山下大輝 ヒーローの休日。
撮影/すずき大すけ ヘアメイク/大坪真人
取材・文/野口理香子
素直で一生懸命。カッコいい主人公です。
――山下さんはVOMIC(※集英社が展開する音声つき動画コミック)のときから主人公・緑谷出久の声で出演されていますが、原作はもともとご存じだったんですか?
VOMICで演じることが決まってから、原作を読ませていただきました。めちゃくちゃおもしろいなって。こんなに興奮するマンガを久しぶりに読んだなっていうのが正直な感想です。
――少年ジャンプの三大原則「友情・努力・勝利」を基軸にした、これぞ少年マンガ!!という展開に胸が熱くなりますよね…!
はい、感動すら覚えるくらい! 少年ジャンプの中でもすごく人気のある作品と聞いています。みんなが注目している作品なので若干プレッシャーはありつつ、でもその期待に応えられるように頑張りたいと思っています。
――“デク”こと緑谷出久は、普段は臆病だけれど、助けを求める人を見ると後先かまわず飛び出してしまう、根っからのヒーロー気質です。
気弱なところがあるけれど、素直で一生懸命、それでいて男気があって、決めるときはちゃんと決めるし、確固たる自分の意志を持っている。見ていて気持ちのいい主人公ですよね。頑張り屋さんだから、自然と応援したくなっちゃいます。
――山下さんがデクに対して「ステキだなぁ」「好きだなぁ」と思うのはどんなところですか?
優しくてほんわかした雰囲気を持ちつつ、やるときはやるっていうギャップ。すごくカッコいいなって思います。とにかく一生懸命に何でも取り組む子なんですよね。努力を怠らない。ひとつのことに対して、これだけ集中力があるのもスゴいなぁと。
――深く考えごとをするときは手を口にあて、ブツブツつぶやく癖がありますね。
オタクな部分も彼にとっての個性なんですよね(笑)。
――マンガだとブツブツつぶやくときのふきだしは、「ブツブツ……」という文字で構成されていますが、アニメとなると…
実は大変なんです…。早口なうえに、彼はヒーローに対して分析をするので、けっこう難しい用語を使うんですよね(笑)。

まさしく愛。デクは自分の一部です。
――差し支えなければお聞きしたいのですが、オーディションで決まった役ですか?
そうです。VOMICでも演じさせていただいていましたが、アニメ化になるということを聞いて、改めてみなさんと同じスタートラインに立ち、運良くオーディションを受けさせていただけました。是が非でも受かりたいと思っていました(笑)。
――オーディションでは、どんなお芝居をされたんですか?
VOMICは1〜2話にあたる部分だったので、初期の初期だから、デクのおどおどしていた部分が際立っていたと思うんですが、オーディションのときは成長前・成長後みたいな変化も見せられたらいいなと思って。VOMICのときに演じたデクが成長したらどんなふうになるんだろうと、自分なりに想像しながら取り組みました。
――その結果、デク役に決まったときは…
めちゃくちゃうれしかったですね。一度演じさせていただいていたこともあって、デクを愛していますし、もはや自分の一部のように思っていたので。(小声で)本当に受かってよかった…本当にうれしかったですっ…!
――山下さんのデクへの愛が伝わってきます。音響監督さんや演出さんからは何か指示がありましたか?
デクもだんだんと成長していくんですけど、最初のうちは周りのキャラクター、とくにかっちゃん(爆豪勝己)に強い言葉で責められて、受け身になり、気持ちとして負けてしまう部分が多かった。最初のうちはそれでよかったんですけど、ヒーローになるって決意して、オールマイトとの特訓を通して、受け身だった姿勢が変わっていくんです。その変化をどう表現するかというところですかね。
――なるほど。具体的なエピソードで教えていただけますか?
たとえば「ヤバイ」ってセリフがありますよね。マイナスの意味に捉えられがちな言葉ですが、セリフの言い方だったり圧だったりを変えて、前向きな気持ちを込めた「ヤバイ」にする。
――確かに、同じ「ヤバイ」でも全然違う意味に聞こえます…!
「ヤバイ」って文字面だけ見ると、逃げ腰に聞こえると思うんですが、セリフに吹き込む気持ちをそう変えることで、言葉自体は弱気なものでも、彼が真正面から挑んでいるんだという意思が伝わるかと思います。この作品と出会って、そういう演出の仕方を学びました。

