ワイヤレスイヤホン市場にオーディオグラスの波! メガネ販売チェーンOWNDAYSが参入へ

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ついにオーディオグラスの本格的な普及が始まるかもしれない。

メガネ販売チェーンの「OWNDAYS」(以下、オンデーズ)と中国に本社を置く通信機器メーカーの日本法人「華為技術日本」(以下、ファーウェイ・ジャパン)は、
5月26日(木)、「聴こえるメガネ OWNDAYS×HUAWEI Eyewear」を6月3日(金)から販売開始することを発表した。

「聴こえるメガネ OWNDAYS×HUAWEI Eyewear」は、
ファーウェイ・ジャパンが別途販売するオーディオグラス「Eyewear(アイウェア)」をベースに、オンデーズとコラボしたモデルとなる。

オンデーズの特定販売店舗およびオンデーズ公式オンラインストアで販売されており、価格は32,780円。追加料金がかからない薄型非球面レンズが標準レンズとなり、別途追加料金を支払うことで度付きレンズに交換することも可能だ。

オーディオブランドではないオンデーズが、ファーウェイ・ジャパンとタッグを組むことでワイヤレスオーディオ市場に新たな波を立たせることはできるのだろうか。

現状、製品カテゴリーとしては認知度が高いとは言えないオーディオグラスについて、課題や今後予想される展開などを考えてみよう。


■ワイヤレスオーディオ市場におけるオーディオグラス
ワイヤレスオーディオ市場は、無線通信規格であるBluetooth(ブルートゥース)の進化とともに着実に拡大してきた。

無線技術の向上に加え、アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods(エアーポッズ)」シリーズのように大ヒット製品が登場したことで、一気に認知度が増したのだ。

現在では、スピーカーやイヤホン、ヘッドホンにおけるワイヤレス製品は一般的になってきており、耳をふさがないオープンイヤータイプや骨伝導タイプのイヤホンなど用途に合わせた製品バリエーションも広がりをみせている。

これまで多くの課題を解決しながら進化してきたワイヤレスオーディオだが、まだまだ課題は残る。
・音質の向上
・音漏れ
・フィット感
・操作性
・携帯性
・利便性
・独自性
これら多くの課題に対して、様々な技術を導入して次々と新製品が登場しているのが現状だ。

例えば、
・耳に装着するのが苦手
・耳の穴にフィットする製品が見つからない
こうした利用者の悩みは、ケーブル付きのイヤホンが全盛だった時代からあり、現在に至るまで決定的な解決法はない。そんな中でもオープンタイプや骨伝導タイプのイヤホンが登場し、ある程度は解消できているといった具合だ。

しかし、普段からメガネを利用している人にとっては、オープンイヤータイプや骨伝導タイプのイヤホンは装着し辛い。結果として、そうした人たちは、ワイヤスであることよりも、耳に極力負担がかからない製品選びをすることになる。


Shokzの骨伝導イヤホン「OpenRun Pro」を装着したイメージ


オープンイヤータイプや骨伝導タイプのイヤホンは、従来の耳をふさぐイヤホンに比べて耳への負担が軽減できるほかに、周囲の音も聞き取りやすくテレワークやスポーツシーンにおいて重宝される製品として広がりをみせている。

しかし、耳にかけるタイプがほとんどのため、普段からメガネを利用している人にとっては使いにくさもある。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大以降はマスクを装着するシーンも増えてきているため、耳元が渋滞気味になってしまう。

こうした利用環境を考えると、普段からメガネを利用している人にとっては、
メガネ自体がイヤホンやスピーカーとなることで利便性が大きく向上するのは間違いない。そういった意味では、オーディオグラスはメガネユーザーを中心に今後の需要が期待できる製品カテゴリーといえる。


■オーディオグラスの致命的な課題
メガネやサングラス、ブルーライトカットグラスを利用している人にとっては実は便利なオーディオグラスだが、大きな課題は販路にある。筆者もはじめて店頭でオーディオグラスを見かけて手に取ったのは家電量販店だった。

