お客様を動かす――トップ営業が使う「クロージング」と「次に繋げる」鉄板フレーズ4選

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スムーズな商談を進めるにあたっては、まず前半で、お客様に安心してもらうことで話しやすい空気をつくることが欠かせません。

ただ、営業で本当に難しいのは、その先です。
ヒアリングまでは順調でも、提案や判断の場面に入ると、お客様の言葉が急に曖昧になることがあります。

「悪くはないんだけどね…」
「ちょっと考えます…」
「家族にも相談してみます…」
営業をしていると、こうした言葉を耳にする場面は少なくありません。

もちろん、慎重になるのは自然なことです。特に不動産のように高額な買い物では、お客様の中で気持ちが揺れるのは当たり前です。だからこそ私は、ここで無理に押し切るのではなく、お客様が何に迷っているのかを整理し、決めやすい状態をつくることが大切だと考えています。

営業には、
「アイスブレイク」
「ヒアリング」
「プレゼンテーション」
「クロージング」
という流れがありますが、後半のフェーズほど、担当者の言葉の選び方が結果を左右します。

今回はその中から、提案後やクロージングの場面で使える4つの鉄板フレーズを紹介します。

提案の前にズレを防ぐ ニーズを再確認する一言

こんなときに…
お客様の要望に合った提案をしたいとき

【使いたいフレーズ】
「お手数ですが、再度ご要望を整理させていただいてもよろしいでしょうか」

営業では、ヒアリングがある程度できると、すぐに提案へ進みたくなるものです。私自身、新人時代は「早く物件を見せたほうがいい」「早く提案したほうがいい」と考えがちでした。
しかし、ここで急いでしまうと、提案にズレが生まれます。

営業している側は要望を聞いたつもりでも、お客様の中では優先順位がまだ整理できていないことが少なくありません。

たとえば、不動産では「駅近がいい」「広さも欲しい」「予算は抑えたい」といった希望がどれも本音です。しかし、すべてを同じ重さで満たせるとは限りません。だからこそ提案の前に、もう一度要望を整理する時間が必要です。

この一言を入れると、お客様も自分の考えをあらためて言葉にしやすくなります。その結果、営業側の思い込みで提案するのではなく、お客様の優先順位に沿った提案がしやすくなります。

提案の精度を上げるうえで大切なのは、早さだけではありません。お客様と認識をそろえてから進むことで、商談が前に進みます。

断られたときこそ前に進む 本音を聞き出す一言

こんなときに…
テストクロージングで良い反応が得られなかったとき

【使いたいフレーズ】
「それでは、ネックとなっている部分をお聞かせいただけますとありがたいです」

提案のあと、お客様の反応が鈍いと、営業としては焦りが出てきます。ですが私は、ここで「断られた」と決めつけないことが大切だと思っています。

なぜなら、お客様が即決しない理由は、商品そのものを否定しているからとは限らないからです。

予算が引っかかっているのかもしれませんし、立地に迷いがあるのかもしれません。あるいは、今決めていいのかというタイミングの問題かもしれません。

そうした本音を聞けないまま商談を終えてしまうと、次につながりません。逆に言えば、ネックが何かを具体的に把握できれば、提案の修正や補足もしやすくなります。

このフレーズのポイントは、無理に詰め寄るのではなく、判断を止めている理由を一緒に整理する姿勢を見せることです。

するとお客様も、「断る」のではなく「何が気になっているのか」を話しやすくなります。

営業にとって、本当の失敗は断られることではなく、何が障害になっているのか分からないまま終わることです。

決めきれない相手の背中を押す 二者択一の一言

こんなときに…
お客様がなかなか意思決定できないとき

【使いたいフレーズ】
「AとBでしたら、どちらかといえばどちらがよろしいでしょうか?」

お客様が迷っているとき、営業はつい「いかがですか」「どうされますか」と結論を求めたくなります。しかし、この聞き方では、お客様にとって負担が大きすぎることがあります。
人は、白黒はっきり決める場面になると、急に慎重になりがちです。特に高額な買い物では、「決める」という行為そのものにプレッシャーがかかります。

そんなときに有効なのが、二者択一で聞くことです。「買いますか、やめますか」ではなく、「AとBなら、どちらがより近いですか」と聞きます。すると、お客様は「決める」ことよりも「比べる」ことに意識が向き、心理的な負担も軽くなります。

また、この質問の良さは、お客様自身の気持ちを整理しやすい点にあります。迷っているように見えても、実は心の中では傾いていることが少なくありません。二択にすることで、その選択が言葉になりやすくなります。

営業がやるべきなのは、無理に答えを迫ることではなく、答えを出しやすい形をつくることです。

家族の本音を引き出す あえて席を外す一言

こんなときに…
家族で相談して結論を出してもらいたいとき

【使いたいフレーズ】
「私は席を外しますので、ぜひご家族で話し合ってみてください」

住宅の購入では、本人が前向きでも、家族全員が同じ温度感とは限りません。その場ではうなずいていても、本音では気になる点を口にできていないことがあります。
特に営業担当者が目の前にいると、「今ここでは言いにくい」と感じる方も少なくありません。私は、そういう場面では、あえて席を外すことが有効だと考えています。

営業がその場に居続けることで、お客様が本音を飲み込んでしまえば、商談は表面上進んでいるように見えて、実は止まっています。
それよりも、一度家族だけで話してもらったほうが、気になっていることや反対意見が出やすくなります。

大切なのは、急がせることではなく、安心して話し合える時間をつくることです。そうすることで、結論が曖昧なまま持ち帰られるのを防ぎやすくなります。

商談を前に進めるためには、営業が話すことだけでなく、あえて話さない時間をつくることも必要です。

■まとめ

プレゼンテーションやクロージングの場面では、営業の一言が、お客様の判断を左右することがあります。ただし、ここで大切なのは、強く押すことではありません。
「要望を整理すること」
1)迷いの理由を言葉にしてもらうこと
2)答えを出しやすい形をつくること
3)そして、家族で本音を話せる時間を確保すること

こうした積み重ねが、お客様の納得感につながり、契約にもつながっていきます。

営業は、話す技術だけの仕事ではありません。お客様が話しやすくなり、考えやすくなり、決めやすくなる流れをつくる仕事でもあります。

今回紹介したフレーズは、『お客様の心をつかむ 営業鉄板フレーズ88』の中のほんの一部です。商談の各フェーズで使える言葉をもっと詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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『お客様の心をつかむ 営業鉄板フレーズ 88』石橋直和著(大学教育出版刊)

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