「『一味』と『七味』使うならどっち?

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「『一味』と『七味』使うならどっち?」。こんな議論がインターネット掲示板で巻き起こっている。

記者が見た限り「一味トウガラシ(以下、一味)」派と「七味トウガラシ(以下、七味)」派の人数は拮抗していた。「食べる物による」、「辛さを足したいときは一味、風味を楽しみたいときは七味」という「使い分け」派の意見も有力だ。

香辛料が7種類でなくても「七味」

そもそも、一味と七味の違いは何か。各種トウガラシ商品を扱う白鷹ソース(東京都江東区)の公式サイトによると、以下の通りだ。

一味:内容物はトウガラシオンリー。乾燥させたトウガラシの実を粉末にした調味料七味:トウガラシをベースに他の香辛料を加えたもの

七味の中身は生産者によってまちまちだが、トウガラシのほかに芥子(けし)、ゴマ、サンショウ、ショウガ、菜種、シソ、麻の実などが入っているという。入っている香辛料が6種類でも、8種類でも「七味に分類される」。なお、辛さは一味の方が上だ。

二つの薬味は、どう使い分けたらよいのか。愛知県豊橋市で、にかけうどん、水車そばを提供する「東京庵」は、本店には「一味」と「七味」が置いてあり、状況に応じて「使い分けするのが通の食べ方」と公式サイトで説明している。一味は和洋中、料理を問わず「辛味を増したい時」に、七味は「和食にピリッとスパイスを足したい時」に、それぞれよいそうだ。

「かつおだしの風味と調和してくれそう」なのは

考えがあって、「七味」しか店に置いていないそば屋もある。東京都文京区の「手打そば 田奈部(たなべ)」だ。店主のタナベさんに取材すると、一味を置かない理由を教えてくれた。

「一味もおいしいんですが、七味の方が様々な香りが豊かで、そば汁、かけ汁に合うと思ったからです。かつおだしの風味と調和してくれそうなイメージ」

入れる量によるが、一味だと「薬味の力が強く、パンチが利きすぎてしまう」と感じているそうだ。タナベさんは「そば屋、調理する側としては、『薬味』は食べている途中からの『味変(あじへん)に使ってもらえれば』ぐらいの感覚」で置いているという。