[2.17 ACLEリーグステージ第8節 町田 3-2 成都蓉城 Gスタ]

 “幻のデビュー戦”から1週間を経て、神村学園高を夏冬連覇に導いたドリブラーが国際舞台で躍動した。

 FC町田ゼルビアのFW徳村楓大は17日、ACLEリーグステージ第8節・成都蓉城戦に左シャドーで先発出場し、記念すべきプロデビュー。前半25分にはドリブルからの横パスでMF白崎凌兵のミドルシュートをお膳立てし、初アシストを記録した他、切れ味鋭い突破とチーム最多7本のシュートで異質な存在感を放ち、スタジアムを大いに沸かせた。

 今季の公式戦では開幕から全3試合にベンチ入りするも、ここまでは出番なし。10日に敵地中国で行われたACLE前節・上海申花戦(○2-0)では、後半45分に交代準備のためユニフォームを着てピッチ脇に立ったが、プレーが切れたタイミングで交代が認められず、プロデビューがお預けになるという不運な経験を強いられていた。

 それでも中国アウェーという貴重な雰囲気を味わったことは紛れもなく大きな経験値になっていた。「ラインに立って入れると思ったらホイッスルが鳴って、ちょっと面白かったですけど(笑)、すごく悔しい気持ちもあったので、それが今日のゲームには活きたかなと思います」。“幻のデビュー”にはチームメートからも「結構イジられましたね」というなか、周囲のサポートも背負っての先発デビューとなった。

 プロでの先発デビューには前日練習で顔がこわばるほどの大きな重圧もあったようだが、そこは今年1月、史上最多6万142人が集まった国立競技場での全国高校選手権で日本一に輝いたばかりの18歳。緊張を乗り越えるすべは知っていた。「多くのことは考えすぎず、自分の特徴を出そうということを考えてゲームに入った」。実際ひとたびピッチに入ってしまえば、気後れする様子は全く感じさせなかった。

 ファーストプレーから“名刺がわり”のドリブル突破を見せた。「それが自分のストロングポイントなのでそれをできなかったら出してもらった意味がないと思っていたので、それを意識していた」。左サイドの高い位置でボールを持った徳村は縦突破を敢行。168cmの小さなドリブラーが繰り出す切れ味に対し、相手守備陣は虚をつかれたように対応が遅れ、左足クロスでコーナーキックを獲得した。

 これが徳村にとっても大きな自信となった。「一本目は仕掛けろとみんなから言われていたので、一本目は仕掛けることを意識していて、あそこでコーナーを撮れたのが今日のゲーム運びで個人のいいところにつながったと思う」。そこからは圧巻だった。その後も次々に相手選手を抜き去るドリブルを繰り出したかと思えば、前半11分のボレーシュートを皮切りにフィニッシュも連発。ボールを持つたびにスタンドから期待の歓声が巻き起こるようになった。

「相手のことはあまり考えず、自分がやるだけだと思っていた。それを出していたら自然と剥がしたりとか、シュートまで行けたと思う」。その後は相手の対応もあって消える時間帯もあったが、神村学園のフィジカルトレーニングで鍛えた運動量は終盤まで落ちず。終了間際にもドリブル突破の切れ味は失わず、終盤にも決定的なシュートを連発した結果、ドリブル成功数は6/7と高水準を誇り、シュート数もチーム最多の7本を記録した。

 まさに鮮烈という形容にふさわしいプロデビュー戦。それでもプロの基準で通用するパフォーマンスを見せていたからこそ、最後は悔いも残ったと言う。

「仕掛けの部分で言うと90分通してやり続けられたと思うけど、最後のフィニッシュの質は90分通してずっと課題だった。それをしっかり突き詰めて、次のゲームではチャンスをしっかりと決め切りたいと思います」

 試合前から「点を取りたいという欲があったし、そのために一番多くシュートを打つと言うことを意識していた」といい、その決意にふさわしい姿勢は見せたが、結果はノーゴール。「試合終盤になるにつれて地に足がつかないことも多かったので、しっかり剥がした後にもっと冷静にということを意識していたけど、踏み込めなくてふかしたりというのもあった。もっと何本もシュートを打って、90分通して力強いプレーヤーになりたい」。プロデビュー戦で刻んだ90分間の感触を財産にし、次はJ1の舞台で躍動する。

(取材・文 竹内達也)