トンネル内の空気は想像以上に汚れている

©s.narisawa/stock.adobe.com

トンネル走行の際に、「窓を閉めるべき」「エアコンは内気循環にする」というのは、多くのドライバーが知っている対策でしょう。トンネルの中は、車から排出された排気ガスが充満し、一酸化炭素や有害物質が空気中に多く含まれる場所だからです。

どのくらいトンネル内の空気が汚れているのか、2012年に東京大学と交通安全環境研究所が調査を行いました。この調査では、高速道路の車道上のほぼ全域で、大気環境基準(健康を保護する上で望ましい大気汚染の数値)が、平均値を大きく超えているというのです。

中でも総延長10㎞程度の交通量の多いトンネル内では、短期暴露指数値(1時間で二酸化炭素が人体に及ぼす影響度合いを示す数値)がトンネル外の10倍超になったと言います。

こうした状況で窓を開け、渋滞したトンネルの中に長くとどまる行為は、健康を大きく損なう行為です。

また、場合によっては一酸化炭素中毒を引き起こす危険性もあります。

2005年に発生した大雪の影響で北陸自動車道のトンネル内で渋滞が発生しました。全長2.5㎞以上のトンネルで渋滞による抑止を強いられ、同時に停電による排気装置の停止が発生しています。

暖を取るためトンネル内のクルマはエンジンを稼働させた状態であり、酸素量が極端に不足、加えて排気ガスによる一酸化炭素でトンネル内での停車を余儀なくされたドライバーのうち、数人が「気分が悪くなった」と通報しました。軽度の一酸化炭素中毒になったものとみられています。

トンネルを走り抜ける程度であれば、「空気が汚れているな」程度で済みますが、渋滞などで長い時間トンネル内にとどまると、酸欠状態に近づき判断力や運動能力が低下、さらには一酸化炭素中毒の危険性もあるということです。

トンネル渋滞中、タバコを吸ってもいいの?

©︎tinm/stock.adobe.com

特に全長の長いトンネルは空気循環が悪く、天井にジェットファンと呼ばれる換気設備がありますが、トンネル外の空気と同程度の綺麗な空気になるということはありません。

換気されにくい環境であることを踏まえると、ではトンネル渋滞のさなか、窓を開けてタバコを吸うことはどうでしょうか?

前提として、タバコを吸いながら運転すること自体は、飲食と同様にグレーではありますが、明確な禁止行為ではないというのが、現状の道路交通法における解釈となります。

ただし、タバコを吸うことによって、運転に必要な動作が著しく損なわれる状態になると、操作不適と判断され、安全運転義務違反に問われることがあるでしょう。

さらにこの他にも、トンネル内でタバコを吸うという行為が推奨されるかというと疑問が残ります。

法的な規制はないがトンネル内喫煙は避けたほうが無難

©taka/stock.adobe.com

タバコの話とは少し離れますが、水底トンネルや延長5,000m以上の長大トンネル、水際にあり路面の高さが水面の高さ以下のトンネルでは、危険物を積載する車両の通行を禁止したり制限することができることとなっています。これは道路法第46条第3項の規定に基づくものです。

例えば、東京湾アクアトンネルや首都高1号羽田線の羽田トンネルなどが挙げられます。

規制の理由はトンネルの構造を保全し、交通の危険を防止するためです。該当する危険物は多岐にわたり、火薬類、毒物、劇物、水や空気と作用して発火性を有する者など様々です。

万が一、トンネル内で事故などが発生し、こうした火薬や発火物による火災が発生する、あるいは閉鎖されたトンネル内に毒物や劇物が充満するという状況を避けるために講じられている規制とも読み取れます。

このように、火薬類や発火物に対して細かな規制が行われているトンネル内では、火のついたタバコを車内とはいえ、窓を開けた状態で吸う行為は安全とは言い難い行為でしょう。

ましてや、吸殻をポイ捨てするなどして、トンネル内の何かに引火し、大きな火災事故につながる危険性がある行為ともいえるでしょう。

トンネル内での喫煙行為に関して法的な規制はありませんが、危険と隣り合わせになる可能性の高いトンネル内での喫煙は避けるべきといえます。

 トンネルの中では運転に集中し、タバコは吸わずに通り抜けることが、事故を未然に防ぐためにも重要なマナーになると筆者は考えます。