都市伝説?「教習所によって難易度に差がある」の真相を元教習官に聞いてみた
免許を取るためには、教習所(ここでは公安委員会の認可を受けている指定自動車教習所)へ通うのが一般的です。
どこの教習所へ通っても、試験の難易度は同じなのでしょうか?教習所によって難易度に差があるのでしょうか?教習所で教官としての勤務経験がある筆者が解説します。
教習内容は統一されているので難易度は同じだが…
結論から言えば、「難易度の差はほとんどない」というのが正しい回答となります。なぜなら、教習所で行っている教習内容や筆記試験(学科試験)、運転試験(技能検定)の合格基準は全国一律で統一されているからです。
教習内容や合格基準は「道路交通法施行令」や「道路交通法施行規則」、「指定自動車教習所等の教習の基準の細目に関する規則」などで細かく決められています。そのため、基本的には全国どこの教習所へ通っても教習内容や合格基準に違いはありません。
例えば、教習所での苦手科目として取り上げられることが多いS字やクランク走行(狭路練習)、縦列駐車・車庫入れ(方向変換)などはすべて道幅が法律で定められています。
もし、合格基準にばらつきがあって、簡単に合格できてしまうような教習所があった場合、免許を取りたい人がその教習所に殺到してしまいます。どこの教習所に通っても難易度に差異がないように法律によって決められているのです。
また、教習で使用する車は教習所によって異なるものの、練習や試験で使用する車のサイズはミリ単位で決められています。普通車なのに軽自動車並みに小さいとか、中型車並みに大きいといった違いはありません。
場所によって「高速教習」の有無の違いなどはある
とはいえ、場所によって道路事情が異なるのは事実です。都心部の教習所に通うと車の交通量が多い道路を走ったり、多くの歩行者や自転車が行き交う道路を走ったりします。
そのため、走る時間帯によってはとっさに判断しなくてはならないことも増えます。交通量も、信号も少ない道路環境での試験であれば、難易度は簡単になる場合もあります。
また、教習所での必須項目である「高速道路」の練習においても、都心部の場合、渋滞に巻き込まれることを考えると、時間的に実施することが難しい場合もあります。そのため、実車ではなく運転シミュレーターで高速道路の練習をします。
筆者の個人的な意見を言えば、同一の料金を支払っている以上、高速道路を実車で練習しないのはもったいないと感じます。一方で、怖いから、不安だからといった理由で、実車での高速道路の練習をしないことに安堵する教習生がいることも事実です。
また、教習所によってコースに違いがあるという点も把握しておく必要があるでしょう。例えば、教習所の立地条件によって、直線コースが短いために、直線道路での加速の練習がやりにくくなるということもあります。
さらに、東京では普通車のみの教習を実施している場合も多く、コース内に普通車しか走っていないことも珍しくありません。
一方、地方では大型トラックやバス、トレーラーなどの教習を行っている場合も多く、コース内に様々な車種が混在した状態で一緒に走ることもあります。トラックなどが視界に入り、周囲の道路状況を確認しにくくなる、というケースもあるでしょう。
■学科試験の出題傾向も都道府県ごとに異なる
さらに、学科試験については少し異なります。基本的には全国一律の内容が出ていることにはなっていますが、出題範囲は各都道府県ごとに決定しています。
そのため、その地域で頻発するような特徴的な事故や違反、道路事情を反映した問題が出題される可能性があるのです。
例えば、二輪車の事故が多い都道府県であれば、普通車の学科試験なのに二輪車に関する問題が多く出題されるといったケースです。
実際、東京の教習所で習い、地元の免許センターで学科試験を受けたという教習生からは、「東京の教習所で習った内容とは違う傾向の問題が出題された」という話を聞きました。
もちろん、道路交通法によって定められた範囲から出題されているので、教本をしっかりと読み込んでいれば回答できる問題ではありますが、地域による出題傾向に違いがあることも事実です。
教習所の立地や地域による違いは確かにあります。しかし、できるだけ教習所による難易度に差が生じないように、法律によって教習内容の統一が図られていますので、合格しやすいかどうかではなく、距離的にも、雰囲気的にも通いやすいかどうかで教習所を選択すべきでしょう。
