この記事をまとめると

■横断歩道で一時停止しないクルマが問題視されて久しい

■そこで千葉県は「ゼブラ・ストップ作戦」を実施

■「ゼブラ・ストップ作戦」の内容について解説する

千葉県が「ゼブラ・ストップ作戦」を実施!

「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しないクルマが多い」というのが話題になって、ずいぶん久しい。

 JAFの調査によると、信号機のない横断歩道におけるクルマの一時停止率(全国平均)は、2016年が7.6%。そして昨年2022年が39.8%とかなり向上がみられたが、依然として全体のおよそ6割は停車しない状況が続いている……。

 こうした現状を踏まえ、千葉県では「ゼブラ・ストップ作戦」を実施中!

「ゼブラ・ストップ作戦」なんて聞き慣れないフレーズだろうが、千葉県警では次のように説明している。

『この活動は、横断歩道等における歩行者等の優先義務を運転者に徹底し、歩行者等の保護を強化することを目的に実施するもので、横断歩道の和製語であるゼブラゾーンの「ゼブラ」にかけて、「前方」・「ブレーキ」・「ライト」をドライバーに強く意識させ、横断歩道手前での確実な「ストップ(一時停止)」を徹底することにより、交通事故を「ストップ」させるものです』

 補足すると、ゼブラのゼは「前方」のゼ。前をよく見て安全運転、横断歩道を発見したら、そのまわりに歩行者等がいないか、十分に注意せよという意味。

 ゼブラのブは「ブレーキ」のブ。渡ろうとしている歩行者がいるかも知れない場合は、横断歩道手前で停まれる速度で進むべし。

 ゼブラのラは「ライト」のラ。横断歩道でも「3(サン)・ライト」で交通事故防止。

 クルマの「ライト」は早めに点灯し、小まめな切り替えで横断者の早期発見に努めること。横断者も反射材等で「ライト」アップ。「ライト」右からの歩行者にも注意。

千葉県交通事故死者数は減っている

 ちなみに「3・ライト運動」とは、千葉県が平成29年まで実施していた運動で、以下の3つのライトを推進して交通事故を防止し、太陽(サン)のような明るく、幸せな人生を送りましょう、という趣旨のもの。

 ライト(前照灯):早めのライト点灯、こまめな切り替え

 ライト・アップ(目立つ):反射材、LEDライト等の活用

 ライト(右):右からの横断者にも注意

 この「3・ライト運動」をさらに発展させたのが、「ゼブラ・ストップ作戦」になる。

 千葉県は2019年に交通事故死者数が全国ワースト1になっていたが、翌2020年には千葉県警と関係機関が連携し対策を強化。65年ぶりに死者が150人を下まわりワースト1を返上。2021年は全国ワースト4位(121人)、2022年もワースト4位(124人)だったことを考えると、この「ゼブラ・ストップ作戦」も効果が出ていると考えていいだろう。

 ちなみに自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故のうち、約7割が歩行者の横断中の事故で、横断中の事故のうち、約7割が横断歩道以外の場所を横断している時に発生しているといわれている。

 さらに横断歩道以外の場所で発生した事故のうち、7割以上は歩行者側の法令違反があったこともわかっている。

 そこで千葉県では、ドライバーに対し「ゼブラ・ストップ作戦」を実施するとともに、歩行者にも、横断歩道や信号機のある交差点が近くにあるところでは、その横断歩道や交差点で横断すること。「歩行者横断禁止」の標識のあるところでは、横断をしてはならない。道路を斜めに横断するのも禁止。といったこともピーアールし、啓蒙活動に力を入れている。

 自動車と歩行者の事故を減らすには、ドライバーだけが気をつけてもダメだし、歩行者の安全意識だけでも足りない。両者がそれぞれルールとマナーを守り、気を抜かないことが何より肝要。

 千葉県だけではなく、全国でこうした運動を広げ、一件でも悲惨な交通事故がなくなるように努力していこう。