豊田合成にデンソー…割安で営業利益の「最高益更新」でさらなる伸びが期待できる希少銘柄5選

写真拡大 (全7枚)

営業最高益見込みの割安銘柄

4月終盤から本格化する3月期決算企業の本決算発表シーズンを前に、株式市場では毎年おなじみの「ガイダンスリスク」が意識されている。企業側が期初段階で示す業績計画は慎重な内容が示されるケースが多い。いわゆる保守的な計画が投資家をいったん失望させやすい季節を迎えようとしている。

昨年(2025年)は4月のトランプ関税という歴史的な外乱があり、3月期企業の期初計画は市場予想を平均で約14%下回った。今年は中東情勢を背景にした地政学リスクが重なり、例年以上に慎重な計画が出てくるとの警戒感も根強い。仮に昨年と同程度の保守性が織り込まれれば、前年度を下回る減益計画が続出することも想定される。

もっとも、ガイダンスリスクは来期予想を公表する直前に意識される「季節要因」とも言える。本決算発表が一巡すれば、市場の関心は自然と業績の進捗や上方修正余地へと移行していく。むしろ、ガイダンスリスクが意識されるこの局面は、買いコストを下げてくれるという意味では、リターンの源泉にもなり得る。また、決算発表のタイミングに合わせて分散して買い進めれば、リスクそのものを時間軸で薄めることもできる。

中長期の視点で着目したいのが、「営業利益の最高益更新が期待できる銘柄」だ。過去データを振り返れば、最高益を更新した企業群は決算発表直後の一時的な反応にとどまらず、年間を通じてTOPIX(東証株価指数)をアウトパフォーム(上回る成績)する傾向が確認されている。収益力と競争優位性が、時間をかけて市場で評価されるということだろう。

最高益更新見込み銘柄をさらに深掘りすると、もうひとつ重要な傾向が浮かび上がる。低PER(株価収益率)、低PBR(株価純資産倍率)などの割安銘柄は、最高益更新が期待されるグループの中でも相対的にさらにアウトパフォームする傾向があることだ。

「最高益更新×割安」の合わせ技は、リターンの源泉が二重で潜んでいる期待がある。足元の予想PERが12倍未満、または実績PBRが1.2倍未満という「割安フィルター」を満たす最高益更新期待(2027年3月期予想営業利益)の銘柄に注目してみたい。

JR東海<9022>

・4月17日終値4195円 配当利回り(予)0.76%【決算発表予定日:2026年4月28日】

東海道新幹線という「ドル箱路線」を独占的に握る企業が、PBR(株価純資産倍率)0.84倍という"解散価値以下"の水準で放置されているという事実は、リニア新幹線の投資負担を考慮しても企業価値が過小評価されているように感じる。

2027年3月期の予想営業利益は7815億円と、コロナ前の最高益(2019年3月期・7098億円)を約10%上回る水準が期待されている。予想PERは8.01倍と極めて低い。インバウンド(訪日外国人)の回復や国内旅行需要の再拡大が業績を押し上げるなか、国内延べ旅行者数は92%まで回復しており、新幹線需要の堅調さは27年3月期も続くと判断できる。

大阪・関西万博特需の剥落(運輸収入の約4%減と推定)はあるが、インフレ局面での運賃・料金制度の柔軟化や新幹線の自由席特急料金の届出制化が進めば、増収効果はさらに広がる可能性がある。リニア中央新幹線についても、静岡工区の着工に向けた前進が続いており、超長期の成長シナリオも現実味を帯び始めた。「割安感」と「インフレメリット」が株価の水準訂正を推し進めてくれる期待は大きいとみたい。

アイシン<7259>

・4月17日終値2300円 配当利回り(予)2.83%【決算発表予定日:2026年4月28日】

「EVシフト(電気自動車への移行)で自動車部品メーカーは不要になる」という発想から、自動車部品メーカーの株価は総じて低位に放置されている。アイシンも2027年3月期の予想営業利益は2674億円と、過去最高(2018年3月期・2538億円)を更新する見通しだが、予想PERは13.35倍、PBRは0.82倍と極めて割安な水準に放置されている。

世界的な完成車メーカーの多くが開発・生産体制をハイブリッド車(HEV)や内燃機関寄りに戻す流れのなか、同社のトランスミッションには旺盛な需要が続いている。さらにHEV向けパワートレインユニットや回生協調ブレーキ(ブレーキ時に発電してエネルギーを回収する仕組み)などの次世代製品投入による収益性改善も続く見通しだ。中期的な成長ドライバーでは、セーフティシステム製品での主要OEM(他社ブランドの製品製造)へのシェア拡大、冷却配管や水素タンクなど機能部品での拡大も視野に入る。

