「本当は注意なんてしたくない。でも、嫌われていいから私は言う」――SAY-LAの“しっかり者”小椋妃奈乃が背負う不器用な愛
3月31日に10作目のシングル「半透明スワロフスキー」のリリースを控える8人組アイドルグループ「SAY-LA」小椋妃奈乃が、スポニチ東京本社でソロインタビューに応じた 。語られたのは、華やかなステージの裏側でグループの屋台骨を支えようとする、不器用な愛と自立の記録だった。(推し面取材班)
結成12年を迎えるグループの楽屋は、学校の休み時間のように賑やかだ 。現体制の8人中、5人が加入1年半未満 。フレッシュな声が飛び交う空間の片隅で、静かに全体を見渡す小椋の視線がある。
気づけば、自身のキャリアが最も長くなっていた 。リリースイベントの出番前、プロデューサーの石谷光氏と顔を突き合わせる。「今日のリリイベはこういう感じですかね」 。日程調整からイベントの段取りまで、自然と調整役が回ってくるようになった 。
昨年9月、2代目リーダーの咲山しほが卒業した 。現在、SAY-LAに明確なリーダーは置かれていない 。
「明確にリーダーとは決まってないんですけど、やっぱり一番長いメンバーなので。みんなをまとめたり引っ張ったりとかはできてないんですけど、するぞみたいな気持ちでいます」
真っ直ぐに前を見据える瞳。新しくなった今だからこそ、がむしゃらに頑張れる「フレッシュさ」がグループ最大の強みだ 。だが、それは時に危うさもはらむ。かつては先輩の背中に隠れ、頼れる存在もいた。しかし、もうその背中はない 。
「結構みんな自由なので、誰か一人ちゃんとしてる人がいないといけないなって思う場面が割とあって。自分がちゃんとしなきゃいけないなって前よりも思ったのと……言わなきゃいけないこと、注意とかしたくないけど嫌われてもいいから言わなきゃいけなくて、そういうのも頑張ってます」。優等生でいることは簡単だ。しかし、グループを守るためには誰かが憎まれ役にならなければならない。自らを「しっかり者担当」と名乗るその口元には、甘えを捨てた人間の決意が宿っている 。
重圧を背負いながらも、ふとした瞬間に無邪気な素顔を覗かせるのもまた、魅力の一つだ。SAY-LAの代名詞でもあるパスタソング 。今作に収録された「未練タラタラたらこパスタ」は、数年前の小椋のひらめきから生まれた 。
「SAY-LAに入ってから、冷凍食品のパスタを見ながら『次どの曲になるんだろうな』って考えるようになりました。多分私、パスタ曲に一番口を挟んでると思います。『ボロボロ・ボロネーゼっていう曲名どうですか』って言って採用してもらったんですが、その際に『じゃあ次は未練タラタラたらこパスタですね』って言ったんです。そうしたら、今回数年越しに採用されました。どっちの曲にも私の名前(ひなの)を入れてもらえて、それがパスタにまつわる記憶では一番思い出に残ってます」
「未練タラタラたらこパスタ」は、暗い曲調を想像していたが、完成したのはポップなメロディー 。「最初の『タラタラたらこパスタ』がもう一生頭から離れない」と声を弾ませるが、最大のオチが待っていた 。
「私自身は麺よりご飯派なんです・・・。もつ鍋が好きです」。福岡遠征で出会った味を熱弁する屈託のなさが、張り詰めた空気を和ませる 。
4月から5月にかけては、「半透明スワロフスキー」の「半透明」にちなんだ阪東名ツアーが控える 。新体制直後で手探り状態だった前回とは違い、定期的なボイトレとダンスレッスンで鍛え上げられた 。
「前回とはライブのクオリティも全然違うものをお届けできるんじゃないかな」と手応えは十分だ 。後輩たちもたくましさを増し、「みんなでMCとかも一緒に盛り上げていける」と自信をのぞかせる 。
不器用な「しっかり者」の選択。波風を立てずにやり過ごす方が楽なこの世界で、あえて泥をかぶる道を選んだその背中は、何よりも愛情深く、温かい。