熱いから暑い。現場はとにかく「アツイ」です。
――雄英高校のクラスさながら、アフレコ現場も学校のようなにぎやかな雰囲気なのでしょうか?
休憩時間もセリフの練習をしていることが多いですね。収録するシーンにもよるんですが、たとえば緊迫したシーンだと、それぞれが真面目に台本と向き合って練習していたり、コメディチックなシーンだと和気あいあいとしていたり。あとは、差し入れのお菓子の話で盛り上がったり(笑)。
――山下さんが輪の中心にいる感じですか?
どうでしょう…? 人数がめちゃくちゃ多いので、席が近い人と話すことが多いです。僕の場合は左隣りの(岡本)信彦さん、右隣りの諏訪部(順一)さんとよく話しますね。食べものの話ばっかりだけど。3人とも大好きだから(笑)。
――えっと、ヒロアカの話は…?(笑)
もちろんしますよ!(笑)みんな作品が大好きなので。あ、信彦さんはジャンプを誰よりも早く読む方で、僕や(石川)界人くんにネタバレをしようとしてくるので、「ワーワー!聴こえなーい!!」ってやってます。
――戦闘シーンの収録は、身体も自然に動いてしまいそうですね。
そうなんですよね。極力、マイクから離れないようにしているんですけど、ミキサーさんに「ずれてるよ」って指摘されることもたまにあります(笑)。気をつけなきゃなって思いながらも、僕の場合、身体が動かないと心がのっていかないところもあるので。
――みなさんそうなんですか?
いえ、人によってやり方は違うと思います。微動だにせずとも、臨場感のあるお芝居をされる方もいますから。スゴいなぁって。僕は、デクが指にぐーっと力を入れるシーンは、実際に力を入れてみたり、デクの指が折れるシーンだと、自分も指をぐーって、ちょっと痛いぐらいに折ってみたり。
――なるほど…アツい現場ですね。
アツいです!! 半袖ですもん。男性陣の半袖率、高いです(笑)。かっちゃんはずっと怒鳴ってるし、切島(鋭児郎)くんも熱いから、信彦さんも増田(俊樹)さんもずっと半袖ですね。界人くんも収録が始まると(羽織ものを)脱ぐしなぁ。みんな全力です。


鼻水と涙。収録中の顔はぐしゃぐしゃです。
――雄英高校の1-Aには“個性”豊かなキャラが勢揃いしていますが、自分以外のキャラで気になるのはどなたですか?
峰田 実くん! 目が離せない。隅のほうにいても謎の存在感がありません? マスコットみたいな可愛らしい見た目なんだけど、中身はエロオヤジだし(笑)。しかも彼の個性は「もぎもぎ」!(笑)
――頭からボールのような物質を無限に生み出す個性で、強い粘着性があるという。
たまらないですよね、あの個性。よく雄英に入れたなっていう(笑)。もちろん使い方次第ではカッコいい能力になる個性なんです! ヒロアカはひとりひとりにスポットが当たるので、峰田くんが頑張っている姿も見られます。要注目です!
――これまでに放送されたもので、印象に残っているエピソードはありますか?
名場面しかないから選ぶのは難しいんですけど…やっぱり僕は、1話と2話が大好きで。1〜2話はセットで見てほしいな。あの流れは最高にいいなって思います。
――1〜2話の中で、印象的なセリフというと?
やっぱりオールマイトの「君はヒーローになれる」ですね。ここからデクの人生が大きく変わるので。デクを支える根源になっているというか、これから先くじけそうになっても、この言葉を糧にして壁を乗り越えていけるんじゃないかなって思います。
――この場面の収録は、とくに気合いが入ったのでは…?
オールマイトとの掛け合いは、いま軽くやってって言われてもできる感じじゃない。あの瞬間だからこそできた芝居だと思いますね。だって僕、鼻水と涙で、顔ぐしゃぐしゃでしたもん。ぐしゃぐしゃのぐしゃぐしゃ(笑)。

――わー…そうだったんですね。
正直なところ、収録しているときは一心不乱なので、良かったのかどうかもわからないんです。OKをもらって、「やりきった…」という感じ。オンエア後、周りから「すごくよかったよ」って声をかけてもらえてホッとしましたし、実際にオンエアを見て、客観的に見ても「泣けるな」と思いました。
――えぇ、泣きましたよ…! さて今後も熱い展開が続きますが、見どころを教えてください。
さっきも話した峰田くんが活躍するシーンが来ますね! 峰田くんと(蛙吹)梅雨ちゃんとデクの3人の即席チームで戦います。
――訓練用施設「USJ」を訪れた生徒たちの前に敵(ヴィラン)が現れて、生徒たちがバラバラになり、即席チームで戦うことになるんですよね。
そうなんです。まだプロのヒーローではない彼らが、ヴィランにどう立ち向かうのか。チームごとに個性を活かした作戦を立てて挑むのがめちゃくちゃおもしろいんですよ! このチームはこういうふうに戦うんだ、なるほどなーって。
――なにせ敵が強いので、ハラハラドキドキします…!
ですね、ドキドキします。これだよ! これが少年マンガだよ!っていう熱い展開が続きますよ。あと、1-A担任の相澤(消太)先生が、決死の覚悟で生徒を守ろうとする姿は注目です。いままでのやる気がな〜い感じとの差に驚くと思います(笑)。めちゃくちゃカッコいいですよ!