ときには「住み分け」も必要です 小児科専門医がすすめる「発達障害」の子を”いじめ”から守る方法

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落ち着けない、こだわりを抑えられない、気持ちを切り替えられない……発達障害を抱える子には「できない」ことが多く、保護者の悩み・教師の負担となっている。“いずれはきちんと自立してほしい”そう考えると少しでも「できること」を増やしておきたいところだが、どうすればいいのか。発達障害の臨床に長年携わる医師2人が総力を挙げてつくった著書『発達障害を抱える子どもの「できる!」を増やす作戦事典』から、とっておきの知恵をご紹介する。

【前編を読む】「たたく」「蹴とばす」「壊す」…子どもの“許しがたい行動”に効く「正しいペナルティ」の与え方

発達障害の子どもがうそをついたとき

インターネットの世界で問題となっている「わなを仕掛け騙(だま)すためのうそ(トラップ型)」や、子どもが自分を守ろうとして咄嗟につく「言い訳・自己防衛のうそ」など、うそにもいろいろあります。

子どものうそは年齢が進むと巧妙化します。背景がどんなものであれ、うそは早い段階で許しがたい行動として制限を加えてください。これは、発達障害の有無にかかわらず、どんな子どもにも必要な対応だと私は思っています。

ただし、子どもを注意して終わるのではなく、うそをついてしまった背景や気持ちを大人がよく聞くこと、そして「それでも信じている」と伝え、そのサインを後々まで送り続けることが大事です。

たとえば、宿題を一部しかやっていない子が「全部やった」とうそをついて、それが発覚したとします。

その際は、怒るより「うそをついてはいけないね」と警告したあと、ひとつでもやった宿題があり、たとえばそれが計算だったならば、「計算はやったんだね」と笑顔で伝えて安心させてあげてください。

「いじめ」にどう対応するか

一口に「いじめ」といっても、その様態はさまざまです。見た目には「いじめ」かどうか判然としないケースもあります。もともと加害者だった子を周囲が避けるようになった結果、その子が仲間外れの被害者になる、ということもあります。

被害者・加害者のどちらに発達障害を抱えている子が含まれている場合でも、「いじめ」が強く疑われる事案については、次の原則のもとに速やかに調査・対応を始めることをおすすめします。

【いじめ対応の原則】

●早い段階から学校以外の第三者に相談し、教育委員会や弁護士、警察の介入をためらわない。

●疑わしきは、いじめられている(と思われる)子の保護を優先する。必要なら保健室登校とするか学校を休ませることも考慮する。

●加害者と被害者の住み分け(後述)を図り、両者の関係を無理に改善しようとしない。

原則の第一項目に「警察」という記述があるので、驚かれた読者がいるかもしれません。しかし警察の力を借りるべきであることは、法律にも明記されています。

2013 年施行の「いじめ防止対策推進法」では、

「犯罪行為として取り扱うべきいじめは、所轄警察署と連携してこれに対処する」

「子どもの生命、身体、財産に重大な被害が生じかねない事案は直ちに警察に通報し、教育委員会、地方公共団体の長、都道府県知事に報告しなければならない」

と定めています。

「住み分け」も視野に入れておく

発達障害を抱えている子は、生来の特性により言動に癖があったり、あるいは強いこだわりがあったりするため、いじめや仲間外れのターゲットにされやすい傾向があります。

そのような子の心身の安全・安心を確保し、自尊感情を守るため、学校では上手な「住み分け」を心がけてください。これはとくに先生方にお願いしたいことです。

たとえば「教室内で席を離す」「仲が悪い子とは別々の班にする」「クラス替えのとき別のクラスにする」といった介入によって、いじめられやすい子を気持ちが合わない子から離し、ストレスがかからないようにするといった配慮は欠かせません。

全員が仲良く共生するのが理想であることは、言うまでもありません。

しかし、大人の世界でもその理想を実現できているとは言い難いのが現実です。ましてや、いろいろな個性の子どもが集まる学校という場では、実現困難な場合も多々あります。

ですので、無理に仲良くさせようとするのではなく、できるだけストレスがかからないよう、まずはどの子も安心できる環境づくりを優先してください。その際にうまくいくバロメーターとなるのは、子どもたちの笑顔です。

言い訳には断固として指導を

いじめる子はいろいろな弁解をしますが、言い訳にすぎません。許すことなく、十分な時間をとってきちんと指導し、正しい振る舞い方を教えてください。そして、いじめは犯罪行為であると認識できるよう導いてあげてください。それが「いじめ」に対してとるべき基本的な対応です。

以下によくある言い訳と指導の例を挙げます。

●言い訳1「いじめのつもりはなかった」

子ども「ふざけてただけです。いじめるつもりはありませんでした」

指導例「そのつもりがなくても、相手が嫌だと感じたことはいじめです」

●言い訳2「嫌がってないと思っていた」

子ども「『やめて』と言わなかったから、嫌がってないと思ってた」

指導例「『やめて』と言えない子もいます。嫌がっている気持ちに気づかなければいけません」

●言い訳3「いじめられるほうも悪い」

子ども「あいつ勉強できないし、すぐ泣くから、なんか変なやつって感じで嫌だった」

指導例「だからといって、いじめはいけません。個性として受け入れ、必要なら助けるべきです」

●言い訳4「あの子は感じが悪い」

子ども「家が金持ちだからっていい気になってるから面白くなかった」

指導例「うらやましい、くやしい、あるいは面白くないからといって、意地悪をするのは絶対にいけません」

体形、口数や口調、話し方の癖、学力、父母の出自(国籍)なども「いじめ」の口実にされることがあります。また、親や親類の社会的地位、その子の成績、特技(音楽・外国語・ダンスなど)が標的にされることもあります。

しかし、どんな理由があったとしても、人に危害を加えたり、苦痛を与えたりしてはいけません。そのことを大人がきちんと認識したうえで、子どもを教え導くことが大切です。

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