足元の原材料高は懸念材料だが、価格転嫁による一定のオフセット(相殺)も可能だろう。さらに円安感応度(1円/米ドルで±17.3億円の営業利益影響)も強みとなる局面だ。株価は最高値更新後に大きく調整したものの、ハイブリッドという「現実解」を最も深く理解する企業の復権は終わったわけではないと考える。

豊田合成<7282>

・4月17日終値4257円 配当利回り(予)2.58%【決算発表予定日:2026年4月28日】

2027年3月期の予想営業利益は781億円と、過去最高(2024年3月期・677億円)を15%超上回る水準が期待されている。予想PERは10.22倍、PBRは0.85倍だ。ゴム・樹脂部品の専業サプライヤーだけに、労務費等のコスト増やナフサ(石油化学製品の原料)高騰による価格転嫁の期ずれリスクは意識せざるを得ない。とはいえ、リカバリー材料も豊富だ。

新型RAV4向けの単価上昇、インドでのマルチスズキ向け受注拡大、傘下に収めた芦森工業の連結効果が業績を下支えする効果は大きいと思われる。

さらに2028年3月期以降、米系OEM向けビジネスの拡大も進む見通しだ。旧タカタの事業を引き継いだJSSの品質不正問題が米系OEMの調達先見直しを促すなか、エアバッグで世界シェア約18%を持ち、安全基準で実績を積む豊田合成は、転注(他社から自社へのシェア移行)の受け皿として最有力候補となるだろう。

コスト圧力というリスクはあるものの、見方を変えれば、価格転嫁が進むほど営業レバレッジ(売上増加が利益に跳ね返る効果)が高まる「利益加速装置」になり得る点も注目できる。地味ながらも堅実な成長メカニズムにも目を向けておきたいところだ。

東武鉄道<9001>

・4月17日終値2877.5円 配当利回り(予)2.35%【決算発表予定日:2026年4月30日】

2027年3月期の予想営業利益は749億円と、前期(2025年3月期・746億円)をわずかに上回り、過去最高を更新する見通しだ。予想PERは10.83倍、PBRは0.95倍と、PBR1倍割れの水準は割安と判断できる。

「スカイツリーのエレベーター停止」という局所的な懸念材料が、本質的な企業価値まで覆い隠す場面があれば、むしろ投資好機となるだろう。東京スカイツリーのエレベーター停止による来場者数の減少は懸念材料ではあるが、4月からの変動価格制(繁閑に応じて入場料を変動させる仕組み)の導入が単価上昇で来場者減少を相殺すると見込まれる。

中国からの渡航自粛によるインバウンド影響も、中国人需要は全体の1割程度であり、大きな業績悪化要因にはならないと考えられる。鉄道運賃の値上げ検討や、営業CF(営業活動から生まれるキャッシュ)の上振れを踏まえた資本政策の見直しが進めば、PBR1倍以上の定着へ向けた株価修正が現実のものとなるだろう。資本効率改善の始発駅から、東武鉄道が発車しようとしている。

デンソー<6902>

・4月17日終値1926円 配当利回り(予)3.32%【決算発表予定日:2026年5月8日】

2027年3月期の予想営業利益は3806億円と、前期(2025年3月期・3150億円)から約21%増加し、過去最高を大幅更新する見通しだ。電動化(EV化やHEV化)とADAS(先進運転支援システム)という二つの成長軸が業績を牽引するデンソーだが、予想PERは12.34倍、PBRは1.06倍といまだ割安感が残る。

インバーター(電力の変換装置)やSiC(炭化ケイ素---電力損失が少なく次世代EVに必須の半導体素材)採用の加速が利益を押し上げる構図は明確だ。ローム買収提案(2026年3月に正式表明)については、巨額の資金調達リスクや統合コストが株価の重荷となっているが、車載以外の産業機器・民生機器分野への顧客基盤拡大と半導体開発コスト抑制というシナジーが具体化すれば、株式市場からの評価も一変する期待は大きいとみる。

ティア1(自動車メーカーへの直接納入業者)トップ企業が自ら半導体の「垂直統合」に踏み込む決断は、10年後の競争力を根本から塗り替える可能性を秘めている。世界最大級の自動車部品メーカーが、約1.3兆円規模のパワー半導体再編劇の主役に躍り出ようとしていることを意味する。

「割安感」と「最高益」。通常では相容れないパワーワードが、ひとつの銘柄に同居しているならば希少価値がある。今期の期初計画が保守的に映り、短期的に株価が調整する局面では、こうした好条件が揃う銘柄が狙いやすいとみる。現段階では最高益更新に対する期待は十分に織り込まれていないものの、実力通りの業績進展が確認されれば、期初の保守的な会社計画は再評価される余地は大きいだろう。

【投資に関する記事をもっと読む→投資のプロが注目するのは「名村造船所」まだまだ株価が上がる「高市トレード」57銘柄を一挙紹介】

日本はヤバい…真珠の王者『MIKIMOTO』が世界の大金持ちに衝撃を与えたワケ