“手取り19万円”から毎月養育費6万円を捻出「元妻が再婚して息子と会えなくなったのに払うのは…」46歳バツイチ男性の苦悩

今の時代、子連れ再婚は決して珍しくありません。厚生労働省の人口動態統計によると2021年の再婚(夫婦どちらか、もしくは両方が再婚。130,227組)は婚姻全体(501,138組)の26%。1990年の再婚は132,357組、婚姻全体は742,264組で再婚の割合は18%だったので全体に占める割合は30年で4割近く増えています。
芸能界でいうならば、B’zの稲葉浩志さんの妻は松崎しげるさんの元妻です。彼女は松崎さんと離婚し、子連れで稲葉さんと再婚したことも広く知れ渡っています。法律上、非親権者である父親は親権者である母親に対して子どもの養育費を支払う義務が発生します(民法766条)。いしださん、松崎さんから養育費を受け取っているかどうかは知る由もないですが、谷原さん、稲葉さんは超人気俳優、ミュージシャンです。受け取らずとも大きな支障はないかもしれません。
翻って一般人の場合ではどうでしょうか。(元妻が)再婚しても養育費を払わないといけないのか。金額を減らしたり、振込を止めたりしても良いのか。筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして養育費の相談を受けることが多いですが、そんな悩みを抱えるバツイチ男性はたくさん見てきました。今回の相談者・長岡健也さん(仮名・46歳・年収400万円)もそんな一人です。
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また家族の構成や年齢、本籍地、養育費の金額や延滞の理由などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。
<登場人物(年齢は相談時点。すべて仮名)>
元夫:長岡健也(46歳。会社員。年収400万円)☆今回の相談者
元妻:下田奈々(44歳)
子:下田唯人(12歳)
元妻の再婚相手:下田伸人(48歳)
◆手取19万円から6万円を捻出するのは大変で…
健也さんは「(元妻が)再婚したことはうすうす勘付いていました。でも、養育費の払いをやめられない事情があって」と苦しい胸のうちを吐露します。健也さんが元妻と離婚したのは9年前。元妻が当時3歳だった一人息子を引き取り、健也さんは毎月6万円を支払うことを約束したそう。
離婚7年目まで毎月せっせとATMで振込の操作を続けたのですが、健也さんの年収は400万円(手取りは毎月19万円)。どこにでもいる平凡のサラリーマンなので、一人暮らしをしつつ、毎月6万円を捻出するのは大変です。実際、健也さんも勤務先からの給料では足りず、休日にこっそりとアルバイトをし、バイト代で養育費を払っていたそう。しかし、アルバイトは毎月3〜4日。バイト代は6万〜7万円。1日も休まずに働く週もあり、下血などの症状が現れるほど体力的には厳しい状況でした。
<毎月の支出>
家賃:75,000円
電気代:6,000円
ガス:5,000円
水道代:4,000円
食費:40,000円
携帯代:5,000円
雑費:20,000円
日用品:10,000円
養育費:60,000円
計225,000円
そんななか振込のレシートに表記された息子さんの苗字が変わっていることに気付いたのです。健也さんは「別れた後、彼女は旧姓(網代)に戻りました。しかし、振込先の表記は下田に変更されていました」と振り返ります。
◆元妻は再婚。息子と会えないのに払い続けるのは…
健也さんは不定期ながら息子さんとの面会を継続。長期休暇の間でタイミングをみて食事をしたり、買い物をしたり、映画を見たり……。「少しでも父親らしいことをしてあげたい」という一心で健也さんは接点を持ち続けました。しかし、離婚7年目に入ると元妻が「学校の行事が忙しい」「インフルにかかった」「会いたくないって言っている」などと言い、面会を取り次がなくなったのです。