「こんな悪環境下で、いったいどうしたら利益を出せるのか?」

 現在、世の企業の関心事は、悲壮なまでにそこに集中している。

 昨年前半の原燃料価格高騰や、それに続いて年後半に本格化した米国金融危機による世界的な景気後退により、現在日本企業は苦境に喘いでいる。大幅な減収減益に陥るばかりか、もはや「倒産」という最悪の事態さえ、他人事ではなくなっているのだ。

 このような悪環境下においては、経営者は豊富なファイナンスの知識を備え、「自社のどこに問題があるのか」を正確に把握した企業戦略を立てられなければ、生き残れないだろう。

 にもかかわらず、「実は上場企業の経営者でさえ“会計知”が低い人が驚くほど多い」と警鐘を鳴らすのは、企業ファイナンスに精通し、多くの関連著書も持つ公認会計士の高田直芳氏である。

 「現在は“制度疲労不況”の時代。税効果会計、金融商品会計、減損会計、四半期報告書など、国際会計基準と同レベルの厳しい会計基準が日本でも導入された結果、企業関係者が消化不良を起こし、振り回されている。その一方で、管理会計やキャッシュフロー計算など、本当に必要な企業会計に精通している関係者は少ない。こんな状況で不況が長引けば、苦境に陥る企業は後を絶たないだろう」(高田会計士)。

 事実、同じ状況下で苦境に喘ぐ同業種の企業間においても、ファイナンス戦略の良し悪しによって、歴然とした「差」がつき始めているという。そのよい例が、慢性的に過当競争が続く市場において、低迷する消費の最前線に立たされている流通業界である。

「最近では、大手百貨店の再編も行き着くところまで行った感がある。身を削るように低価格競争を続ける大手GMS(総合スーパー)各社も、コンビニやドラッグストアなどを巻き込んださらなる再編機会をうかがっている。この業界は、建設・不動産、自動車、電機などと同様に、今後本格的な再編・淘汰の荒波に晒される可能性が高い」(流通業界に詳しいアナリスト)

 たとえば、流通2強グループのセブン&アイ・ホールディングスとイオンを比べると、業績の開きが目立ち始めている。直近の09年2月期中間決算を見ると、セブン&アイは特別利益の減少などにより対前年同期比で最終減益となったものの、営業利益ベースでは同2.8%の増益を達成している。

 対してイオンは、販売不振などにより営業利益が同▲13.4%と大幅に減った。直近では、09年2月期通期の業績予想も下方修正し、7年ぶりの最終赤字に転落する可能性が高まっている。一概に比較するのは難しいとはいえ、08年2月期通期では両社とも対前年比で営業減益だったにもかかわらず、ここに来て明暗が分かれているのは、いったい何故なのか?

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