ブラジルに建設された全長33メートルの巨大な膣(ちつ)の彫刻に対する評価について、極右勢の大統領支持者と左翼側である芸術ファンの間で大きく意見が分かれていると報じられています。

The vagina dialogues: 33-metre artwork draws far right's ire in Brazil | Brazil | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2021/jan/03/the-vagina-dialogues-33-metre-artwork-draws-far-rights-ire-in-brazil

以下の写真が、問題となっている彫刻作品「Diva(歌姫)」です。Divaはビジュアルアーティストのジュリアナ・ノタリ氏の作品で、幅16メートル、奥行き6メートル、高さ33メートルで、鉄筋コンクリートと樹脂でできており、ブラジル・ベルナンブーコ州の製糖工場跡地に建設されたアートパーク内に設置されました。なお、製作には11カ月もかかったそうです。



ノタリ氏の解説によれば、赤く塗られた膣は「男根中心的で人間中心的な西洋社会における自然と文化の関係に疑問を提起すること」を意図したもので、ジェンダー問題についての議論を引き起こす狙いがあるとのこと。

ノタリ氏によるFacebookの投稿は2万7000件以上もいいねされ、シェア件数は1万2000件を超えています。また、2万4000件以上のコメントが寄せられ、賛同派と否定派の間で激しい論争が繰り広げられています。イギリスの日刊紙であるThe Guardianによれば、批判的なコメントを寄せているユーザーの多くが、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領の支持者層だとのこと。「Diva」への批判的なコメントの中には「もちろん左翼の役に立つ馬鹿は別として、お前のような左翼たちが誰にだまされていると思っているんだ?」という政治的な内容に踏み込んだものもあります。

ボルソナーロ大統領とその支持者層と、芸術家や文化人のコミュニティは、2019年1月にボルソナーロ大統領が就任してから対立しています。ボルソナーロ大統領は、芸術や文化を担当する文化省を文化局に降格させるなど、芸術を軽視するような政策をとっており、芸術家や文化人のコミュニティはボルソナーロ大統領への抵抗運動も起こしています。また、ボルソナーロ大統領は公に同性愛を非難するコメントを述べたり、性差別的な発言を繰り返して何度も罰金刑に処せられたりしたことで知られています。

ノタリ氏もまた、Facebookのコメントの中で「特にブラジル社会においては、ジェンダー問題は緊急を要する問題となっていることを示したのです」とコメントしており、性差別的な発言を繰り返すボルソナーロ大統領を揶揄(やゆ)しました。

ブラジルの芸術界隈からは「Diva」とノタリ氏の思想に対して、賛同のコメントが多く寄せられています。ベルナンブーコ州に住む映画監督のKleber Mendonça Filho氏は「仕事に対する反応はまさに社会を映し出す鏡であり、作品は成功したといえます」と述べてノタリ氏を称賛しています。



また、60歳近くにして女性への性転換を行ったとして話題になった漫画家のラエルチ・コウチーニョ氏は、「ノタリ氏が言及していることは、私にはその通りだと思います。この地球上で、この作品について考えることはたくさんあります。ノタリ氏が言及し、それを可能にしてくれた人たちの仕事に感謝することに価値があります」とコメントしました。