天皇杯はJ2の甲府がJ1の広島を下して初戴冠となった。(C) SOCCER DIGEST

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 勝ったチームには悪いが、天皇杯の結果を“SNS”で知り、少し寂しい気持ちになった。

 何が寂しかったのかと言えば、普通にJリーグのJ2とJ3がリーグ戦として試合を行なっている同時刻に天皇杯決勝の甲府−広島が行なわれ、さらにJ2の甲府が1つ下のカテゴリーでありながら栄冠を掴みとった――という状況に対してだ。

 天皇杯と言えば元旦に決勝戦を行ない、サッカーファミリーが皆、その一戦に注目して観戦できるのが恒例であり、選手にとっても誇りであった。
 
 今年は10月16日(日)の14時にキックオフされ、JFLの鈴鹿の試合も13時から行なわれており、もちろん天皇杯決勝は試合後のスマホで確認することになった。

 そして格上のJ1クラブが敗れたことも寂しさを募らせる要因の1つである。しかも甲府のリーグ戦の成績は18位と降格ライン付近だ。この日にJ2は降格2チームが決まり、甲府としては、あとは天皇杯に力を注ぎ、来季に力を出せば良いと考えることも出来る。そんな不本意なシーズンを送った甲府に対し、シーズンを通して良い位置で戦い続けたJ1の広島が敗れたのも、少し寂しい気分にさせた。

 PK戦は難しい勝敗の決め方ではあるが、運だけとは言わず、実力の1つと言うべきだろう。粘り強く勝者となった甲府には、おめでとうと素直に讃えたい。

 Jリーグも残り2試合となり、J1優勝争いはF・マリノスかフロンターレ。残留争いも降格圏から13位のベルマーレまで勝点3差の勝負で、どう転ぶか分からない緊張感のある2試合となる。

 Jリーグ元年にお世話なった清水エスパルスはジュビロ磐田と延期分のプラス1試合があるが、ジュビロは絶対に負けられないゲームになり、エスパルスも勝点3を上積みし、残り2試合を迎えたいであろう。

 静岡出身の自分にとって、この2チームが残留争いになっていることも寂し過ぎる現実である。

 一方J2からの昇格は、すでに新潟と横浜FCで決まっており、新潟は少し時間はかかったが念願のJ1へ返り咲き、また新潟のビックスワンを埋めるサポーターをJ1で見られるのが楽しみだ。

 横浜FCも立派だ! 1年での返り咲きは簡単ではない。新監督を迎え、厳しい戦いになると予測されたが、いとも簡単に(そう見えるだけ……)戦いのステージをJ1に戻した。大事なのはエレベータークラブにならないようなスタイルの確立となるのであろう。

 横浜FCのサッカーとは何か? が見えてくれば、グーッと良いチームへと変身していくのであろう。

 逆に新潟はそのスタイルをJ2で確立したように見える。世界のデータ発表でパス数世界1がマンチェスター・シティ、2位は日本のクラブだという。それはフロンターレでもマリノスでもなくアルビレックス新潟だったと聞いた。新潟はそのスタイルでJ1の高みをきわめられるだろうか? 実に楽しみだ。

 両チームに携わったすべての人たちに「おめでとうございます」。「努力は必ず報われる!」そんな瞬間だったのだと思う。
 
 今、僕はJFLのクラブで指揮を執りながらこのコラムを書いているが、鈴鹿がJリーグの舞台に辿り着いたら、コラムを書き続けることは出来るだろうか。そんな未来のJリーグ昇格時に思いを馳せる一方で、僕はその日に鈴鹿にいることが出来るのであろうか? とも思う。

 一つひとつ階段をしっかり踏みしめ、上がる。チームもクラブも、山登りと同じである。
 
 早く登ろうとすれば、下山しなければならなくなる。焦らずじっくりコツコツと、呼吸を整え、一歩一歩進まなければ遭難してしまう可能性もある。今の我々はまさしく、山登りと同じようにじっくりと焦らずに進まなければならない。