エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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MLBではトレードはひっきりなしに成立する日常茶飯事

 2022年シーズンも半ばに差し掛かったところで、取り沙汰され始めたエンゼルス大谷翔平投手の電撃トレードの可能性。シーズン序盤は好調だったエンゼルスがここにきて低迷し、ア・リーグ西地区4位に沈みプレーオフ進出も厳しくなりつつあることから、米メディアを中心に来季終了後にFAとなる大谷のトレードの噂が流れ始めている。

 エンゼルスにとってマイク・トラウト外野手と並び、チームの“顔”である大谷。そんな中心選手をトレードで放出する可能性が出てきていることに疑問を抱くファンも少なくないのではないだろうか。

 日本のプロ野球においては、チームの主力選手をトレードで放出することはほぼなく、しかも「トレード」という言葉にはどうしてもネガティブなイメージが付きまとう。ただ、MLBにおけるトレードはひっきりなしに成立するもはや“日常茶飯事”、そして、主力選手が対象になる「トレード」はポジティブなものとして受け止められている。

メジャーリーグではプレーオフ進出を目指す球団が積極的に補強に動く

 まず、今回、大谷にトレードの可能性が出てきている背景をおさらいしておこう。大谷とエンゼルスは来季まで契約を残しており、2023年シーズン終了後にFAとなる。大谷の契約延長には、メッツのマックス・シャーザー投手の4333万ドル(約59億円)を超える史上最高年俸が必要と見られている。エンゼルス側もこれを理解しているとされている。

 ただ、エンゼルスは12年総額4億2650万ドル(約586億円)のマイク・トラウト外野手、7年総額2億4500万ドル(約337億円)のアンソニー・レンドンという高年俸選手を抱えており、仮に大谷と年俸4500万ドル(約60億円)で契約した場合、トラウト、レンドンとの年俸総額は1億2000万ドル(約165億円)にもなり、3人だけで総年俸規定額の360億円の半分を超えてしまう。

 メジャーリーグではトレードが活発に行われる。市場では「売り手(セラー)」と「買い手(バイヤー)」と二分され、プレーオフ進出の可能性が高まっている球団が「買い手」、可能性の低くなった球団が「売り手」となる。「買い手」球団は「売り手」球団からトレードで主力選手を獲得し、ワールドシリーズ制覇を目指して補強を敢行。主力を放出した「売り手」球団は、その交換要員として「買い手」球団が抱えていた将来有望な若手を複数獲得し、来季以降に向けたチーム作りに生かす。これがメジャーリーグの基本的なトレードの動きになる。

「売り手」となった球団は主力と引き換えに有望な若手を大量に獲得

 つまりメジャーリーグでシーズン中に行われるトレードは、プレーオフ進出、さらにはワールドシリーズ制覇を目指すチームによる積極的な動きの表れとなる。補強の対象となる選手はそれに向けた“切り札”として、大きく期待されての移籍となる。日本のプロ野球では、それぞれの所属球団で出場機会に恵まれていない選手による交換が多いが、メジャーリーグの場合は意味合いが大きく異なる。

 そして「売り手」となった球団にとっても、このトレードは大きな意味を持つ。主力の放出と引き換えに得た若手を育て、そう遠くない未来にプレーオフ進出やワールドシリーズ制覇を狙えるチーム作りに繋げていく。また、チーム成績が低迷することで、ドラフトの指名順位は上昇。有望な選手を指名しやすくなる(2022年に成立した新労使協定でドラフト抽選制が導入された)。

 近年ではアストロズがその好例で2010年代前半に「売り手」となってチームを刷新、低迷期に新たに加入した若手が主力になった現在は常勝軍団となり、2017年にワールドシリーズ制覇、5年連続でプレーオフ出場、今季もア・リーグ西地区の首位に立っている。

 ヤンキースやドジャース、メッツといった資金力が豊富なチームは常に積極的な補強を続けるが、資金力が豊かではないチームはその時々のチーム状況により「買い手」と「売り手」になり、プレーオフ進出を狙う時期、チームを解体&再建する時期をサイクルさせる。もし、大谷がトレードとなる場合は、このプレーオフ進出とワールドシリーズ制覇を狙う球団がその移籍先候補になるだろう。(Full-Count編集部)