SUVより小型で軽量、安価 性能も良い「ハッチバック」に今こそ注目 英国記者の視点
少し地味だが、ちょうどいいクルマ
少し前に行ったグループテストは、非常に満足できる結果に終わり、強く印象に残っている。昨年8月、改良型フォルクスワーゲン・ゴルフ、トヨタ・カローラ、プジョー308のライバル3車種を対決させた際、全体的な結論は「3台とも強く推奨できる」というものだった。
【画像】欧州Cセグメント・ハッチバックの「ド定番」【カローラ、ゴルフ、308を詳しく見る】 全39枚
比較対象になるモデルは他にもあったが、10台も同時にテストするのは骨が折れる。ただ、マツダ3、ホンダ・シビック、フォード・フォーカスを加えても結果はほぼ同じだろう。

VWゴルフ、トヨタ・カローラ、プジョー308はどれもお勧めできるCセグ・ハッチバックだ。 AUTOCAR
そう聞くと、Cセグメントのハッチバックはどれも白物家電みたいなものだから、どれを選んでも大差ない、と思われるかもしれない。しかし真実は逆だ。平凡なクルマがあふれる世の中で、このセグメントは今なお見るべきものが多い。
近年、SUVやクロスオーバーが支配的地位を確立したとはいえ、内燃機関搭載のCセグメント・ハッチバックは欧州自動車市場の基盤であり、数百万台単位で販売されてきた。
そのためメーカーは、資金と時間と労力を注ぎ込み、優れたクルマを作ろうと取り組んできた。その成果は明らかだ。多くの点で、Cセグメント・ハッチバックはまさに「ちょうどいい」を体現するかのような、最高のクルマと言えるだろう。
サイズは欧州の道路にぴったり。小さすぎて子供用乗用玩具を運転している気分になることもなければ、大きすぎて駐車が困難だったり、生垣に囲まれた田舎道をくぐり抜けるのに苦労したりすることもない。
家族を乗せるには十分だが、1人で運転する時にも余分な金属を引きずり回すこともない。
この適切なサイズは好循環を生む。クルマが過度に重くも高くもないため、高性能を実現するのに大排気量エンジンは不要だ。(150psのガソリンエンジン搭載ゴルフは0-100km/h加速8.4秒。これ以上の性能が本当に必要だろうか?)
大排気量エンジンを搭載しないため、18km/l前後の燃費を無理なく達成できる。ディーゼル車(欧州ではかなり希少だが)やハイブリッド車を選べば、25km/lにも手が届く。
制御すべき重量や車高がさほどないため、サスペンションはかなり柔らかく設定できる。つまり、乗り心地とハンドリングは両立できる。姿勢制御がしっかりしていてステアリング操作がダイレクトでも、乗り心地が荒くなることはない。
使われている部品は特別高級なものではないから、万が一交換が必要になっても法外な値段にはならない。16インチホイールに分厚いタイヤを組み合わせれば、クッション性のある乗り心地と安価なタイヤが手に入り、まさに理想的だ。安価と言えば、ハッチバックは同等のSUVより数千ポンド(数十万円)は安いのが普通だ。
静かで素晴らしい走り、実用性、経済性、手頃な価格……。もし、Cセグメント・ハッチバックが今日、まったく新しいアイデアの新製品として登場したら、我々は皆熱狂し、ゲームチェンジャーと呼ぶだろう。
しかし、ゴルフは50年、カローラは40年、プジョー306/308は30年と存在し続けてきた。そうして皆が慣れ親しんだものは、軽んじられる傾向にある。ただのスタンダード、昔から存在してきたもの、親が乗っていたクルマなどと見なされる。
セダンより実用的で、SUVより効率的で運転しやすいハッチバックは、自動車界の必需品だ。比肩するものがないほど魅力的だが、ファッション性が高くないのであまり流行らない。そんな、パンのようなありふれたものが今、必要なのだ。
