass over Maps(地図よりコンパス)』という言葉がある。今や、有名大学を出て、大企業に就職して、管理職になるという人生の地図みたいなものがない。その時には自分がどういう生き方をしたいのかという、コンパスは持っているべきだ」。
また「非常にマニュアル的な仕事だけやらされていたら、自分の生きがいのコンパスを持てない。だからそれを仕事以外に求めることもあると思う」とも加えた。
これに、ひろゆき氏は「仕事はやってみると楽しい部分があったりする。まずはやってみて、合わなければすぐに辞めてもいい。今までやっていなかった仕事をとりあえずやってみることは試してもいい」と添えていた。
(『ABEMA Prime』より)
