日産が3トップの集団指導体制へ、ルノーとの関係はどうなる?

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 日産自動車が、集団指導を特徴とする新経営体制に改まる。トップ候補だった3人のうち内田誠専務執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格し、残る2人が最高執行責任者(COO)、副COOとして支える。3頭体制により多様性を確保して意思決定の精度を高める。また元会長カルロス・ゴーン被告の退場後の新生・日産をアピールする狙いがある。急務の業績回復に加え、連合を組む仏ルノーとの関係再構築など課題は山積する。

 日産の新体制では三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO(49)がCOOに就き、日産の関潤専務執行役員(58)が副COOに昇格する。内田氏を含め2020年1月1日付の就任を目指す。

 日産は10月末までに次期トップを決める方針で、9月末時点で3人まで候補を絞り込んだ。しかし指名委員会メンバーから「もう少し調査したい」との声が上がり、8日の決定は難しいとみられていた。だが、ふたを開けてみると「内田氏をトップにグプタ氏、関氏が支える体制で意見が一致」(日産幹部)した。「もともとスピード重視の考えは共有」(同)しており、早期決着にこぎつけた。

 8日の会見で豊田正和指名委委員長は「3人体制で多様性のあるリーダーシップを発揮することが望ましい」と話した。企業連合への思い入れが特に強い内田氏、ルノーや日産での勤務経験などバックグラウンドが多彩なグプタ氏、技術出身の関氏によるシナジーで経営力を高める狙いだ。

 遠藤功治SBI証券企業調査部長は「ともに中国事業で実績を上げた内田氏・関氏の2人に、外国人のグプタ氏が加わるトップ体制は順当だ」と評する。

 集団指導体制には、権力が集中したゴーン体制からの脱却を示す意味もある。木村康取締役会議長は「(トップ3人が)お互い支え合いながら透明性を確保し、公平な判断ができる」と説明した。

 日産は、6月末の指名委等設置会社への移行に続くトップ人事刷新により、組織と人の両面で“ゴーン後”の新体制が整った。ただ3人の船頭がこぎ出す海は荒れている。

 19年4―6月期の連結営業利益は前年同期比98・5%減の16億円に沈んだ。1万2500人の人員削減などを柱とする構造改革プランを実行中で、「まず、これを成し遂げるのが最大の課題だ」と豊田指名委委員長は指摘する。

 ゴーン退場を契機に揺らぐ連合関係をどう再構築するかは、将来にわたり日産の経営を左右する。一部報道ではルノー会長のジャンドミニク・スナール氏が、ゴーン被告に近いとされる同社CEOのティエリー・ボロレ氏の交代を検討しているという。

 CEO交代を契機に日産に関係見直し議論を加速するよう迫る可能性がある。またゴーン時代に緩んだガバナンスの改善活動を継続する取り組みも手を抜けない。日産には、まだまだ課題が山積する。