ドライバーを過信して飛び出してくるケースも

 誰でも、まずは自分の立場からモノゴトの善悪を考えてしまうものですが、新たな視点を得て気づくことも多いですよね。たとえばクルマの免許を取って初めて運転してみると、「車道を走る自転車ってこんなに邪魔だったんだ!」とか「歩行者ってどこでも横断してきて怖いな」なんて思ったりするものではないでしょうか。

 でもそれは、クルマを運転したことのない人にはやっぱり、わからなくて当然の気持ちです。今回はドライバーの立場から、「そこをもう少し気遣ってもらえると、事故が減ったり交通渋滞が減ったりするのにな」と思っている、歩行者や自転車に伝えたい気持ちをご紹介したいと思います。

 まず1つ目は、これがなくなるだけで世の中の交通渋滞がかなり減るのではと思われる、「横断歩道をスマホ見ながら横断」です。横断歩道が青信号なんだから、どんな渡り方したっていいでしょ? と歩行者は思うかもしれませんが、青信号なのは右折・左折したいクルマも同じなんです。同じ青信号のうちに、クルマだって曲がりきらないといけないのです。

 右折・左折したいクルマが何台も待っているのに、スマホを見ながらノロノロと横断されてしまうと、あっという間に赤信号になってしまい、曲がれないクルマが多数取り残されることに! これこそが、街中での渋滞の原因の1つです。第一、「ながらスマホ」はそれ自体が危ないですよね。横断歩道では、とにかく渡ることに集中して、サッサと横断して欲しい。これがドライバーの気持ちです。

 2つ目は、ありえない方向や、ドライバーの死角から飛び出してくる自転車。これも本当にやめてほしいことです。信号のない交差点では、ドライバーは常に左右の脇道から飛び出してくる自転車や歩行者がいないかと、緊張して気を配りながら走るものです。が、信号のある交差点では、歩行者も自転車も信号に従って横断するのがルールですから、当然ながらそれに則って運転します。

 なのに、車道の中央線側からクルマを追い越して曲がって行ったり、安全確認をして交差点を曲がりかけているクルマの前に飛び出してきたり。「横断歩道では歩行者優先だろ」と、まるで黄門さまの印籠のようにかざして突進してくる人が多いですが、クルマはそんなに急には止まれないし、ドライバーの後頭部に目はついてません。あっと気がついてもブレーキが間に合わなければ、衝突してしまいます。

 衝突して大怪我を負うのは、歩行者や自転車。法律上ではクルマのミスということになっても、法律は生身の人間の傷まで防ぐことはできませんので、無理な横断、死角からの飛び出しはやめてほしいのがドライバーの本音です。

車道を走るランナーも危険!

 3つ目は、かわいい愛犬とのお散歩を楽しんでいる愛犬家の皆さまへのお願いです。ガードレールのない道路など、ドライバーとしてもなるべく犬を怖がらせないよう、スピードを落として走るように気をつけているのですが、飼い主は車道の脇に寄ってクルマを避けてくれているのに、肝心の犬はリードが長いままでウロウロしっぱなし……。

 これでは、もしかして急に飛び出してきたらどうしようと、ドライバーはかなり不安です。抱っこしてほしいとまでは言いませんが、リードを短く持って飼い主のそばを離れないようにするなど、お互い注意しあって悲しいことにならないようにしたいなぁと思います。

 4つ目は、朝や夕方にジョギングを日課としている方も多いと思いますが、最近どうしたわけか、歩道があるのにわざわざ車道を走るランナーが目立つように思います。歩行者に前を塞がれるとペースが乱れてイヤなのか、一段高い歩道だとアップダウンが頻繁にあるのでイヤなのでしょうか。一説には、車道と歩道の舗装は違うので、本番のマラソンのルートが決まっている場合は、あらかじめ車道を走ってその感触を確かめながら練習をする方が良い、ということもあるようです。

 もしそうだとしても、車道はただでさえ、バイクや自転車、乗用車やトラック、バスなどが混走するところ。ランナーを避けて追い越そうとした自転車が車道中央にふくらみ、それをさらに避けようとしたクルマが対向車線の方までふくらむ、なんてことが起こると、事故につながる可能性も高くなってしまいます。「端っこを走るだけだからいいだろう」と軽い気持ちのランナーには、そうしたリスクをぜひ知っていただきたいと思います。

 5つ目は、駐車場の出入り口付近や道幅の狭い道路の脇などに、無断で駐車する自転車。これもじつはものすごく迷惑な行為です。普段なら1回切り返せば車庫入れできるのに、自転車が置いてあるせいで何度も切り返すことになってしまったり、配達車両などが通れなくなってしまうことだってあるのです。

 クルマを運転しない人は、駐車場の真正面に停めていなければ大丈夫だろうと考えがちですが、クルマをバックで車庫入れするには、左右どちらかに車体を振って前進し、そこからバックすることになるので、かなりのスペースが必要。それがわからないと、邪魔で迷惑なところに停めてしまうんですよね。どうしても自転車を停めたい場合には、付近に駐車場がないかどうか、クルマが通れるスペースが残っているかどうか、確認してほしいと思います。

 というわけで、運転しない人にはわからなくても当然だけど、知って気をつけてもらいたいドライバーの気持ちをご紹介しました。クルマは歩行者や自転車を思いやるのは当然と思われていますが、じつは歩行者や自転車がちょっとクルマの気持ちを理解してくれたら、事故や渋滞が減ってスムースな社会になることって、あるんですよね。お互いに理解しあって、みんなが安全に通行できる道路を目指しましょう。