ファンには“撮れ高”でも一般客には“迷惑”?相次ぐ騒動で浮き彫りになるスポーツとエンタメの温度差

写真拡大 (全6枚)

世界的なスポーツの祭典であるワールドカップが開幕し、熱狂が広がる中で、K-POPアーティストの活躍が目を引いている。

【写真】堂々と“パンツ見せ”も…過激さ増す韓国女性アイドル衣装

米ロサンゼルスのSoFiスタジアムで行われたサッカー北中米ワールドカップの開会セレモニーでは、BLACKPINKのリサが登場。きらびやかなステージを披露し、集まった大観衆を魅了した。

また、決勝のハーフタイムショーではマドンナやシャキーラといった大物歌手と並んでBTSが出演する見込みであるとの報道も飛び交っている。

リサ(写真提供=OSEN)

音楽やファッション、SNS、著名人がスポーツの熱気と融合する現象は、すでに珍しい光景ではない。K-POPは現在、スポーツの大会に華を添える不可欠な要素として定着している。

その反面、接し方を一歩間違えれば、競技場は衝突の場へと一変してしまう。

スポーツの現場で相次ぐ配慮不足の騒動

こうした懸念を具現化するようなトラブルが、韓国のプロ野球場で発生した。ボーイズグループのAHOFがスタンド席で独自の動画撮影を行い、最終的に所属事務所が謝罪に追い込まれる事態に発展した。

問題の場面が見られたのは、6月14日に大邱サムスン・ライオンズ・パークで催されたサムスン・ライオンズ対SSGランダースの一戦である。

AHOFに所属するスティーブンとチエンは、この日の試合前に行われた始球式に登場。大役を終えた後、一般の客席へと移動して試合を観戦していた。

物議を醸したのは、試合の最中に実施されたグループ独自のコンテンツ撮影だった。一部の観客から、二人がスタンドでフラッシュを使用しながら撮影を強行していたとの証言が上がったのだ。

AHOFのスティーブン(左)とチエン(写真提供=OSEN)

この様子を捉えた映像が中継やインターネット上のコミュニティで拡散され、非難の声が噴出。野球ファンを中心に「試合への集中を妨げる行動だった」「観客席はコンテンツ撮影場なのか」「選手と他の観客への配慮が足りない」といった厳しい意見が次々と寄せられた。

この反発を受け、マネジメントを手がけるF&Fエンターテインメントは6月15日に謝罪文を掲載。「選手の試合進行と観客の観覧に支障を与え得るという点を事前に十分考慮できなかった」と釈明し、「選手団と観客を最優先に考えるべきだったにもかかわらず、配慮と準備が不足していた点を重く受け止めている」と陳謝した。

著名人が始球式などのイベントに招かれるケースは、決して珍しくない。球団にとっては観客動員やプロモーションの契機となり、アイドルにとっては新たなファン層へアピールする絶好の機会となるからだ。

しかしながら、試合中の観客席はプライベートなスタジオではない。

そこには入場料を払い、純粋に観戦を楽しみに来た人々が詰めかけている。そしてフィールドでは、選手たちが真剣勝負を繰り広げているのだ。強い光やフラッシュが目に入れば、周囲のファンの視界を遮る恐れがあり、競技を行う選手にとっても悪影響を及ぼしかねない。

タレント側が映像の素材作りに熱中していても、競技を愛する人々にとっては迷惑行為に映る。このすれ違いこそが、今回のトラブルの本質と言える。

K-POP業界とスポーツ界の間で起きるこうした不和は、過去にも例がある。

イ・スンフン(写真提供=OSEN)

2024年8月には、WINNERのイ・スンフンが釜山の社稷野球場で始球式を務めた際、マウンドに立ったまま約18秒にわたりダンスを踊り続け、批判を浴びた。

本人は来場者を喜ばせようと意図した演出だったのかもしれないが、ピッチャープレートのあるマウンドは投手にとって神聖なエリアである。試合直前のグラウンドのコンディションや選手の精神集中を重んじるべき場所で、長時間のパフォーマンスを行ったことが、ファンの怒りを買う結果となった。

