「保険はプロに任せれば間違いない」の落とし穴…営業マンの言いなり→失敗を回避する「生命保険の探し方」【税理士が解説】
現在、2人以上の世帯のおよそ9割、単身世帯の半数近くが加入する日本の「生命保険」。しかし「なんとなく」で加入した後、実は長年放置状態な人も多いのではないでしょうか。本記事では、そんな生命保険の定期的な見直し方や節税効果・注意点を、永江将典氏の著書『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(ワン・パブリッシング)より一部抜粋してご紹介します。
日本人が皆入っている生命保険
何かあったときに助けとなる生命保険ですが、動機があいまいな人も多いようです。「皆が入っているから……」と、なんとなく加入し続けている人も多いことでしょう。
実際、私たち日本人の生命保険への加入率は高いです。公益財団法人生命保険文化センターによれば、2024年度の世帯加入率は2人以上の世帯で、実に89.2%。単身世帯でも45.6%となっています。
この生命保険も、知っているのといないのとでは大違い。知らないと大損する情報もあります。もし「なんとなく」入ったのであれば、この機に一度見直してみましょう。
たとえば家族構成が変わると、必要な保険も変わります。子どもが社会人になれば、万が一のことがあっても学費を工面する必要がなくなるため、必要な死亡保険額はもっと少なくてもよいはずです。
死亡保険額が低くなれば、支払う保険料も安くなりますので、「なんとなく」加入し続けるのではなく、定期的に見直していきましょう。
保険の相談相手を間違えない
保険を見直すときに問題になるのは、誰に相談するのか? ということです。
あまり知らない人も多いのですが、保険の営業マンには得意分野があります。もし不得意な分野の相談をしてしまうと、保険料でもその後の条件でも、大きな差が出てきます。
また営業マンは自分の「売りたい保険商品」があります。情報が少ない中で相談してしまうと、他にもっとよいものがあっても、知らずに契約してしまうこともあります。
だから最適な相談相手は、あなたの属性によって変わってきます。属性とは年齢、性別、職業、収入、居住地、 家族構成などです。
なお営業マンはあなたの相談に乗ったとしても、相談だけでは1円も儲かりません。契約につなげなければ、給料がもらえないのです。親身になって相談に乗ってくれるとは思いますが、成約しなければ食べていけないので、自分が売りたい商品を勧めてくることになります。
ですので、あなたの属性との良し悪しを見極め、「あなたにとって、できる営業マン」を探すことが大切です。
属性の中でも、雇用形態は大事なポイントです。会社員や個人事業主、会社経営者といった違いで、保険も大きく変わってくるためです。
経営者であれば、社長仲間などから優秀な保険営業マンを紹介してもらうのがいいでしょう。経営者は家族への保障だけでなく会社への保障も必要となるため、保険金額が大きくなりがちです。
また、経営者向けの保険にはさまざまなバリエーションがあり、担当してくれる営業マンによって結果が全く変わってきます。
営業マンに相談する前に、YouTubeで知識武装
会社員や個人事業主であれば、じつはもっともおすすめなのは、自分でYouTubeを見て勉強することです。
先にお伝えしたように、保険の営業マンには「売りたい保険」があって、情報が偏りがちだからです。よりよい条件で契約するためにも、あなた自身が選択肢を広げておくことが大切になってきます。
何も、本格的に勉強する必要はありません。ネットにはポイントを分かりやすくまとめた動画がたくさんアップされていますから、「生命保険 見直し」などと検索して人気の動画を数本見ましょう。それだけでポイントがつかめ、知識武装ができるはずです。
なおYouTubeで動画を見る際に注意してほしいポイントは、保険の営業マン以外の解説を見ること。繰り返しになりますが、営業マンは基本的に、「自分の売りたいもの」しか紹介しないからです。
彼らの立場になってみれば、それはそうですよね。関係ない保険を売っても1円も儲からないのであれば、紹介するはずもありません。
