サンタクロースはトナカイが引くソリに乗って世界中の子どもたちにクリスマスプレゼントを届けています。そんなサンタの移動速度を天文学者のローラ・ドリーセン氏が検証した結果、「サンタの驚異的スピードによってトナカイの鼻の色が変化したように見える」ということが判明しました。

I’ve calculated Santa’s speed on Christmas Eve - and this is what it would do to Rudolph’s nose

https://theconversation.com/ive-calculated-santas-speed-on-christmas-eve-and-this-is-what-it-would-do-to-rudolphs-nose-245764

計算は「サンタがプレゼントを届ける子どもの人数」の推定から始まります。ドリーセン氏はサンタがプレゼントを贈る対象を「14歳未満の子ども」に絞り込み、「世界には14歳未満の子どもが約20億人いる」「世界中の国々の約93%が何らかの形でクリスマスを祝うため、プレゼントを届ける対象も世界中の子どもの93%に絞られる」「サンタはサンタを信じる子どもにだけプレゼントを届ける。アメリカの調査では子どもの約85%がサンタを信じていることが分かっている」といったことからプレゼントを届ける子どもの人数を約6億9000万人と推定しました。

さらに、世界平均で1世帯当たり約2.3人の子どもがいることから、サンタが訪問する家の数は約3億軒と推定されます。地球上の人間が住める陸地の面積は約9600万平方キロメートルです。訪問対象の約3億軒の家が居住可能な陸地に均等に分散していると仮定して計算すると、サンタの移動距離は「1億4400万キロメートル」に達します。これは地球から太陽までの距離とほぼ同じ長さです。

時差を考慮すると、サンタはプレゼントを届けるために35時間を使えます。このうち、「家の中に入ってプレゼントを置き、ソリに戻る」という動作に半分の時間を使うと仮定すると、サンタの移動時間は17.5時間となります。これを踏まえて計算すると、サンタは時速820万キロメートルで移動していることになります。これは光速の0.8%という驚異的なスピードです。ちなみに、「次の家に移動する」という動作や「家の中に入ってプレゼントを置き、ソリに戻る」という動作にかかる時間はわずか0.2ミリ秒(5000分の1秒)です。



「時速820万キロメートル」という数値は推定値なので、実際に速さを測定したくなります。しかし、あまりにも速すぎて「ハイスピードカメラで撮影する」といった手法ではサンタの移動速度を測定できません。そこで役立つのが「高速移動する物体は光の波長の変化によって色が変化したように見える」という現象です。

「波の発生源の移動によって観測される波長が変化する」という現象はドップラー効果と呼ばれています。身近な例では「救急車のサイレンが、近づいてくる時は高く聞え、遠ざかる時は低く聞える」というものです。これと同じ効果が高速で移動する物体にも生じており、観測者に近づいてくる時と遠ざかる時で光の波長が変化して色が変わったように見えるというわけ。この色の変化具合から移動速度を算出できます。



サンタのソリを引く「真っ赤なお鼻のトナカイさん」に着目すると、トナカイが近づいてくる時は波長が短くなって鼻がオレンジ色っぽく変化(青方偏移)し、遠ざかる時は波長が長くなって鼻が黒っぽく変化(赤方偏移)します。「サンタが少し急いで光速の10%の速さで移動した」という場合のトナカイの色の変化を示した図が以下。左側が近づいてくる時の色、中央が静止している時の色、右側が遠ざかる時の色を示しています。この色の変化から逆算することで、移動速度を求められるというわけです。



なお、ドリーセン氏はサンタの移動速度の計算に用いたコードを以下のリンク先で公開しています。

RedshiftedRudolph/RedshiftedRudolph-Calculations.ipynb at main · AstroLaura/RedshiftedRudolph · GitHub

https://github.com/AstroLaura/RedshiftedRudolph/blob/main/RedshiftedRudolph-Calculations.ipynb