鈴鹿戦で1トップとして奮闘した岡本(50番)は、チームが“7部”だった頃を回想した。(C)SOCCER DIGEST

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[JFL第24節]クリアソン新宿 0−1 鈴鹿ポイントゲッターズ/10月9日/国立競技場

 東京都心のクラブとして初のJリーグ100年構想クラブに認定されたチームが、歴史に名を刻んだ。

 クリアソン新宿は、JFL第24節の鈴鹿ポイントゲッターズ戦に0−1で敗北。悔しい結果となったが、リーグ史上2回目、2019年の新築以来では初となる国立競技場開催を実現し、観客数はJFL史上最多の1万6218人を記録した。

“歴史的一戦”後に取材に応じた成山一郎監督は、敗戦の悔しさと共に、選手たちを「立派に堂々と自分の力を出していたと思う」「ひるまずに堂々とピッチに立ったのはすごく良かった」と称えた。

 また、ジュビロ磐田や水戸ホーリーホックなどを経て2015年に加入し、この試合では1トップとして奮闘したFW岡本達也は、自身のチーム加入時に思いをはせる。当時、新宿はJ1を頂点とすると“7部”に相当する東京都1部リーグで戦っていた。
 
「当時、社員は僕が5人目だった。僕ら以外は、誰もこんなことになると誰も想像していなかったと思う。5人で『こういう日が絶対に実現する』と夢物語のようにみんなで語っていた。そのために、新宿の人たち色々含めてもそうだし、たくさんの方に仲間になってもらって、応援してもらって。ちょっとずつその輪が広がって、今日の場になったのですごく感慨深かったし、本当にたくさんの人に感謝をしながらプレーをしていた」

 試合の運営に奔走し、「正直なところ、試合はほとんど見れなくて」と笑っていたチーム創設者の丸山和大代表も、チームの“過程”に言及した。

「ピッチを見た時に、大和田歩夢という大学のサークル出身で東京都リーグから頑張ってきてくれたメンバーが出ていたりとか。国立でボールを蹴るまでのプロセスとか、ストーリーに共感してくれた人がたくさんスタンドで応援してくれた。点でとらえた国立、でなく東京都リーグ時代からの積み上げ。その先にあるJFLでの国立はやっぱり特別なものがあったし、僕もそうだけど選手たちもそう思った一戦だったのでは」
 
 JFL史上最多観客数をマークしたが、チケットを“バラまいた”わけではない。丸山代表によると、無料招待券は地元・新宿区の子どもたちに配った1割程度。大半の観客は“お金を払って”試合を見に来たのだ。

 また、対戦相手は元日本代表のレジェンドである三浦知良が在籍する鈴鹿だったが、“カズありき”で試合を組んだわけではなかった。丸山代表は、経緯を明かした。

「まずは新宿でやりたい。国立競技場ありきで、相手はどこであっても新宿の皆さんに見ていただきたい。その中で、影響力のある方がいるチームなので。運用とかスタジアムのレギュレーションとか考えると、一番いいんじゃないかと」

 JFL史上最多観客数の“記録ホルダー”として歴史に名を刻んだが、その進歩の度合いも異例だ。2019年に6部相当の関東社会人2部、2020年に5部相当の関東社会人1部に昇格してきた。その中で、新型コロナウイルス感染症対策の観客入場制限の影響もあり、チーム初の“有料観客入場試合”は今年3月だった。

 丸山代表は「観客数5ケタはまた新たなチャレンジ。もっと運営を磨かなければならないと、うちのメンバーが理解できた。これからは、小さめのスタジアムを使うが、国立の基準を忘れないようにしっかりと、どなたが来ても安心安全に楽しんでいただける運営作り。国立レベルから逆算できるようになったのは大きい」と語った。
 
 さらに、今回の経験から、前向きな課題と手応えがあったと明かした。

「普段J1のクラブさんは観客が5万人来たり、普段から1万人や2万人を当たり前に集めている。改めてすごいと感じた。われわれも、もっともっと次回から色々やらねば。スポーツビジネスは、やっぱり面白いものなんだと改めて感じた」

 競技面では、厳しい現実もある。初挑戦のJFLで現在16チーム中15位。J3の最終結果次第で降格枠が減る可能性もあるものの、現時点では“降格圏”にいる。成山監督、岡本、丸山代表は、3人とも現状のプレーへの課題を口にしていた。

 さらに羽ばたくために。新宿はJFL残留をかけてラスト6戦に臨む。次戦は10月16日、敵地で高知ユナイテッドSCと相まみえる。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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