もちろん、YouTubeで知識をつけた上で、保険の営業マンに相談するのはよいことです。先に学んだ上で相談すれば、言いなりにならず、客観的な判断ができるはずです。新しい情報も引き出せることでしょう。
大切なのは、あなた自身の中に判断基準があること。新規に保険を考えるにしても、見直すにしても、知識をつけた上で「いいな」と思ったのであれば、それはあなたに合った保険である可能性が高いでしょう。
今さら聞けない、生命保険の節税効果
生命保険には、大きく分けて「掛け捨て型」と「貯蓄型」があります。貯蓄型は、積立型という言い方もします。掛け捨て型とは文字通りの意味で、保険期間が満了になったらお金は受け取れません。しかし貯蓄型の中には、お金が増えるタイプのものがあります。さらに、そこに節税効果も加わります。
お金が増えるタイプの生命保険は、増えた分に対して税金がかかるのですが、増えた分は「一時所得」という扱いになるのです。
税金の計算式は、「(増えた金額−50万円)×50%×その人ごとの税率」です。つまり利益が50万円(一時所得の特別控除額)までなら、お金が増えてもその分の税金はゼロということ。もし利益が50万円を超えても、超えた分の50%に対してしか税金がかかりません。これは、お給料にかかる税金の半分ほどの低い税率ということになります。
生命保険も、知らないと大損することがある
貯蓄型の生命保険の中で、人気があるのはドル建ての生命保険です。これには死亡した際の保障機能はほぼないのですが、その代わりに積立金が毎年ドルベースで4%以上の複利で増えます。
たとえば10年経てば100万円が約150万円になるということです。ドル建てですから為替が変わることで価値が目減りするリスクはありますが、それを補う魅力があるということでしょう。
ただ、短期間で解約する場合には、不利になることもあります。保険によって異なりますが、解約返戻金の効率が悪くなる(元本割れする)こともありますので、その点は留意しておきましょう。
なお、利益50万円までは税金ゼロです。これは一人ひとりに対して判定されるため、家族の複数人で入り方を工夫すると、節税効果がさらに高まります。
イメージをつかみやすいよう例を挙げましょう。たとえば総額で2000万円の生命保険を4人家族にかける場合の、2つの方法を比較します(分かりやすくするため、税制上の詳細な解説はあえて割愛します)。
(1)1回で保険に入るケース
500万円×4名=2000万円
5年後の満期のときに1.5倍の3000万円になっていた場合、1000万円を増やせたことになる。ただし、1000万円−200万円(50万円×4名)×50%で、400万円に税金がかかる。
(2)5年間に分けて保険に入るケース
100万円×4名= 400万円、400万円×5年=2000万円
400万円が5年後の満期のときに1.5倍の600万円になっていた場合、200万円を増やせたことになるが、200万円に対する税金は特別控除額内で0円。5年間かけて10年後にすべての満期が終わったら、200万円×5で、1000万円が非課税で増えたことになる。
平たく言えば「人数を増やし、分割加入で特別控除額を上手に利用すれば、節税効果も増える」ということですが、いかがでしょうか。
これはあくまで為替が安定している前提での一例ですが、ちょっとした知識の差で400万円を非課税にできることがお分かりいただけたかと思います。知っているのと知らないのとでは大違い、知らないと大損ですね。
なお保険会社はたくさんありますが、後者の(2)のような保険を扱っている会社は決して多くありません。2025年現在の情報ですが、メットライフ生命保険株式会社や三井住友海上プライマリー生命保険株式会社には、このタイプの保険がありますのでご参考までに。
このように節税情報はあなどれませんし、それが積み重なると大げさではなく、人生が変わるレベルで損をしてしまうこともあります。情報が洪水のように溢れる今の時代には、情報格差もつきもの。あなたにはぜひ、情報強者の側に回ってほしいと思います。
永江将典
公認会計士・税理士
