日本でポルシェの台数が過去最高を記録! コロナ禍でも「勝ち組」の理由とは

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苦戦したドイツブランドの中にあって昨年を上回ったポルシェ

 2020年の日本の自動車市場はコロナ禍によって大きなダメージを受けた。

 外食産業や旅行関連ほどではないが、新車販売も、2020年1月から12月で乗用車の販売は前年比87.8%(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会の発表より)という厳しい結果となっている。

コロナ禍にあった2020年の日本において、過去最高の登録台数を記録したポルシェ。その強さの秘訣はなんだろうか

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 では、輸入車の販売はどうなのだろうか。

 日本自動車輸入組合が発表したデータを見ると、2020年1月から12月のトータルでの外国メーカーの新車登録台数は29万8378台で、前年比85.3%。コロナ前である2019年よりも、マイナス15%ほどという結果となった。国産車よりも若干数字が悪い。とくにマイナスが大きいのが、ランキング上位のドイツ・ブランド勢であった。その結果を並べると以下のようになる。

1位 メルセデス・ベンツ 5万6999台 前年比85.7%
2位 フォルクスワーゲン 3万6574台 前年比78.2%
3位 BMW 3万5712台 前年比76.3%
4位 アウディ 2万2304台 前年比92.1%
5位 BMW MINI 2万196台 前年比84.8%

 まずまずの成績となったアウディを除くと、さすがにコロナ禍の影響の大きさを感じさせる残念な数字だ。

 70%台のフォルクスワーゲンとBMWは、端的にいって新型車の投入が少なかったのも理由だろう。フォルクスワーゲンが2020年に投入した新型車は、小型SUVの「T-クロス」のみ、BMWは改良新型「5シリーズ」と新型「4シリーズ」だけ。ちなみにBMWは2019年に9モデルもの新型車を投入しているため、よけい落差が大きくなったことが想像できる。BMWにとっての2020年は、コロナ禍以前に我慢の年であったのだろう。

 逆に、2020年のアウディは「Q3」「e-tronスポーツバック」をはじめ、RSやSモデルなどの新型車を例年以上に数多く投入している。それが成績の良い理由といえるだろう。

 そして、台数は少ないものの、アウディよりもさらに成績の良いドイツ・ブランドがある。それがポルシェだ。

 2020年1月から12月までの新車登録台数は7284台。順位こそ外国メーカーの中で9位だが、前年比は101.3%とプラスを記録。ドイツ・ブランドの中で前年比ではトップの成績を記録している。

 同時に、2009年から11年連続で新規登録台数が増加しているという。それも2009年の3214台に対して、2020年は2倍以上! なんとも驚きの数字だ。

ポルシェ以外にも前年を超えたブランドが存在する

 そんなポルシェの好調さの理由は、どこにあるのか? それは、ポルシェならではの販売方法にある。

 ポルシェは販売店に並んでいる現物のクルマを売るのではなく、予約したものを買うというスタイルをとっているのだ。しかも、注文してからクルマが届くまでに半年から1年以上の時間がかかる。

 つまり、2020年に新車として登録されたポルシェの多くは、コロナ禍前の2019年に注文されていたのだ。当然、2020年の販売成績へのコロナ禍の影響は最小限になる。ちなみに2020年前半での人気モデルは「マカン(ベースモデル)」、「カイエン(ベースモデル)」、「911カレラ」、「マカンGTS」、「911カレラS」というものであったとか。

 しかし、2019年の注文だけであれば、2020年後半から2021年にかけての販売は失速しそうなもの。だが、2020年のポルシェは、いくつかの新型車を投入した。それが2月の「718ケイマンGTS4.0/718ボクスターGTS4.0」、6月のポルシェ初のEV「タイカン」、7月の「911ターボ」、8月の新型「パナメーラ」だ。どれも大きな話題を集めるモデルだ。

 とくに注目したいのは、ポルシェ初の市販EVである「タイカン」だ。

ポルシェ「タイカン」。日本でも納車が開始されている

 これがどれだけ売れるのか? ポルシェ・ジャパンの広報に問い合わせてみれば「タイカンの販売は順調に推移しており、45%が初めてポルシェを購入される方で、95%が現在ガソリン車のオーナーという統計が出ています」という。

 驚くべきは45%もの新規の顧客を獲得できていること。コロナ禍という逆風の中、EVという新たな路線を切り開こうというポルシェの挑戦が受け入れられているといえる。EV強化の姿勢は欧州ブランド共通のものだが、ポルシェのようなスポーツカー・ブランドでも、一定の支持が得られるというのは、なかなかに興味深い傾向だ。

 結局のところ、事前の予約販売という神通力が尽きる2020年後半になっても、ポルシェの堅調さは変化がなかった。つまりは、それだけポルシェのブランド力や商品力が高かったということだろう。

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 また、もう一度、輸入車の販売成績を見れば、ポルシェ以外にも前年比プラスを実現したブランドは多く存在する。

7位 ジープ 13562台 前年比101.6%
8位 プジョー 10752台 前年比101.2%
12位 シトロエン 5028台 前年比122.2%
17位 フェラーリ 1085台 前年比124.7%
18位 DS 908台 前年比100.4%

 これらのブランドに共通するのは、個性の強さだろう。ちなみにプジョーとシトロエンの好調さの理由は、新型「208」や「リフター」「ベルランゴ」といった話題の新型車の投入だ。2020年秋以降の販売が驚くほど伸びている。

 またジープは、2020年5月から導入した独自のローン商品「スキップローン」や、2020年秋にスタートさせた3年間メンテナンス無料の「ジープ・ウェイブ」というキャンペーンも成績伸長の理由ではないだろうか。

 コロナ禍という厄災があっても、堅調なところが存在する。やはり、重要なのはブランド力や商品力という基本だ。良いクルマを作るというが、クルマのビジネスということだ。