東京の新宿駅から電車で十数分、落ち着いた雰囲気のJR中央線・西荻窪駅周辺エリアは、個性豊かな個人商店が多いことで有名だ。こじんまりとした店構えながら、質の高いレストランも少なくない。そんな街でふらりと入った炭火グリルをメインに据えたイタリアン『Braceria S(ブラチェリア エス)』で、感動的なランチと出合った。満足感たっぷりの高コスパなメニューの全貌とは?

ショートコースのような満足感が味わえるランチメニュー

2017(平成29)年に西荻窪駅から南西に広がる住宅街の松庵(しょうあん)エリアに開業し、2021(令和3)年7月に西荻窪駅南口から徒歩1分の神明通りに移転オープンした『Braceria S』は、炭火焼きの料理と自家栽培野菜を使ったメニューで人気を誇る、フルオープンキッチンのレストランだ。

10席のカウンター席では、料理を作る音や香りを感じながら、シェフの手さばきを眺めつつ、ゆったり食事を楽しむことができる。地下にはテーブル席や個室も完備しており、シーンに合わせて席を選べる。

臨場感あふれるモダンなカウンター席

この店のランチでオーダーすべきは、自家製パンとグリーンサラダ、本日の前菜3種盛り合わせとともにアツアツのパスタを味わえる「ランチメニューPLAN2」(1870円)だ。どっぷり主観が入るが、2000円以内の価格帯でありながら、食べ終えた後の満足感はショートコースと同等! ボリューム、味ともにコスパ抜群の構成なのである。

序盤に登場するのは、「前菜盛り合わせ」だ。3時間にわたって火を加え、シャリピアンソースを添えた香ばしいローストポークや、爽やかなカプレーゼ(トマトとモッツァレラチーズのサラダ)などの日替わりで3品のメニューが盛られている。

ボリューミーで質の高いメニューが並ぶ「ランチメニューPLAN2」

注目は、東京・小金井にある自家農園で作られた15種類以上の無農薬野菜によるサラダ。採れたての野菜はどれも風味豊かで味わい深く、自然な甘みやシャキシャキとした食感が心地いい。土づくりから自分たちで行っているという畑には、トレビスやビーツ、ヤングコーンなどの珍しい野菜、ハーブも豊富にラインナップ。日々現場に足を運び、野菜の生育状況に合わせて料理に取り入れているそうだ。フレッシュ野菜やグリル野菜などの様々な調理法でおいしさの違いを比較できるのも楽しい。

彩り鮮やかな無農薬野菜が目を引く「前菜盛り合わせ」

選べる日替わりパスタでおすすめは、「渡り蟹のトマトソースパスタ」だ。身の詰まったボリュームたっぷりの渡り蟹は、強火で一気に焼きあげるのが、おいしく仕上げるコツなのだとか。濃厚なトマトソースには、にんにくを使わないのがシェフのこだわり。女性客が多いからこその工夫だそうで、小さな心遣いがうれしい。

ドリンクは、ソムリエ厳選のカリフォルニアワインが常時100種類以上揃うので、お酒好きは料理とのペアリングを楽しむのもおすすめだ。

身のたっぷり詰まった渡り蟹が絶品の「渡り蟹のトマトソースパスタ」

本場イタリアで修業したシェフのうま味を引き出す料理

店長兼シェフは、東京・恵比寿の人気イタリアン「ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア」や東京・駒沢の名店「イル・ジョット 」で腕を磨いた笠井邦彦さん。本場イタリア・サルデーニャ島のレストランでの修業経験もあり、シンプルに素材のうま味を引き出す炭火焼料理が、人気を博している。

「うま味がある食材は、ちゃんとした段取りを踏めば、ちょうどいい塩梅の塩味をプラスするだけで、最高にうまい料理に仕上がるんです」と語る笠井さん。食材に寄り添い、そのうま味を最大限に引き出す調理方法を選択しているからこそ、シンプルなおいしさがダイレクトにゲストに伝わるのだろう。

店長兼シェフの笠井邦彦さん

毎週のように足繁く通うリピート客も多い。シェフ自ら手がける無農薬野菜をはじめ、店の根本には手間暇を惜しまず「いいものを作りたい」という心意気と、「ゲストを喜ばせたい」という強い思いを、ひしひしと感じることができた。地元民からも圧倒的な支持を得る隠れ家イタリアンで、心高鳴る絶品ランチを味わってみては。

温かみのある『Braceria S』の外観

[店名]『Braceria S』
[住所]東京都杉並区西荻南2-23-8
[電話]03-5941-9211
[営業時間]11時半〜15時、17時〜22時
[休日]毎週月曜、第一火曜
[交通]JR中央・総武線「西荻窪駅」南口から徒歩1分

文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験し、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを始め、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。休日は毎週末サウナと温泉で1週間の疲れを癒している。