オーディオ製品である前にメガネであるにも関わらず、メガネ専門店ではほとんど扱われていないのが現状だ。メガネを購入するにはメガネ店に行くという思考は自然であり、訪れたメガネ店でオーディオグラスを見かけて興味を持ってもらうという戦略で、まずはメガネユーザーにリーチすることが重要だ。

しかし、現時点ではそうはなっていない。むしろワイヤレスオーディオのカテゴリーとして家電店などで扱われており「オーディオ機器コーナーに何故か置かれているメガネ」という印象を与える製品となっている。

もうひとつ課題がある。
それは、レンズの交換だ。ほとんどのオーディオグラスは、メガネ店で度付きのレンズに交換が推奨されていない。交換できるものでも、メガネ店で断られてしまうものもあるのだ。

つまり、度が入ったレンズを利用したい人にとって、メーカー(製品)やメガネ店での対応が統一されていないという状況がある。

これではメガネユーザーは、積極的に利用したいと思わないだろう。
実質、サングラスやブルーライトカットレンズのみに絞られ、結果的にはそれほどメガネを利用していない層がターゲットとなっている。
形状はメガネなのに、メガネ利用者にリーチし難い販路や製品となってしまっているのだ。


6月に発売されたAnkerのオーディオグラス


アンカー・ジャパンのオーディオブランド「Soundcore(サウンドコア)」が6月1日に販売を開始したオーディオグラス「Soundcore Frames Cafe」(PCメガネタイプ)および「Soundcore Frames Landmark」(サングラスタイプ)においても、度付きメガネはラインナップされておらず、レンズ交換はメーカー保証対象外の自己責任となってしまう上に、メガネ店での取り扱いはないという。


■普及に向けての課題クリアになるか?
・度付きレンズへの交換可能な仕様
・メガネ店での取り扱い
この2点がオーディオグラス普及に向けて目先の課題となるが、この課題に挑んだのが、今回のオンデーズとファーウェイ・ジャパンの協業だ。


「聴こえるメガネ」


ファーウェイのオーディオグラスEyewearをベースに、前面のグラス部分の形状などもオンデーズが関わりコラボモデルとして仕上げた製品は「聴こえるメガネ」と銘打ち販売されている。

もちろん度付きレンズへの交換も可能で、オンデーズで交換対応をする。販路においても、冒頭の通りオンデーズの特定販売店舗およびオンデーズ公式オンラインストアで販売される。

また、コラボモデルではないEyewearについては、家電量販店などで取り扱われるが、こちらもコラボモデル同様レンズ交換は可能で、オンデーズに持ち込めばレンズ交換の対応をしてくれる。


コラボモデルを着用してプレゼンするオンデーズ代表取締役の田中修治氏


オーディオグラスは、今回の製品でようやくスタートラインに立てた印象を受ける。
今後さらに様々なメーカーのオーディオグラスが、様々なメガネ店で販売されれば、普及がすすむだろう。また利用者が増えることで販売価格が下がれば、一気に普及する可能性もある。

一方で、オーディオグラスはメガネ型とはいえ中身はデジタルデバイスだ。
メガネ店としては、どこまで製品やユーザーのサポートをしていくかという問題も出てくるだろう。

ただ、課題はあるものの、メガネ店もオーディオグラスをきっかけに、デジタル製品を扱う幅を増やしていくことで他店との差別化ができるチャンスともなる。

オーディオメーカーとメガネ店の関係や今後の展開には注目していく必要がありそうだ。


S-MAX:ファーウェイ・ジャパン 新製品発表会【プレゼン】



S-MAX:ファーウェイ・ジャパン 新製品発表会「OWNDAYS×HUAWEI Eyewear」【プレゼン】


OWNDAYS × HUAWEI Eyewear | メガネ通販のオンデーズオンラインストア (眼鏡・めがね)
HUAWEI Eyewear - HUAWEI 日本




執筆:S-MAX編集部 2106bpm