昨年4月には、THE BOYZのケビンが始打式を終えた後の行動について謝罪した。

キウム・ヒーローズのユニフォームを着用してイベントに臨んだ後、客席での観戦中に他球団を応援するような態度を示したため、野球ファンから非難された。これに対し、本人は「軽率な言動で不快な思いをさせた」と反省の意を表した。

ケビン(写真提供=OSEN)

これら個々の事案は、それぞれ内容が異なる。

AHOFの場合は客席での身勝手な撮影であり、イ・スンフンはマウンド上での度が過ぎた演出、ケビンは招いてくれたチームへの敬意を欠いた行いだった。

だが、根底にある問題は共通している。

競技の場を、エンターテインメント側の論理で過剰に私物化しようとした瞬間に、軋轢が生じているという点だ。

競技の文脈とエンターテインメントの境界線

このような問題は、野球場だけに留まらない。

昨年7月には、IVEが水原ワールドカップ競技場で実施された「2025 Coupang Playシリーズ」のチームKリーグ対ニューカッスル・ユナイテッドの試合に登場。キックオフセレモニーとハーフタイムの公演を任された。

このとき注目を集めたのが、彼女たちが身にまとった衣装である。チームカラーである水色のユニフォームを、丈の短いクロップドスタイルやオフショルダー、ホルターネックへと大胆にアレンジし、各自の魅力を引き出す着こなしを見せた。これはショーとしては非常に魅力的であり、ハーフタイムへの関心を煽る効果的な見せ方であった。

しかしその反面、肌の露出度が高い服装が、サッカーの厳粛な公式行事に適しているのかという疑問の声も上がった。

キックオフセレモニーは試合開始を告げる公式行事であり、現実にボールを蹴り出すアクションを伴う。ビジュアルとしての華やかさと、スポーツという空間におけるふさわしさは、必ずしも一致しないという指摘である。

IVE(写真提供=OSEN)

これは先述したAHOFのような周囲への迷惑行為とは毛色が異なる。IVEのケースでは、他者の観戦を妨げたり、試合運営を滞らせたりしたわけではない。メンバーたちの意向が反映されたコーディネートだったとも言われている。

それにもかかわらず議論を呼んだ背景には、スタジアムが単なるライブ会場ではないという事実がある。

ピッチであれマウンドであれ、そこにはスポーツとしての歴史や文脈が存在する。ユニフォームは単なる衣服ではなく、クラブや競技そのもののアイデンティティを体現するものだ。各種セレモニーは、タレントの宣伝の場である以前に、試合の構成要素としての公式な儀式なのである。

そのため、歌番組であれば絶賛されるような装いやパフォーマンスであっても、スポーツの現場においては「やりすぎ」と受け止められることがある。

K-POPがスポーツの大会を活気づけることそのものは、否定されるべきではない。現に、ワールドカップの舞台でリサが大歓声を浴びたように、音楽とスポーツの相乗効果がもたらす興奮は本物だ。

けれども、だからといって競技場をどのような宣伝に使っても許されるわけではない。

競技場を訪れるファンは、アーティストを目当てに来ているのではない。大半の観客は、愛するチームの勝利や選手の妙技を見届けるために足を運んでいる。一球、一プレー、一つの判定に神経を研ぎ澄ませている人もいる。そのような空間に、不必要な光や度を越したアピール、空気を無視した振る舞いが持ち込まれれば、不満が噴出するのは必然である。

送り手側にとっては当たり前の演出であっても、スポーツの場においては他者の観戦体験を損ねる要因になり得る。

スタジアムという舞台を拝借するのであれば、そこにあるゲームの時間や選手の集中力、そしてファンの体験をいかに敬うべきか。K-POPのアーティストや事務所は、スポーツとの適切な距離の取り方について、いま一度熟考を重ねるべきだ。

(記事提供=スポーツソウル日本版)